南アの国政選挙が昨日行われ祭日となった。

イメージ 2
日本のような立候補者の顔写真を載せた掲示板があるわけではなく、街のあちこちでポスターを散見。

イメージ 3

南アは上院(90名 9つの州から10名)、下院(400名)とあり、今回はその両方全員を選ぶ5年に一度の選挙。
アパルトヘイト撤廃の1994年に初めて国民全人種による初めての投票でマンデラさんが大統領に選出されてから、今年で20年目の5回目となる。アパルトヘイトを知らない世代も初めて投票するということで話題にもなっている。(南アの選挙権は18歳から)

イメージ 1
南アは米国などと同様、投票する為にはあらかじめ登録しなければならない。2009年の推計で南アの総人口は約4932万人。前回の2009年の選挙時の登録者数は2318万1997人で、投票数は1791万9966票、そして有効投票数は1768万729票。今回の登録者数は2538万3361人。果たしてどれだけの投票者数や有効票となるのか。因みに、アパルトヘイトを知らない若い世代は、3分の1程度の若者しか、選挙登録をしていないとか。。。

イメージ 4

イメージ 5
2月までに選挙登録をしなければならないので、それを呼び掛けるポスターが各地にあって、年明けから、選挙が近づいて来たなと実感。

アパルトヘイト撤廃後、マンデラさん率いるANC(African National Congress)が過去圧倒的な支持率で与党となり、大統領を輩出してきた。
1994年 ANC 62.65% 野党第一党NP 20.39% IFP10.54%・・・
1999年 ANC 66.35% 野党第一党DP  9.56% IFP8.58%・・・
2004年 ANC 69.69% 野党第一党DA 12.37% IFP6.97%・・・

そして前回の2009年の結果は  :

ANC アフリカ民族会議 65.90%
イメージ 6

イメージ 7
ズマ大統領 Jacob Zuma
武器汚職問題やヌカンドラ問題(彼の出身であるNkandla村に、2憶4600万ランド(約24億6000万円)もの公金を使って大統領宅を改修した問題)などなど、スキャンダルが多い。
中国からの資金援助も受けているとのもっぱらの噂。。。
ヌカンドラ問題 については こちら

イメージ 15
バスの前にもポスター、後ろには旗も。

潤沢な資金を使ってダーバン市内もハデなポスターが目立つ。その資金などについてのこぼれ話ととしては こちら を。


イメージ 8
DA 民主連合 16.66% 
Helen Zille ヘレン・ツレ党首 
2000年から発足。アパルトヘイトを推し進めたNP(National Party)から変わった党と言うことで、白人嫌いの層には受け入れられていない。2009年は、白人が比較的多い西ケープ州でだけANCを破った。(残る8州は全てANCが勝利)

イメージ 9
COPE 国民会議 7.42% 
ANCから反ズマ派が独立して2008年に作った。地域性もあるのだろうが、あまりこの党のポスターなどは見なかったような・・・

イメージ 10
IFP インカタ自由党 4.55% 
Mangosuthu Buthelezi マンゴスツ・ブテレジ党首
ズールー族を中心とした党。ズールー族が多くいるクワズルナタール州ではかつて第一党も取ったことがあるが、2009年にはクワズルナタール州もANCに取られた。

イメージ 11
今回の選挙の注目は、極左EFF(Economic Freedom Fighters) 
経済自由の戦士 Julius Malema ジュリアス・マレマ党首
もともと、ANCのユースリーダーだったが、不祥事?でANCを追われ、新党を作った。赤いベレー帽に赤い服のコミュニスト的。
イメージ 12

ただし、かつてはクワズルナタール州で勝利したこともあるIFPがANCに敗れてしまったので、EFFと選挙協力をすることになったとか。
白人の知人などは、もし議席を取るようなことになり、発言力が強まると、非常に怖いと言っていた。

ずっと一党独裁となっているこの20年の間に、汚職スキャンダル、治安の悪化、改善されない貧困による格差の広がり、高い失業率、などなどで不満も多くなっている。
1994年の投票率は86%、そして前回の2009年の投票率は73.3%と下がって来ており、今回も政権が大きく変わることがないのが見えているので、白人の中には「自分の一票で何も変わらないから行かない」と行かない人が多いとも聞いていたが、近所の投票所となっている学校や公会堂には長蛇の列が出来ている所も。
イメージ 13
ここは白人の多いエリア。列はずっと左奥の坂道の上まで続いていた。

イメージ 14
ここは黒人の多いエリア。相当時間がかかるのか、座って待っていた。

イメージ 16
投票所の受付会場近くでは、各政党のポスターなどが立てられていたり、

イメージ 17

イメージ 18
大勢の人が来るということで、「game」という大型量販店のお姉さん達が、キャンディー?などを配っていたり。

イメージ 21
夕方には、支持者達が盛り上がっていた。

大統領は選挙後に下院から選ばれので、まるで首相のようだが、南アの場合は一旦議員を辞職して選ばれるので大統領なのだそう。1期5年で2期まで。3月18日に締め切られた政党登録では、33党にも及んだそうだが、憲法改正はその得票総数の3分の2となっている。前回2009年の時のANCは65.9%と3分の2の66.7%に迫る勢いだっただけに、今回は取らないでほしいと言っている人が多かった。

ちなみに過去の大統領は
1994年~ マンデラ大統領 
1999年~ ムベキ大統領
2004年~ ムベキ大統領
2008年~ モトランテ大統領(2007年にANC議長に選ばれたズマ氏が2008年にムベキ大統領を辞任に追い込み、2008年にはズマは下院議員ではなかったので、わずか1年だけ大統領になった)
2009年~ ズマ大統領
2014年~ ズマ大統領・・・?

イメージ 19
日本の選挙ニュースと同様、候補者の投票の様子などが昨日は放送されていた。
画像は野党第一党DAの党首。

イメージ 20
不正防止の為、投票した人は、左手の親指の爪に、3日ほど洗ってもとれないマジックで印が付けられる。ずいぶんアナログな方法だが、それが自分が選挙に参加したという証拠にもなり、テレビでもシンボルのように報道されていた。

知人の黒人は、ANCに投票すると言っていた。何故?と聞くと、ムベキ大統領の在任中に水が家にひかれたからと。。。一方、知人の白人は、お金まみれのズマ大統領嫌いで、絶対にDAが一番と言っていた。

NYに居た時は、批判を受けながらも、ブッシュ氏が2期目の当選を果たしたり、オバマ大統領が誕生するなど(その様子は こちらこちら)、節目に居合わせることが出来たのだが、今回も果たして南アの節目となるのかどうか。。。今現在(5月8日お昼)、未だ開票は3分の1ぐらい。目下、ANC、DAに続き、極左のEFFが第3位と健闘している・・・SKYニュースなどでは、今週土曜ぐらいに結果がはっきりわかるだろうと、ずいぶんのんびりした開票状況。。。
選挙翌日の今日(5月8日)には、全国22264ある投票所のうち15765ヶ所しか未だ判明せずに、本日のお仕事は終了。

何でも、昨日、NHKのBSで、「2014年報道特集/南ア選挙/民主化20年で広がる格差」なるTV番組が放送されたのだとか。見たかったなぁ。。


追記(5月9日)
ようやく、22264カ所ある投票所全ての開票作業が終了。
ANC 62.15%
DA  22.23%
EFF  6.35%
IFP   2.40% ・・・
となり、ANCは前回選挙よりも減ったものの圧勝に変わりはなく、ズマ大統領の続投となる。
野党第一党のDAが大きく躍進し、その次に極左のEFFが約117万票も集めたことが懸念材料かも。