2月3日から始まった名古屋でのサロン・デュ・ショコラ。今年で5回目なのだそう。
2
1995年にパリで始まったイベントだが、パリを始めマルセイユ、NY、北京、上海、モスクワ、マドリッド、カイロそして日本ではなんと6都市(東京、京都、名古屋、福岡、仙台、札幌)で規模の大小はあるが開催されている。いかに日本人がフランス菓子好きか、チョコレート好きか、日本がいかに良い市場かを如実に表しているのかも。

NYでは「CHOCOLATE SHOW」と称して開催されていたので行ったことがあるが(その様子は こちら)、NYの場合は広いイベント会場を借り切り、入場料25ドルを取るという方式。フランスからの出展は少なく、日本からはメリーズが出展していたが、アメリカ各地のショコラティエが多く、日本のように各デパートの催事会場のような販売一辺倒とはやや雰囲気が異なっていた。

今回名古屋で行われる名鉄百貨店本店の「サロン・デュ・ショコラ」には、世界7カ国から約80ブランドが参加しているのだとか。
会期中には、8人のショコラティエやパティシエによるセミナーもあったので、ジャン=ポール・エヴァン氏のセミナーに参加してみた。
1 2
エヴァン氏がマダガスカルに行った際、自ら撮った写真を会場で流しての解説。
「マダガスカルから帰還して」と題され日本語の解説付きの画像を編集した10分弱のビデオを上映。マダガスカルでのカカオの栽培、収穫、焙煎、粉砕、発酵の過程を追っている。
マダガスカルでは、カカオの中が白いクリオロ種(中が紫色のトリニタリオ種などがある)で、焙煎を丁寧に、粉砕時も温度が過剰に上がらないように管理されることで豆本来の味が大切にされている。そういう方法が最近の流れなのだとか。発酵も通常であれば7~8日かけるところを、あえて3~4日ぐらいにすることで発酵味が出ないようにしている。
それぞれカカオ豆の産地によって味が異なるのだそう。マダガスカル産は高品質なぶんだけデリケートでもあり、コロンビア産はコーヒーを思わせ、エクアドル産はほのかな花の香り、メキシコ産やキューバ産は濃厚でスパイシー、コートジボワール産は世界のチョコレートの約80%の生産をしているが繊細さに欠け、ガーナ産はややそれよりは繊細さが出てくると言った特徴があるのだとか。
また、食べる時の部屋の香り(香水など)のみならず、目でも味わう為の照明にも気を配ってほしい、また、アーモンドを塩キャラメル風のチョコレートでコーティングしたものとは、コニャックなど強いお酒とも合うので、そういうマリアージュも楽しめると。

参加費用は無料なので人数制限があるのだが、4種類の試食をいただけた。食べる時は、一口でぱくりと食べるのではなく、半分に切って中の断面を見てほしいと。丸いパレファンロンは、噛まずに口の中でゆっくり溶かすようにすると、バラのフレーバーがついていなくても、ほんのりバラの香りがしてくると。。。
キャラメルサレー(塩キャラメル)は、エヴァン氏がブルターニュ生まれの影響からだそうで、塩はリズム感を与えてくれるとのこと。(因みに、リップスとアムールそれぞれ各420円)
1
右:「リップス」
ダークチョコ(ノワール)ベースで、砂糖はミルクチョコ(オレ)よりも少なめ。ヘーゼルナッツのプラリネに、オレンジ風味。上のピンクのリップマークはヴァレンタイン用のものだが、エヴァン氏自身のリップマークをもとに作られたのだとか。複雑な味で美味しい。
左:「アムール」
ショコラオレで、アールグレーの香りのするアーモンドミルクを使用。中のキャラメルが流れ出て来る。
上:「パレファンロン」
ショコラ・ノワールで、ベネズエラ産カカオ76%を使用。
下:「パレファンロン」
ショコラ・オレで、キャラメル風味のミルクチョコにゲランド産の自然海塩(フルール・ド・セル)が入っている。塩が最後に氏が言うようにアクセントになっていた。

チョコレートはカロリーは高いが、栄養滋養に富み、少量で幸せになれる食べ物だ、と締めくくっておられたが、予定の1時間を軽く20分ほど超過して、未だ未だ話し足りない風で、司会の人に何度も促されながらの〆の言葉となった。
前日には、福岡のサロン・デュ・ショコラのセミナーで講演していて多忙なエヴァン氏だが、名古屋でのセミナーは午後と夕方なのにもかかわらず、朝から下見に来て何気に黒地に青いゴヤールを持っておられたのを見かけた。


各ブースやインポートブランド各種も非常に面白い。話題のファブリス・ジロット氏のアクアカオシリーズは一般販売の前の内覧会でほとんどが売れたそうであいにくなかったが、ジャック・ジュナン氏の物とオテル・デュ・キャップ エデン・ロックの物とを購入(追ってそれらは記事にします)。
ショコラ・デュ・マルシェのコーナーには、色々な日本のお店のチョコレートがひとつずつ詰め合わされたものがあったので、それも買ってみた。2100円。
1
手前左から 
ラ・ピエール・ブランシュ(神戸・元町)白岩忠志氏 トリュフマロン:マロン風味
ガトー・ド・ボワ(奈良・大和西大寺)林雅彦氏 アメール:ブラックトリュフ
ル・ショコラティエ・タカギ(東京・世田谷)高木康政氏 トリュフナチュール:ブランデーの香り
後列左から
アニバーサリー(東京・南青山)本橋雅人氏 苺トリュフ:ドライの苺入りガナッシュ
イグレック・プリュス(神戸・北野)多田征二氏 デザント:マンゴー風味にレモンとライムリキュール使用
パティスリー・タダシ・ヤナギ(神奈川・海老名)柳正司氏 トリュフカフェ:コーヒー風味で周りにシナモンパウダー

どれもそれぞれ特徴があって美味しいが、トリュフマロンが結構好きだったかも。