熊川哲也率いるKバレエカンパニーの春ツアーの「海賊」を観に行った。

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芸術監督 : 熊川哲也
演出・再振付 : 熊川哲也
原振付 : マリウス・プティパ Marius Petipa
台本改訂 : 熊川哲也
音楽 : アドルフ・アダンほか Adolphe Adam etc.
指揮 : 井田勝大
演奏 : シアターオーケストラトーキョー

メドーラ Medora 若いギリシャの娘 : 荒井祐子
コンラッド Conrad 海賊 : スチュアート・キャシディ Stuart Cassidy
アリ Ali コンラッドの忠臣 : 熊川哲也
グルナーラ Gulnara メドーラの妹(本来はメドーラの友人) : 松岡梨絵
ランケデム Lankedem アドリアノープルの奴隷商人 : 橋本直樹
ビルバント Birbanto コンラッドの友人 : ビャンバ・バットボルト Byabaa Batbold
サイード パシャ Said Pasha トルコ総督 : ニコライ・ヴィユウジャーニン Nikolay Vyuzhanin

2幕1場のパ・ド・トロワ Pas de Trois : 日向智子、神戸里奈、白石あゆ美

今日の会場は、昨年11月に シルヴィ・ギエムと東京バレエ団 が名古屋に来た時(その様子は こちら)以来か、それ以上の盛況ぶりに感じた。Kバレエカンパニーは、2009年に 「ジゼル」(その様子は こちら)を観ているが、その時はやや空席が目立っただけに、やはり演目による人気なのかどうなのか。

やはり、2幕のメドーラ、コンラッド、アリのパ・ド・トロワが見せ場であるが、とにかく熊川哲也氏のアリ。ピルエットでは、軸がぶれることなく、まるでフィギュアスケートのスピンのようにあえて頭や上半身を右側に傾けて回転してみせたり、両手を広げながら回るのではなく手先を脇につけるように肘をたたんで回ってみせるなどしてくれたので、観客からは歓声があがっていた。
最後、床に横たわって片手を天に着き出すポーズで拍手をもらった後、そのまま立ち上がって客席に相対するのではなく、一旦観客席に背中を向けて立って背中で演技?をする間をとってから客席に向き直るなど、自分演出は相変わらず凄い。
メドーラの荒井祐子さんも素晴らしい。オーケストラの音楽に合わせてのピルエットの時には、会場からはリズムに合わせて手拍子が起こり、最後までぶれることなくとても綺麗で拍手喝采。彼女が愛知県出身ということもあるのかも知れないが、素晴らしい演技に会場は盛り上がった。
それにひきかえ、スチュアート・キャシディ氏は、片膝をついた最後のポーズの時にぐらつくなど。。。3人ともプリンシパルであり、キャシディ氏は助監督も務めているはずなのだが、、、

グルナーラ役の松岡梨絵さんも、悲壮感ただようパ・ド・ドゥでとても良かった。
2009年の公演の「ジゼル」では、ファーストソリストの橋本直樹氏が6人の農民の一人を演じていて、その時も良いなと感じたが、今回のランケデム役でもその本領を発揮。
今回のツアーでは、熊川哲也氏が出演しない時の2回は彼が代わりにアリを務めているだけある。
一時、テレビのMCや、ドラマにも出演していた宮尾俊太郎氏は名古屋での公演では出演しなかったのは残念だったが。

カーテンコールは、全員でのアンサンブル・カーテンコールが4回、幕前での個別のカーテンコールが2回あったが、2回目の幕前でのカーテンコールと、3回目と4回目のアンサンブル・カーテンコールには、熊川哲也氏のみアリのポーズを取るなどし、会場からは笑いと共に大きな拍手を受けていた。
そう言えば、熊川哲也氏は、2007年にこの「海賊」のアリ役での札幌公演中に着地で怪我をしていた。現在40歳の彼にとっては、後どれぐらい現役で踊っていてくれるかが気がかりかも。