ヘンデルのジュリアス・シーザーを観に。

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by George Frideric Handel
Conductor : Harry Bicket
Giulio Cesare (Julius Caesar) : David Daniels カウンターテナー
Cornelia, widow of Pompey : Patricia Bardon メゾ
Sesto (Sextus), son of Pompey : Alice Coote メゾ
Cleopatra, Queen of Egypt : Ruth Ann Swenson ソプラノ
Tolomeo (Ptolemy), King of Egypt, Cleopatra's brother : Lawrence Zazzo カウンターテナー

男性は一人を除いて主要な3人が全てカウンターテナーという配役。
カウンターテナーを生で聴いたのは初めてだったので、非常に良い体験だったが、やはり裏声なだけに声量がやや欠けるように思われ、私個人としては通常のテノールなどの方が声が通って聴きやすいように感じられる。
ソプラノの Ruth Ann Swenson が非常に良い。通常であればデュエットなどがふんだんにありそうなものだが、カウンターテナーと一緒に歌うのは最後のシーンのみ。やはりその場合、ソプラノの声の方が良く通りボリュームも大きいのでソプラノが押さえているように感じられた。
メゾの Patricia Bardon の声の方が男性のように聴こえ、男性役をしていたメゾの Alice Coote はより高めの声質だった。
ヘンデルお得意の半音階を各歌手が歌いあげるのは聴き比べられて面白かった。

※カウンターテナー(カウンターテノール)とは:
<概略>
カウンターテノールともいう。変声を終えた成人男性が裏声(ファルセット)や、極度に高いテノールの声(この場合カウンターテナーではなくオートコントルに分類することもある)を使って、女声のアルトからメゾソプラノの音域で歌うパートをさす。この発声法は、バロック時代にみられた変声前に去勢することで少年の声を保ったカストラートとは、原理を異にする。また、ホルモンバランスの関係で変声を迎えなかった男性や、裏声でソプラノ音域を発声できる場合、カウンターテナーとこれらを区別して男性ソプラノ(ソプラニスト、ソプラニスタ)という。
<成立事情>
中世のヨーロッパにおいては「女性は教会では黙すべし」という掟により、女性が教会や舞台の上で歌うことは禁じられていた。そこで、教会の聖歌隊では高音のパートつまり、ソプラノとアルトを、ボーイソプラノが担当していた。しかし、表現力に乏しく響きの弱いボーイソプラノのかわりに、アルトは成人した男性がファルセットを使って歌うようになった。これがカウンターテナーの始まりである。これは、特にイギリスの聖歌隊において伝統的に今でも続けられている。
その後、ソプラノのパートをスペイン系の非去勢男声ソプラノ(すでにカストラートの混在があったという説もある)が受け持つようになり、さらにカストラートの登場によってソプラノもアルトも彼らで占められるようになった。
カストラートの登場と衰退、その後の女性歌手の台頭により、カウンターテナーは長らく日の目を見ず、イギリスで細々とその伝統がまもられるにとどまる。しかし、第2次大戦後、アルフレッド・デラーの登場によって再びカウンターテナーは復活し、現在に至っている。   (wikipediaより)