今年3月15日に、1番街と2番街の間の51丁目で、建築中の建物に使用されていた巨大クレーンが倒壊して7名もの人が亡くなったが(その様子は こちら)、2か月半しか経っていない5月30日にも、違うクレーン機種だそうだが、アッパーイースト1番街91丁目でクレーンの腕の部分が折れてクレーンは向かいの23階建てのビルを直撃。建設作業員2名が亡くなる事故が発生した。
サブプライムローンの破綻など何処吹く風のマンハッタンは、未だに建築ラッシュで、あちこちでクレーンを見かけるが、この事件を受けてクレーンを使ったNY市内での建設作業に一時中止命令が出されていた。

正直言って、これまでにも何度となく建築現場で事故が起こっては建設作業員が亡くなったり怪我をしているニュースが流れはするもののおざなりとなり、今年3月の事故で作業員のみならず別の建物に偶然居た一般人が亡くなり、マスコミも行政も建築現場に目を向けたような印象を受ける。

3月の事件現場から1ブロック離れただけの近くで現在建設中の別の建物があるが、5月末のアッパーイーストの事故が起こる前から、建築作業員達が雇い主に抗議行動を起こしてビラ配りや、抗議行動を周知してもらうための巨大なネズミを置いたり、プラカードをかかげて道行く人に賛同を得るよう話しかけていた。(画像左)
この巨大ネズミ、何度となく街中で見かけるが、初めて観た時は別の場所で、ネズミが黄色だったこともあり何かの宣伝?などと思ったものだが、顔を見ると可愛くない。この時はアスベスト問題で建築会社に抗議をする為に、アスベスト被害で亡くなった人の支援者が、建築会社のオフィスの前に置いていたもの。(画像右)
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建築現場の作業員らは何を抗議していたのか、ビラを見てみた。
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配っていたビラによると(抜粋):
・安全でない 
 3回の違反行為と89回の苦情
・フェアでない 
 移民やマイノリティのほとんどに対してフェアでなく、妥当な賃金よりも非常に低い賃金な上、
 必要最低限の健康も保障されていない。安全の為のトレーニングも行われていない。
・非倫理的
 業者は移民やマイノリティの貧困な状況から利益を得ており、業者側は、作業員は誰も最低ラインでは
 ないと回答してきている。
・考慮なし
 低賃金で健康管理もなく安全対策の為のトレーニングもない作業員が建てている建物は、1ベッドルームの
 部屋が100万ドル(約1億1千万円)近くで売られている。
・調査中?
 4月10日には安全の欠如という違反を受けている・・・云々。。。

抗議活動は安全面だけかと思いきや、どうやら低賃金の移民(合法の移民かどうかははなはだ疑問)を利用しているもよう。
建築業、飲食業、製造・生産業、清掃業などの多岐に渡る危険できつい仕事現場での移民の人達の低賃金の上に、社会があぐらをかいている事実を忘れてはならないと実感。