今年は○年ぶりと言われるストライキが多い。
9月には9年ぶりにタクシーが48時間ストライキを一回と24時間ストライキを一回行ったが、今度はNYの観光の目玉であるブロードウェイミュージカルの30近い劇場が10日(土曜)から全面ストライキに入った。
劇場の裏方さん達によるストで、2003年以来。2003年当時は4日間続いたそうだが、今日は3日目となっているが、未だ労使交渉は決裂のままのもよう。

テレビでは、土日に各劇場前でストライキを行って抗議をしている大勢の従業員の姿が映し出されていた。
今日はさすがに平日なので、劇場前にはそれほど多くの人はいなかったが、それでも各劇場前には、抗議活動のデモを行って良いエリアを警察がバリケードで規定し、その前にはNYPDのミニパトが警備していた。
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    「リーガリーブロンド」の前での抗議活動 「マンマミーア」の前にもNYPDのミニパト

ストライキをしている人達の講義内容を説明する書面(画像をクリックして頂くと大きく表示されます):
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左側の書面内容の概略 
 「公演がなくて本当に残念」
 劇場のオーナーやプロデューサー達は我々の給与の38%をカットしようとしている。
 興行収入から2000万ドルが蓄財されているのに。
 ブロードウェイは10億ドル(約1100億円)産業で、今以上だったことはない。
 我々の減給は、お客さんの為へのチケット価格の減額によるものではなく、プロデューサーの
 利益の為だけ。
 プロデューサー達とは違って、我々は2つ目や3つ目の家を持つ為に抗議しているのではなく、
 現在の家を守る為に戦っている。云々。。。
茶化すわけではないが、一番下に小さく「捨てないでね」と書いてあるのがおかしかった。

ネダーランダー劇場前には、チケットの払い戻しなどについて伝える為に係りの人がずっと立っていて、今日も話し合ってるからねと説明してくれた。
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このストライキにより、全体で一日500万ドルの損失と言われており、テレビのニュースのインタビューに答えるレストランのオーナーによると、売上は50%減ったと言っていた。

因みに、西海岸を中心に、現在アメリカ脚本家組合(WGA)のストも19年ぶりに今月5日から始まった。
作品のDVD販売やネット配信の際の脚本家が得られる報酬のアップを要求しているが、映画テレビ製作者同盟(AMPTP)はその要求を拒絶している。
脚本家は、20ドルのDVDが一枚売れた場合、わずか3セント程度しか得られないのが現状で、脚本家組合に加盟する脚本家は約12,000人。
スト初日からトークショー放送が中止されて再放送番組に代わったり、脚本在庫が少ない連続ドラマなどは(「デスペレートな妻たち」など)撮影中止となっている。
前回の1988年の脚本家組合のストは半年近くも続き、ハリウッドに5億ドルの損害をもたらしたとか。
来年半ばには監督組合と俳優組合も契約更新期を迎え、脚本家組合のストが解決しないまま両組合もストに合流すると、一体ハリウッドはどうなるのかと言われている。

後記:
11月16日(金)現在も未だスト続行中で一週間となる。
ブロードウェイの景気は2006年~7年度は20年ぶりに1230万枚以上のチケットの売り上げがあり。その購入者の65%が観光客。
「ヤング・フランケンシュタイン」「メリー・ポピンズ」「ザナドウ」など8つの作品は組合が異なる為通常通りに公演をしているが、27館では休演が続き、約48館あるオフ・ブロードウェイに客足が流れているとのこと。

後記その2:
ロンドンの舞台係と比較すると、ロンドンの組合の力はブロードウェイよりも弱く、就業規則でも各舞台係が専門業だけをこなすブロードウェイに対しロンドンでは一人の舞台係が複数の仕事をこなすという柔軟性があり、受ける給与はブロードウェイの舞台係の年俸15万ドルに対しロンドンでは6万ドルしか稼いでいないとか。
スト続きのブロードウェイでは、ロンドンからの雇用を増やしても良いのではないかとの声も上がっているとか。