通常ヨーロッパなどで「トラム」と呼ぶ場合は路面電車のことを指すと思うのだが、マンハッタンからルーズベルト島(南北約3キロ、東西最大部分で約240メートルのマンハッタンの東に位置するイーストリバーの真ん中に浮かぶ島)を結ぶロープウェイを「トラムウェイ」通称「トラム」と呼ぶ。
2機のトラムが交互にマンハッタン島とルーズベルト島を行き来していて、地下鉄やバスと共通のMTAのメトロカードで乗車出来る。(現行2ドル)
1976年に開業、全長は約3100フィート(約945メートル)、平均時速16マイル(約25.7キロ)一番高い部分で地上から250フィート(約76メートル)、所要時間は4分半。
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マンハッタン側は、2番街59丁目と60丁目の間の西側にある乗り場から乗る。マンハッタン側を見ると、ビル群を眺められる。
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トラムのすぐ南側にかかっている橋は クイーンズボロー橋 だが、この橋はルーズベルト島を通り過ぎて東のクイーンズ区に行ってしまうので、車でマンハッタンからルーズベルト島に行く場合は一旦ルーズベルト島を超えてクイーンズ区に入り、再度クイーンズ区とルーズベルト島を結ぶ橋を渡って戻ることになる。
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クイーンズボロー橋から見たトラム。左側はマンハッタン、右側はルーズベルト島。
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ルーズベルト島からマンハッタン側を見た景色(左)。ルーズベルト島の乗り場をクイーンズボロー橋からみた様子(右)。
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2006年4月に、電気系統の故障により上下線2台が運行途中で停止し、合わせて68名の乗客を乗せたまま約12時間動かないという事故が発生した。バックアップシステムの電源も故障した為、12時間も缶詰になった乗客には途中で食糧や水などが差し入れなれるなど当時はテレビで生中継していたが、電気系統の故障を修理できる専門家がたった一人しかおらず、その人の住むウエストチェスター区からかけつけてくるのにも時間を要したとか。近代的かと思いきや、その修理体制に驚いたものだった。
マンハッタンからのアクセス方法として地下鉄以外ではルーズベルト島への貴重な足であり、一種の風物詩ともなっているトラムだけに、是非とも無事故で運航を続けてほしい。

風物詩と言えば映画にも度々登場している。記憶に新しいところでは、2002年の映画「スパイダーマン」で敵のグリーンゴブリンとスパイダーマンが闘いを繰り広げたり、1994年の映画「レオン」では、未だ少女だったナタリー・ポートマン扮するマチルダが、ジャン・レノ扮するレオン亡き後に一人で寄宿舎に帰る為に乗ったのがこのトラム。実際にはこのルーズベルト島には病院はあっても寄宿学校はないが。。。

(「橋のある風景」の書庫に入れるべきかどうか疑問だが、トラムも橋同様に川によって隔たれた所をつなぐ手段と解して。。。)