NYのメトロポリタンオペラが5月末に来日し、6月初旬に名古屋と東京で、400名にも渡るスタッフによる引っ越し公演を行ったが、オペラ公演を終えたバルバラ・フリットリのリサイタルが行われたので行ってみた。

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指揮 : ケリー=リン・ウィルソン
管弦楽 : 東京フィルハーモニー交響楽団

<前半>
ビゼー 歌劇 「カルメン」 より 「前奏曲」 オーケストラのみ
ビゼー 歌劇 「カルメン」 より 「何を恐れることがありましょう」 バルバラ・フリットリ
ビゼー 歌劇 「カルメン」 より 「第三幕への間奏曲」 オーケストラのみ
グノー 歌劇 「ファウスト」 より 「宝石の歌」 バルバラ・フリットリ
マスネ 歌劇 「タイス」 より 「タイスの瞑想曲」 オーケストラのみ
マスネ 歌劇 「タイス」 より 「私を美しいと言って」 バルバラ・フリットリ

<後半>
ヴェルディ 歌劇 「運命の力」 より序曲 「シンフォニア」 オーケストラのみ
ヴェルディ 歌劇 「運命の力」 より 「神よ平和を与えたまえ」 バルバラ・フリットリ
ヴェルディ 歌劇 「アイーダ」 より 「前奏曲」 オーケストラのみ
ヴェルディ 歌劇 「アイーダ」 より 「おお、わが故郷」 バルバラ・フリットリ
プッチーニ 歌劇 「マノン・レスコー」 より 「間奏曲」 オーケストラのみ
プッチーニ 歌劇 「マノン・レスコー」 より 「この柔らかいレースに包まれても」 バルバラ・フリットリ
プッチーニ 歌劇 「蝶々夫人」 より 「ある晴れた日に」 バルバラ・フリットリ

<アンコール>
プッチーニ 歌劇 「プッチーニ」 より 「歌に生き愛に生き」
カタラーニ 歌劇 「ワリー」 より 「さようなら ふるさとの家よ」


とても良かった。
残念ながら、(名古屋ではいつものように?)空席が目立っていたが、最後は観客がスタンディングオベーションをする公演となった。名古屋では未だそれほど数多くのコンサートやバレエなどを観てはいないが、スタンディングオベーションを見たのは初めてだった。
NYのメトロポリタンオペラだったら、さしずめ感動した観客が手元にあるパンフレットの PLAY BILL を契って、席から花吹雪にして撒いて感動を示す時のような気分に久しぶりにさせてもらった。

そして指揮のケリー=リン・ウィルソンは、すらっと背が高く痩身で8頭身?と思えるぐらい足が長く、ブロンドの髪をポニーテールにした女性。女性指揮者としては、西本智実さんのコンサートを見たが(その様子は こちら)、どうして女性指揮者はこんなに素敵で恰好良いんだろうと。ビジュアルばかり気にしてしまっては失礼だが・・・

ちょっと辛口としては・・・ (以下は独り言としてご理解下さい。) 
「タイスの瞑想曲」 のヴァイオリンソロは、頑張っておられたのだが、ご本人のド緊張が伝わる演奏で・・・
メトで聴いた時は(その様子はこちら)、Principal Associate Concertmaster の Laura Hamilton と一番手の方ではなかったものの、ずっと良かったような・・・
バレエの時の日本のオーケストラのレベルの低さに辟易としていただけに、今回はさすがに良かったのだが、それでもプワ~~~ンと2回ほど吹き始めたのには、、、
素晴らしい日本人演奏家は海外に出てしまうからだ、という人もいたが、、、


話変わって、今回の東日本大震災による放射能を懸念してのメトロポリタン歌劇場公演の歌手達のドタキャンの連続は、さすがのピーター・ゲルブ総裁も相当大変だったもよう・・・

もともとバルバラ・フリットリは 「ドン・カルロ」 のエリザベッタ役で公演するはずだった。
一方、「ラ・ボエーム」 のミミ役のアンナ・ネトレプコは、5月30日に名古屋に到着する予定だったが、25日に放射能を懸念して来日をキャンセルしたいとピーター・ゲルブ総裁に連絡を入れ、1時間にも及ぶゲルブ氏の説得も実らず。代役探しが間に合わず、急きょ「ドン・カルロ」 に出演するはずだったバルバラ・フリットリを 「ラ・ボエーム」 のミミ役へと変更。フリットリ自身、その話を聞かされたのは27日に来日してホテルに向かう途中の車中だったとか。28日にフリットリが承諾し、そしてフリットリが担当するはずだったエリザベッタ役には、急遽マリーナ・ポプラフスカヤが呼ばれるという展開となった。
そんなこんなで、フリットリは非常に頑張ってくれた来日となったわけで、それだけでも拍手をより送りたい気分だった。

因みに、フリットリのこのリサイタルは、名古屋国際音楽祭のプログラムのひとつで、先日観に行った英国バーミンガム・ロイヤル・バレエ団の 「眠れる森の美女」(その様子は こちら) もそうなのだが、他に企画されていたドレスデンフィル、ブカレスト国立歌劇場、アンネ=ゾフィー・ムターのリサイタル、スロヴェニア国立マリポール歌劇場の4つのプログラムがキャンセルとなるなど、今年は企画者の方々もさぞや大変だろうなと。。。