鵜飼は屋形船で食事をしつつ観ることも出来るが、お料理の内容が異なる上、落ち着いて部屋で食べたかったので、ホテルで夕食を済ませた後に、鵜飼を観に行った。夕食や鵜匠さん宅の様子は その1を。

屋形船で食事をする人達は、未だ明るい時間帯から徐々に上流に移動していく。
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この屋形船は、現在でも昔ながらの造船方法で造られ、重石で木をそらせるなどし、設計図はない。1艘造るのに半年はかかる為、1年で2艘しか出来ないとのこと。
15名乗りから50名乗りまであり、モーターのついた大型の物もあるが、30名は乗っていそうな船でも櫂と竿だけで漕いでいるものもあり、それはそれは重労働。モーター船には現在女性の漕ぎ手が4名おられるとか。
尚、モーター付きとは言っても、鵜飼が始まるとあくまでも櫂や櫓などによる手漕ぎになるので、モーターは上流に移動する際にだけ使用されている。

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そしていよいよ鵜匠さんの出番。腰みの、風折烏帽子、ワラジなど古式の装束で、細い鵜舟に乗り込むが、ワラジは足中と言って通常の半分の大きさで、かかと部分はそのまま裸足で地面に触れることになる。魚の脂や水垢で滑らないようにしている為だそう。
後ろにはとも乗りとうい鵜舟を操る人、もう一人はなか乗りで助手の役割をする。この画像での船の後ろ部分には篝火をつける弓なりの篝棒がついている。
この鵜舟も、5年で次の舟に変え、その古い舟が宇治川など他の地方で行われている鵜飼に使われているとか。
鵜匠さんは前の記事にも書いたが、ここでは、宮内庁式部職鵜匠として認定されている6名のみの世襲制。他の地域で後2名認定された鵜匠さんがおられるとのことだが、それ以外の地域で行われている鵜飼の鵜匠さんは市の観光局の職員だったりするのだそう。

花火が数発上がり、鵜飼が開始。
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1番目の船になるか6番目になるかどうかで獲れる鮎の量も異なる為、毎回、船頭さん6人が紐を使った籤引きをして、1番船からの順番を決めていく。
我々は1番船に沿って観ることになったが、この日は杉山市三郎さんの鵜舟だった。
からみそうになった鵜の紐を上手にときながら、操っていく。
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鵜は1時間で多い時は60匹ほどの鮎を捕まえるそうだが、一旦飲み込んだ鮎は喉元で溜めているので、その部分が膨らんできたら、鵜匠さんが右手でぱっと鵜を捕まえ、左手でくちばしを開けて鮎を吐かせる。鵜は一回に600~700グラムの鮎を溜めておけるとか。あっという間の手さばきなので、ぼやぼやしていると良くわからないぐらい。
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寝ている鮎が篝火に驚いて動き、篝火の明かりをもとに鵜がその鮎を捕まえるしくみで、鵜は火の粉にも動じていないのは凄い。篝火は、それはそれは熱いらしい。
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最後は、6艘での総がらみという漁法。6艘が横一列になって鮎を浅瀬に追い込んで巻狩りをする。
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船頭さん曰く、この日は週末だったこともあり約50隻の屋形船が観光していたので、鵜舟の両側に屋形船が停まって観ることになり、川岸のホテルもこの時だけは窓の灯りなどを消してくれるのだが、反対側の屋形船の灯りが眼に入ってしまう。空いた日だとより鵜舟の篝火だけで綺麗なのだとか。
なかなか面白く、もっと観たいと思うぐらいに時間が短く感じてしまった。