※ あまり気持ちの良い画像ではありませんので、ご注意ください。

我々がいる、南アの東海岸に位置するクワズルナタール州は、唯一南アでサメから海岸線を守っている。

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毎朝6時前後の海では、シャークスボードの人達が、保護ネットなどの点検をしているのが自宅からも見える。

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網の位置を知らせる海面に浮いているボール状のブイを引き上げてはチェックして投げ入れている。

そのシャークスボードでは、サメの研究のほか、サメの解体も行われるそうなので、見学に行ってみた。

最初にサメについてのビデオが流される。サメには骨はない。歯はどんどん内側から生えてくるので、生涯で3万本もの歯を持つものも。速い種類のアオザメ(mako shark)で、時速35キロで泳ぐことが出来る。サメは寝ずに絶えず動いていないとダメと言われているが、実際には、海の底などでゆっくりしていて寝ないことはないが、目は開いたまま。海水と希水の両方で生きられる種類もある。などなど。。。

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1907年からダーバン港に杭を打ち込むなどして、遊泳地域にサメが入り込まないようにしていたが、その杭もすぐに朽ちてしまう。1943~1951年の間に、21名もの人がサメに襲われてしまったことから、オーストラリアですでに使用されている防御ネットを1952年から導入することに。しかし、1958年に膝の高さ程度の所でもサメに襲われたことから、よりサメからの防御について研究されるようになる。

我々のいるアムシュランガやダーバンは、1964年から現在の防御ネットが使われていて、320キロメートルの海岸線の主な遊泳地域に23.4キロのネットが張られている。
現在、170名のスタッフがおり、11の基地から、38カ所に保護の為の用具を設置しており、過去30年でサメに襲われた事件は、重篤なものが2件、一番最近でも1999年に1件発生しただけとのこと。ネットは基本的に天候が許す限り月曜~金曜の毎日点検をし、2週間ごとにネットを交換してネットの補修、洗浄、そして乾燥などを行っている。サメは、夜が一番活動的になるので、早朝に点検しているのだそう。

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ただし、ネットというのは、完全なバリア壁ではなく、ネットの大きさは214メートル×6.3メートル、海面のブイから下に垂らしたイカリまでの長さは12メートルで、ネットの網の大きさは25センチ。つまり、そのネットを回り込んだり下からくぐったり上を越えたりして海岸線に来ることが出来るのだが、かかってしまって死んでしまうのはサメのみならず、イルカや他の無害な魚達も同様。

シャークスボードの目的はサメを退治することではなく、サメからビーチを守ることなので、生態系への問題などもありネットを減らすという考え方もあるとのこと。現在、ネットにかかり、未だ生きているサメなどは、タグをつけてから海に再度放って、その動きなどの研究材料にしているのだそう。知らなかったのだが、サメも季節により、また雌雄により、マイグレーション(大移動)し、ホオジロザメは、この辺りからオーストラリアまで移動し戻って来ているとのこと。

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そしてこの日に解体されるサメも、リチャーズベイという所でネットにかかっていた Dusky Shark(ドタブカ 日本語はずいぶん凄い名前がついているが)。雌雄とも、19~20歳ぐらいで2メートルを超え、大きいものだと3メートルにも達する。これは、発見された時にすぐに冷凍され、解体される時まで冷凍保存されていたもので、体長1.96メートルのオス。重さは55キロ。

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まず大きな肝臓が取り出された。あまりに脂っこいので食用は無理とのこと(そう言えば肝油はここから)。なかには、体重の3分の1ほどの重さになることもあるとか。
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次に腸から、頭部分はすでにないが大きな魚が出て来た。サメは、何重にも生えている歯で獲物を捕らえて、その歯を内側に向けて獲物を腸へと送り込むのだそう。

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知らなかったのだが、サメの心臓はこんなに小さい。背骨もなく身体の各所に血を送る必要がないので、心臓は小さくて良いのだとか。その為、他の動物などに比べて、出血の量も非常に少ない。

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また、匂いに非常に敏感で、大きなオリンピックサイズのプールに、ティースプーン一杯の血を混ぜても、かぎ分けてやって来ると。その為、より活動が活発になる夜や、怪我をしている時には絶対に海に入らないようにと、解説の方がおっしゃっていた。
南アのヘビなどの見学施設でもそうだったが、ここでも、いかに自分の身を守るかということを言っていたのが、見せるだけ&見るだけの日本とは大きく違うなと感じた。

以前、クジラが海岸にうちあがった時に観に行ったが(その様子は こちら)、その時には大勢の黒人の人達がクジラのお肉を各人切り取って持って帰っていた。つまり、クジラを食べる習慣がかつてはあったもよう。
南アでも、以前は捕鯨をしており、そのこともここシャークスボードで解説していたので、その様子は その2 で。