旧国鉄中央西線の廃線になったトンネル群を見学しに行った。
 
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明治33年(1900年)に名古屋と多治見間が開通し、昭和41年(1966年)まで使用されていたが、そのまま放置され、2006年に発見されたもの。発見時は、41年の間に軌道上に樹木が生い茂り、数百本のモミジやツバキ、野フジなどの自然林が出来ていたのだそう。全長8キロの間の愛知県側に1号~6号トンネル、岐阜県側に7号~14号トンネルがあるが、現在は愛知県側の1.7キロの間の3~6号の4つのトンネルが、春と秋に一般公開されている。すでに10回公開し、今秋公開された11月22日~27日には、2万人弱の観光客が訪れたのだそう。一般公開後の特別見学会に行ったのだが、モミジの見頃はやや過ぎてはいたものの、未だそれでも綺麗な自生のモミジなどが楽しめた。
 
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3号トンネル
全長76メートル
 
トンネルは馬蹄形の総煉瓦造りの山岳トンネル。
 
 
 
 
 
 
 
 
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トンネル内には瓦礫が残っているのだが、昭和41年の新・中央線開設時に掘り出した瓦礫説や、東海集中豪雨時の崖崩れの廃棄場所など諸説ある。
トンネルの上部は黒く汚れているが、これはSLがはいた煤によるもの。
 
当時の日本では未だ技術がなかった為に、建設にはイギリス人が来て指導してくれたのだそう。
煉瓦には、フランス積みとイギリス積みとがあるが、外観が優れているフランス積みは強度でおとり、イギリス積みが最も強度に優れている。
ここで培われた岩盤削岩技術をもとに、熱海、関門、丹名トンネルが造られた。
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3号トンネルを越えると、竹林が広がる。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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竹林の間からは、綺麗な庄内川が望めた。
 
我々が歩いている所は本来レールの上となるのだが、現在は全くレールなどはなく、遊歩道として整備されている。
 
レールの製造は、明治34年(1901年)に、官営の八幡製鉄所が開始し、輸入をやめて完全国産化となったのは昭和6年(1931年)から。この線はそれよりも古い為、全て輸入で、廃線後のレールは、屑鉄となるか、全国各地の構造物や骨材となったのだそう。
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落石防護柵にも、現在
そのレールは使われている。
 
 
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4号トンネル
全長75メートル
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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煉瓦にある割れ目は、蒸気機関車が脱線し、トンネルの側壁にもたれかかって出来たもの。
明治時代の小ぶりな機関車に合せて造られたトンネルは、昭和のD51などの大型機関車には狭く、手を伸ばせば壁についたほどとのこと。
 
 
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三四五
(みよい)のモミジ
 
 
 
 
 
 
 
 
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トンネル工事の時に邪魔になったモミジの大木を切り倒したが、その後、その切り株から3本の新芽が芽吹き、現在では愛知県下で最大のモミジに育った。樹高は18メートルで推定樹齢は98~110年。
 
 
 
この辺りは玉野渓谷で、昭和初期までは名古屋からの観光客で賑わっていたとか。
 
 
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NPO法人の保存再生委員会の方に
よって造られた水車
 
 
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中継信号機・継電器箱の台座跡
 
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5号トンネル内部
全長99メートル
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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トンネル群調査・整備中に土中から発見されたモルタル製の少女のレリーフが彫られた稚児地蔵
 色々な刻印がある煉瓦
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6号トンネル
全長333メートル
 
 
 
 
 
 
 
 
 
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トンネル内は先が見えずに真っ暗だったので、各自懐中電灯を持って進むことになる。
画像はやれやれ出口に近づいた所だが、それまでは前も後ろも漆黒の闇。
 
 
 
 
 
 
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庄内川沿いの玉野古道跡を。
 
大エノキ 樹高27.5メートル、推定樹齢200年以上
本州では珍しい根が板のように地表に
出ている板根(ばんこん)となっている。
 
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三位一体の木
一番大きな木はエノキ、二股に分かれているのは
クマノミズキ、左右にある細い木はイヌシデ
 
 
 
 
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保存再生委員会の調査で、樹木種は111本、草花種は160本、昆虫なども含んだ動物が368種あるのだそう。
 
 
アオキの実
 
 
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スズカアザミ
 
 
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タチツボスミレ
本来、花期は4~5月のはずだが
何故だか1輪だけ咲いていた。
 
 
 
 
 
晩秋の自然と廃線トンネルという初めての体験は、なかなか面白かった。