いつでも行けるとのんびり構えていたら、会期が週末までとのことだったので、慌てて行くことに。
ドイツのシュテーデル美術館が改築工事になっている間に、貸し出されたフランドルの絵画の展覧会で、この日で来館者が10万人を突破したとのことだった。今までの豊田市美術館の企画展での最高入場者数が5万人に満たなかったことからもいかに凄い人気だったかと。(画像はHPより)

歴史画と寓意画

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フェルディナント・ファン・ケッセルに帰属
「ネズミのダンス」1690年頃
「猫のいない間にネズミはダンスする」という
オランダの諺を表したとされる。
後ろには、想像上のイルカが描かれている。


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ペーテル・パウル・ルーベンスとヤン・ブックホルスト
「竪琴を弾くダヴィデ王」 1616~37年頃
もともと、ルーベンスが描いたのは右上の老人の姿だけで、特定の人の肖像とは言えない人物画であるトローニーというものを描いておいた。そして後に、弟子のヤン・ブックホルストがダヴィデ王にみたてて竪琴などを左側と下の部分を継ぎ足し描いた。
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レンブラント・ファン・レイン
「サウル王の前で竪琴を弾くダヴィデ」
1630~31年頃







肖像画

貿易バブルだったので、肖像画を描いてもらうことがステイタスシンボルだった。胸から上の肖像画で、労働者の収入の2カ月分の値段がした。

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コルネリス・ド・フォス
「画家の娘、ジュザンナ・ド・フォスの肖像」1627年
スリットの入った洋服は大人の洋装。
斜め4分の3の角度は肖像画の定番
愛娘なので可愛いくこれでも描いたのかなあ。。。


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レンブラント・ファン・レイン
「マールトヘン・ファン・ビルダーベークの肖像」1633年
穀物商人の夫人で、襟などスペインではやった
ファッションの影響がわかる。
頭には、既婚者が付ける頭巾をつけている。

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ヨハネス・フェルスプロンク
「椅子に座る女性の肖像」1642~45年頃



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フランス・ハルス
「男の肖像」「女の肖像」1638年
この時代では先駆けて個性のあるタッチ。
黒の表現が非常に巧みで、彼の黒は27種類あると言われていた。
マネやゴッホが影響を受けた。

地誌と風景画

宗教画や歴史画の添え物だった風景画が、主役となっていく。

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ヤーコプ・ファン・ロイスダール
「滝のあるノルウェーの風景」1670年
ノルウェーにも行ったことがなく、平地のオランダでは
ありえない風景だが、想像して描いた。
ミレーやコローなどバルビゾン派に影響を与えた。

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アールト・ファン・デル・ネール
「漁船のある夜の運河」1645~50年頃
遠近法の消失点と光源を結び付けている。
実際に見ると、もっと暗くて
黒っぽい中に光のある絵だった。

風俗画と室内画

好景気にわく市民の生活が良くわかる。神話の時代を描くのではなく、個人の個性に注目しだした画風となる。
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フェルメール
「地理学者」1669年
顕微鏡で微生物の研究を行ったアマチュアの科学者であるアントニ・ファン・レーウェンフックがモデルとなっている。フェルメールと同い年で、フェルメール没後の彼の遺産管財人にもなってあげた人。
「天文学者」2枚ひと組の絵のモデルでもあり、フェルメールの男性単身像としてはこの2点のみ。
ピンホールカメラ(カメラ・オブスキュラ)を使って描いたのではないかとも言われている。
オランダの東インド会社の総督が発注した為、地理学と天文学がテーマになったと考えられている。
上着はヤポンス・ロック(日本の着物)で、富裕層や知識層で流行った。
デルフト焼きのタイルが壁の下にはめこまれている。
ゴブラン織りの質感が良く伝わってくる。


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ピーテル・ヤンセンス・エーリンハ
「画家と読みものをする女性、掃除をする
召使のいる室内」 1665~70年頃
召使、女主人、画家が本来の逆の順に描かれている。光の作用を巧みに取り込んでいる。




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ヘラルト・テル・ボルヒ
「ワイングラスを持つ婦人」1656~57年
郵便制度が整った頃で、手紙を書くのがブームだった。
フェルメールよりも少し先の時代。

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ヘリット・ダウ
「夕食の食卓を片づける女性」1655~60年頃
実際に観てみると、もっと暗くてほとんど
中央部分しかわからないぐらいだが、微妙な
暗さの中に色々と描きこまれていた。


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アントリアーン・ブラウエル 
「苦い飲み物」1636~38年

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ディルク・ファン・バーブレン
「歌う若い男」1622年
生々しい描き方は、イタリアの画家である
カラヴァッジョに影響を受けている。

静物画

宗教画・歴史画 > 肖像画 > 風俗画・静物画 という位置づけで、テーマによって格が違っていた。

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ヤン・ブリューゲル(父)の工房
「ガラスの花瓶に生けた花」1610~25年頃
違う季節の花が混ざっているが、大航海時代、新大陸やアジアを含め諸外国から、ヨーロッパにはさまざまな珍しい植物やその標本がもたらされたことの表れ。
花は栄枯盛衰を意味する。




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コルネリス・ド・ヘーム
「庭の欄干の前の野菜と果物のある静物」
1658年
中国の磁器は非常に高価だったが、わざと
ぞんざいに置くアングルが流行っていた。






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ミュージアムショップの一角に子供のおもちゃのガチャガチャのような物があった。
フェルメールの絵画8点のマグネットやジグソーパズルだったので、思わず童心に返って1個300円のマグネットを2つ。





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最後の一週間の来場者の先着の
人達には、ポストカード2枚の
プレゼントもあった。








松井紫朗 「-亀がアキレスに言ったこと 新しい世界の測定法-」 展や常設展も観たが、その様子は
その2 で。