この演目は先週も観に行ったが、今日の一日だけマントヴァ公爵役をベチャーラ Piotr Beczala が歌うとのことだったので、行ってみた。
2月4日の公演 の席が、舞台に近過ぎて音のかたよりが酷かった為、今回は少し後ろの席に。

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by Giuseppe Verdi
Libretto by Francesco Maria Piave
指揮:Riccardo Frizza
マントヴァ公爵(テノール)The Duke of Mantua : Piotr Beczala
リゴレット、公爵に仕えるせむしの道化(バリトン) Rigoletto : George Gagnidze
ジルダ、リゴレットの娘、16歳(ソプラノ) Gilda : Aleksandra Kurzak
スパラフチーレ、殺し屋(バス) Sparafucile : Mikhail Petrenko
マッダレーナ、スパラフチーレの妹(メゾソプラノ)Maddalena : Viktoria Vizin
チェプラーノ伯爵(バリトン) Count Ceprano : James Courtney
チェプラーノ伯爵夫人(メゾ・ソプラノ) Countess Ceprano : Grazia Doronzio
モンテローネ伯爵、チェプラーノ伯爵夫人の実父(バス) Monterone : Keith Miller
マルッロ、公爵の廷臣(バリトン) Marullo : Sebastian Catana
マッテオ・ボルサ、公爵の廷臣(テノール) Borsa : Mark Schowalter

前回とはマントヴァ公爵役が異なるだけで、ほかの主だったキャストは同じなのだが、今日のお客さんの雰囲気が全然違った。
とにかく良く笑う。マントヴァ公爵に扮したベチャーラのアリア中でも、歌詞が面白ければ声に出して笑っている。
確かにベチャーラのアリアは非常に良かったと思うが、その後の拍手も前回歌ったフィリアノーティ Filianoti よりも長く、観客が拍手をより長く引っ張るような拍手の波があった。
そしてノリが良い。4幕目の有名な「女心の歌 La donna è mobile」のイントロが始まっただけで、あ!この曲、知ってる!と言わんばかりにざわつくのには驚いた。

同じ曲で同じ歌詞で同じ衣装をつけていても、歌手によって歌い方が違うのが面白かった。
フィリアノーティの方が低音など丁寧に感じたが、ベチャーラはより抑揚があるような感情移入型のような印象を受けた。
「女心の歌」の最後の「E di pensier!(=変わるよ)」の歌い終わり方などもベチャーラの方が、どうだ!と言った感じに聴こえた。
全く記憶が定かでないが、彼が 2006年度にメトデビュー をこの役で果たしている際に一度観たが、果たしてここまで自信に溢れて歌っていたかどうか。

今回は、後方に座ったこともあり、歌声とオーケストラの音が違和感なく聴こえてきて良かったが、非常に声量が少なく弱いと思われたアレクサンドラ・クルザック扮するジルダは、前半に高音が出し辛そうな印象だったが、ちゃんと聴こえて来ていた。
ただ、4幕目の扉を開けて殺される前の盛り上がり部分では、やはりオーケストラの音に歌声は全くかき消されてしまっていたが。
席が違うだけでこうも音や印象が違うのかと、今回は聴き比べられて良かった。

今日座った席の界隈は歌手らしき人達が多く、前回も観にに来ていた Joyce El-Khoury が居たり、3幕目の出演を終えたモンテローネ伯爵役のキース・ミラー Keith Miller がお化粧なども全て落として4幕目だけ客席から観ていたり。偶然私の席の隣のカップルも男性がオペラ歌手で彼と友達とのこと。キース・ミラーに写真を撮らせてもらった。
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以前参加したバックステージツアー時に、地下スタジオで彼がたった一人でこのオペラの練習をしていた所にお邪魔して話を聞いたことがあったので、そのことを言うと喜んでくれた。
因みに彼はフットボールプレイヤーからオペラ歌手に転身したという異色の経歴の持ち主。