一昨年に一度見たのだが、今年もイメージフォーラムフェスティバルを少し見てみることに。
 
1987年から開催されている日本で最大規模の映像アート作品の祭典で、ゴールデンウイークから始まった東京を皮切りに、京都、福岡、名古屋、そして横浜と廻る。名古屋では5日間、20のグループに分けて上映され、1つのグループに1つの長編作品の時もあれば、わずか3分程度の短編は組み合わせて上映される時もあり、ジャパン・トゥモロウという一般公募部門と、ニューフィルム・ジャパンという招待部門からの作品が混在して上映されている。(画像は全てHPより)  (ネタバレあり)

 
イメージ 1
「みずうみは人を呑み込む」 宮川真一
今年の一般公募部門での大賞受賞作。
 
宮川と藤波という男性とのビデオレターによる往復書簡という形式で始まるが、宮川は湖で事故死した為にビデオレターは途絶え、その彼の家を藤波が訪ねていくが・・・
そして実は藤波という男性は存在しておらず、宮川が自分を湖で再生させたかった・・・
ストーリーを追っていくと実は逆、実は逆、となり、面白かった。
出来ればもう一度、頭を整理する為にも見たいかも。作者さんが会場に来られていたので、作品について少しだけトークがあった。
人間ひとりの創造力には限界があることや、学校に行っていた時のクラスメートの作品から緊張感が得られて良かったので、競作として作りたかったが、途中で相手と温度差があった為、往復書簡の構想から違うものへと変わったのだそう。
 
イメージ 2
 
 
「そこにかえる」 花岡梓
優秀賞受賞作。
 
作者さんの故郷で、亡くなったおばあ様の雨戸を閉めるシルエット、そして今は自分が雨戸を閉める、、、など、お父様と作者さんとの方言を交えたナレーションが展開。
8ミリフィルムでのノスタルジックな作品だった。
 
 
 
イメージ 3
 
 
 
 
「年と近くのフィールドノート 1」 黒川芳朱
 
作者がビデオを片手に色々な情景と語りを展開。
正直、難しかった。。。
 
 
 
 
 
イメージ 4
 
「痕跡 imprint 内藤陳がいた」 
かわなかのぶひろ
 
作者とコメディアンの内藤陳氏との関わりを東京の下町を中心にドキュメンタリー風に紹介していくもの。
冒頭は、作者の妹さんが運転し作者が助手席に居た時に、居眠りした車と衝突。作者はろっ骨を折って救急車で病院に搬送されるのだが、事故の起こりたてからずっとビデオを作者自身が回し続け、救急車の中や ICUに入っている状態までもを作者が撮影しているのには驚かされた。長年、内藤陳氏にかかわった大勢の人達の「死」というものを絡めている。
私にはちょっと古い時代や古い人達ばかりで、懐古的過ぎたかも。
 
イメージ 5
 
「Photographs from Unknown Man」 尾沼宏星
 
5年前にインド、バングラデシュ、ネパールで撮影した色々な街の人々のポートレイトを持って、再び彼らを捜し歩くロードムービー。
 
幼少時の作者を撮ったおばあ様のホームビデオ、そして今は病床に伏されているおばあ様、、、
かつて自分を撮ってもらった写真と今とを見比べて喜ぶ人もあれば、もうすでに亡くなっている人もあったり、何一つ変わらない老人がいたり、、、
この画像の少年ともう一人いつも仲良くしていた少年が5年前はいたのだが、5年後にはこの少年しかその場にはおらず、ともすると説明し過ぎ?と思えるぐらいに文字による説明があるのだが、その友人の少年の今は説明されず、寂しげなこの少年の顔が映し出される。
私としては、自分が行ったことのあるインドの町や、ネパールの町などが出てくることもあり、とても興味深かった。作者の方が、テレビ局のADをされていることもあってか、テレビのドキュメンタリーを見ているようでわかりやすい印象。
 
 
無料なエリアでは、一昨年と同じ作家さん達によるインスタレーションも。
 
イメージ 6
 
「フィルム石磨きフィルム石置き去り」 
鈴木余位
 
 
良く良く見ると、色々なフィルムが球体を形成している。
フィルムからデジタルに移行しつつあることへの思いのよう。
 
 
 
イメージ 7
 
「自由落下」 伊藤隆介
 
小さな模型を撮影して、それを拡大することで実際にとても大きなものとして立体感を感じられる。
手前の雲は、カメラの前をぐるぐる回る綿?のようなものだったりする。
 
 
 
 
作者曰く
「回転運動を続ける書き割りの空の前で、宙づりの原子爆弾は地表近くに届かず、永久に落下を継続してゆく。問題に対する回答を無限に延期して繁栄を手にした、戦後の日本人の精神のミニチュアであり、背負うこととなった核の宿痾を笑う装置でもある。」 とのこと。
 
イメージ 8
 
 
 
 
「SHADOWLAND」 五島一浩
 
3D作品。
都市の中を車のヘッドライトで人や街が
浮かび上がっては消えていくさまが印象的。