1966年に製作されたメトのラ・ジョコンダは、2年前にも上演されたが、今シーズンもお目見えした。
ラウラ役のオルガ・ボロディナと、エンゾ役のマチャドは、2004年時も同じ役で登場している。

by Amilcare Ponchielli
指揮:Daniele Callegari
ジョコンダ ベネチアの歌姫 La Gioconda, a ballad singer : Deborah Voigt
エンツォ かつては貴族で今は船乗り Enzo Grimaldo, a Genoese noble : Aquiles Machado
アルヴィーゼ ベネチアの総督 Alvise Badoero, Genoese nobleman : Orlin Anastassov
バルナバ アルヴィーゼの密偵 Barnaba, a spy of the Inquisition : Carlo Guelfi
ラウラ アルヴィーゼの妻で、エンツォのもと恋人 Laura a Genoese noblewoman : Olga Borodina
ジョコンダの母 ラ・チエカ(盲目の女)と呼ばれる La Cieca, La Gioconda's blind mother : Ewa Podles

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デボラ・ヴォイトは、一幕目に歌ったアリアの高音が全然出ておらず、ポドレスの素晴らしい歌の後だっただけに、ヴォイトへは力ない拍手のみだったが、2幕目以降はようやく声も出て来て良かったかと。

私としては、何故またマチャドなのか?という素朴な疑問。声質の好みだとは思うが、声がくぐもった感じではなく通っていてほしいし、またビジュアル的にも大いに疑問が。辛うじてデボラ・ヴォイトとは同じぐらいの背丈だが、大きなオルガ・ボロディナと並んで立つと、彼女の肩に彼の耳が来るぐらいの違いがあり、相思相愛のデュエットではオルガが低い段に立ったり、彼が立っていて彼女が座るなど工夫されてはいるが、最後に船に一緒に乗って去って行くシーンの時に同じ高さを歩くと歴然と不釣り合いに見えてしまった。
左はデヴォラ・ヴォイト、右はオルガ・ボロディナ(画像はJisooより)
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盲目の母役のポドレスが秀逸。大きな拍手やブラバーと声がかかっていた。彼女は1984年にメトデビューをしてから今回までメトには出演しておらず、NYタイムズの評にもあったが、どうしてそれ以降メトに呼ばれなかったのか不思議なぐらいの存在感。

そして今回の楽しみのひとつは、3幕のバレエシーン。ABTのダンサーがメインとして踊るのだが、アンヘル・コレーラかと思っていたところ、今回は同じくプリンシパルのマーフィとホールバーグだった。いずれもメトのオペラでは今回が初めての出演となるが、丁寧に踊っていて、とても綺麗だった。4幕目のデボラ・ヴォイトが歌った自殺の歌、そしてポドレスへの拍手の次に多い拍手と思えるぐらいだった。
美男美女なだけに、カーテンコール時に巨漢のオペラ歌手と共に現れた時には、同じ人間でもこんなに容姿に違いがあるものなのかと思えるぐらいだった。。。(画像はJisooより)
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2幕と3幕の間のインターミッションがやけに長いと思いきや、舞台にマイクを持った人が現れたので、キャストのトラブルかと観客は大きなため息だったが、彼の説明では大道具に問題があったとのこと。本来機械で動かす物が故障したので、スタッフが手で押しているので時間がかかってしまっているという説明に会場からは拍手。その説明をしている際、観客は静かに彼の説明に聞き入っているので、カーテンの向こう側で未だ一生懸命作業をしている大道具の人達の声が聞こえてくるぐらいだった。結局インターミッションは35分もあり、そうでなくても長い演目、終わったのは夜中の12時20分だった。