9日(金)に開幕するが、ドレスリハーサルを一足先に観に行った。

Music by Peter Ilyich Tchaikovsky
Libret by Peter Ilyich Tchaikovsky
Conductor : Valery Gergiev
Tatiana(ソプラノ) : Renee Fleming
Olga(アルト) : Elena Zaremba
Onegin(バリトン) : Dmitri Hvorostovsky
Lenski(テノール) : Ramon Vargas

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左からZaremba, Vargas, Hvorostovsky, Fleming

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     カメラマンが目白押し  リハーサル終了後、談笑するゲルギエフ氏

もとはプーシキンの同名の韻文小説で、それをチャイコフスキーがオペラ化したもの。
タイトルは確かにオネーギンで、舞台挨拶のトリもオネーギン役ではあったが、主役と呼ぶにふさわしいのはタチヤナ役かと。チャイコフスキーは「タチヤナ」というオペラの題名にしようとしたが、プーシキンの原作もあるので思いとどまったと言うエピソードも頷ける。
テノールのレンスキー役も、途中で殺されてしまうが、名アリアを歌うなかなか良い役どころ。

何と言っても今回の配役は、最高のソプラノと言われるタチヤナ役のルネ・フレミング。歌唱力はもとより美貌と表現力に富んでいて、観る側が引き込まれていく。アメリカ人の彼女はもともとはジャズシンガーだったが、ジュリアードで本格的に歌を学び方向転換したとか。
オネーギン役のホロストフスキーも安定感があり、加えてカッコ良い。舞台上で上半身裸で衣装を着替えるシーンがあった時には驚いた。役柄なので仕方ないのだろうが、笑みをたたえたのはオルガと連れ立って舞踏会会場を去る時ぐらいで、後は常に強い、あるいは苦悶の表情。
レンスキー役のヴァルガスのテノールも秀逸。もっと聴きたいと感じた。
オルガ役のザレンバは歌の数こそ少ないが良い。
今回のこの4人の配役は見ごたえ十分。

指揮者のワレリー・ゲルギエフ氏は1988年にわずか35歳でキーロフ劇場の芸術監督に就任、マリインスキー劇場を国際的レベルに引き上げ、2007年よりロンドン交響楽団の首席指揮者に就任。
彼の指揮は、1998年にオランダのロッテルダムでの指揮を見て以来で、相変わらず前髪を振り乱しては左手でなでつけながら指揮をする。
今日の席はドレスサークルのボックスだったこともあって、彼の手の動きが鮮明に見え、いくつかの曲が終わると後ろで待機している人にメモを取らせるなど指示をしているのが良くわかった。

良い場面になると、カメラマンのシャッター音がひっきりなしにするのも面白い体験だった。

最後の最後、タチヤナがオネーギンに別れを告げて立ち去り、オネーギンも絶望の叫びを上げて幕になるのだが、タチヤナが走り去った直後、オネーギンが絶望を口にしようとする直前に拍手が起こったのは非常に残念。
次の曲や次の歌手の歌が始まりかけていても、前の歌手が良ければ即拍手をしたがるアメリカ人だが、この場面だけはして欲しくなかった。

地下では、マリア・カラスがメットデビューから50周年を記念して、彼女の身に付けたスワロフスキーの宝石展が3月初旬までの期間限定で公開されている。
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  「ラ・トラビアータ」出演時の物