ブロードウェイの色々な公演をパロディ化しロングラン上演していたオフブロードウェイのこの作品も、3月1日で閉幕となるので行ってみた。
昨夏の BROADWAY IN BRYANT PARK で急きょ登場し、その時にはアニー、シカゴ、レ・ミゼラブルをパロディ化していてとても面白かったので、是非行きたいと思っていた。(この時の出演者は今回のキャスト3名と James Donegan の代わりにアンダースタディの William Selby だった)

オフブロードウェイなので客席数が少ないこともあり、マイクを使わないでセリフを言う時もあるぐらいだが、出演者わずか4人のクオリティーが非常に高い。
平日マチネに行ったこともあってか、観客は往年のブロードウェイファンが多いようで、平均年齢が高いが、色々なブロードウェイ作品を観て来ている人らしき印象。

次から次に衣装を変えカツラをつけるなどして、現在や過去上演されていたブロードウェイ作品のそれぞれ1~2曲をパロディ化していくが、歌詞も替え歌になっていて歌詞の内容を把握するには私の英語力では不足だったのは残念だったが、それでも十分楽しめた。
1 1
出演:Christina Bianco, James Donegan, Gina Kreiezmar, Michael West
ピアノ:David Caldwell (音楽監督も務める)

シカゴ Chicago : "All That Jazz" などから
イン・ザ・ハイツ In the Heights : ドミニカなど中南米系のコミュニティであるモーニングサイドハイツが舞台の現在のウエストサイドストーリーと言われているだけに、あえて今日の観客は90%がユダヤ人だね!と言ってみたり、こてこてのスペイン語訛りで歌ってみたり、ウエストサイドストーリーの曲をもじったり。
人魚姫 Little Marmaid : ディズニー作品なので、ディズニーの揶揄
アヴェニューQ Avenue Q : Lion King の鳥のかぶり物も登場しつつ、パペット人形登場
二都物語 A Tale of Two Cities : すでに昨年閉幕し、レ・ミゼラブル 同様フランス革命ものだったこともあり、フランス革命ものが又上演されないかなぁと
ジャージーボーイズ Jersey Boys : 空前のヒット作をもじって "hit" としてマイクに頭をぶつけてみたり
アニー Annie : 10歳でアニーを演じていた自分は今はもう30歳、早く上演してくれないと白髪になるっとタバコをスパスパ吸うアニー
南太平洋 South Pacific : フランス人ベックはフランス語訛りの英語のはずだが、現在リンカーンセンターで演じているのはアルゼンチン人ということであえてスペイン語訛りにしてみたり
メアリー・ポピンズ Mary Poppins : やはりディズニー揶揄
ボクシング
エクウス Equus : ハリー・ポッター主演のダニエル・ラドクリフが現在主演しているので、ハリー・ポッターの格好からいきなりエクウスのような格好になるなど。馬役のかぶり物はハンガーで出来ていた。
ジプシー Gypsy : 主演のパッティ・デュポンの歌マネ

ヤングフランケンシュタイン Young Frankenstein
ライオンキング Lion King : 最初に登場するアフリカ系の人の衣装にミッキー・マウスなどのディズニーキャラクターの人形をたくさんくっつけるなど。シンバ役など頭上にライオンのかぶり物を乗せているのでむちうち症になったとして首にサポーター付き。
春の目覚め Spring Awakening : 若者の性の目覚めをテーマにしている作品だけに、「この作品は(保守的な)デンバーで上演できるか?」などと言っていたが、なかなか誇張した動きに、観客の高齢者たちは実際のミュージカルを観ていないのかも知れないが、やや引き気味だったかも。
ライザ・ミネリ Liza Minnelli : 本人の歌マネ
ザナドゥ Xanadu : 実際にローラースケートを履いて歌っていた
ウイキッド Wikid
ヘアースプレー Hairspray
サンデー・イン・ザ・パーク Sunday in the Park / スイニー・トッド Sweeney Todd / イン・トウ・ザ・ウッズ Into the Woods :いずれもスティーブン・ソンドハイムへのオマージュ風

今もロングランを続けている オペラ座の怪人マンマ・ミーア や、今は上演していないが私としては一番好きな レ・ミゼラブル がなかったのはちょっと残念だったが、それだけまた新しい作品が現れたということでもあるかと。
ただただブロードウェイの作品を面白おかしくパロって終わりではなく、このまま行ったらブロードウェイはディズニーワールドと化してしまうと辛口警告をし、非常に難解とされるスティーブン・ソンドハイムの作品達を褒め称えたところに、この作家の主張がはっきりと表れていてなかなか良かったかと。