割礼なる通過儀礼は、イスラム教徒、ユダヤ教徒、キリスト教徒の正教会 (エチオピアなど) と多岐に渡り、また地域的にみても、東南・東アジア、中央・西アジア、ヨーロッパ、オセアニア、そしてアフリカ大陸など、世界中で行われていた?いる? 

イメージ 1一昨日、7月20日の Cape Times の一面に、割礼による死者の記事があった。

割礼の冬シーズンが終わったが、非合法な割礼の施設や無資格者による割礼などの為に、今年は27名の死者、そして何十人もの人(何百人と言う説も)が不適切な割礼により病院に運ばれた。
これでも昨年よりは死者数は減ったが、割礼を受けさせる両親がどこが合法な施設かどうかわかっていないこと、非合法な施設が増加していること、そして割礼の儀式の前や最中には水を使ってはいけないと言う決まりなどが原因で、毎年死者が出ているとのこと。

コサ (Xhosa) 人、ソト (Sotho) 人、ンデベレ (Ndebele) 人の男性は、成人の通過儀礼のために約1か月間、人里離れた山にこもるのが伝統となっている。
期間中、割礼を受けるだけでなく、男らしさや大人としての規律について学ぶ。
伝統的な割礼は藪の中で行われるが、施術用の器具が未消毒だったり、技術が未熟な場合もあり、割礼に失敗し、性器の切断や死に至る場合もある。

南アでは一番多いのは、今年もイースタンケープ州で18名が亡くなり、、続いてノースウェスト州の3名、リンポポ州、ムプマランガ州、ハウテン州と続く。イースタンケープ州のウムタタ Mthatha の OR Tambo 地区、Queenstown の Chris Hani や Mount Ayliff の Alfred Nzo 地区が、非合法な割礼のホットスポットとなっており、11名が逮捕された。死者の数は、昨年の44名よりも少なかったが。死に至らなくても、脱水症状、壊疽(えそ)、傷口の感染などが原因で病院で手当てを受けた少年が多数とのこと。


私の知人のコサ人で、ウムタタ郊外出身の人の甥っ子が割礼を受けた。そのお祝いをした時の動画などを見せてくれ、公開して良いよと言ってくれたので、以下の動画や画像はその知人の携帯からの提供として。

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親戚や友人やご近所の人達皆でぞろぞろ、お祝いの品などを持ったり、頭の上に乗せたりして、お祝い会場のテントまで歌いながら練り歩く。












テントの中では、男性も女性も歌を歌って祝う。ゴスペルとは言わないが、皆歌が上手い。割礼を済ませ、山から村に戻って来た本人は、毛布を下半身にかけ、ござのような所に座っている。そしてテントの中央には、皆から贈られたマットレスや家具などお祝いの数々が。

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割礼を受けたこの日の主役は、
中央の毛布をかけている男性。



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親戚の男性が
スピーチを。






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割礼を受けて来た男性が、お祝いで贈られたマットレスの上に寝転ぶと、周りの女性から大騒ぎでちょっと荒手のお祝いをされる。


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(3分20秒辺りから、主役の男性がのっそり立ち上がって、女性陣に祝われる)

知人に聞いたところ、UMGIDI と言うこの通過儀礼は、コサ族の男性は17歳になったら6月など冬場に割礼は受け、通常クリスマスの後の12月26日と27日にパーティをする。26日は羊が3頭であれば、27日は牛を3頭つぶさねばならず、親戚や友人や近所の人達などにふるまう。
父方・母方両方のおじさんやおばさん、いとこが、ベッドやワードローブや寝具などをお祝いの品として揃えるので、例えばベッド6台、ワードローブ6つなどが届くこともあるが、その場合は17歳のその主役の少年が好きなものを選び、残りは人にあげるなり、売るなりする。

伝統的なお医者さんの所で割礼を受けようが、一般の病院で受けようが一緒だが、伝統的なお医者さんの方が価値があり、たとえ一般病院のお医者さんがコサ族でも価値は低い。
森に14日間こもる。その間、塩と油は一切使わない食事をしなければならないので、トウモロコシの粉を煉ったパップだけだとか。
割礼を受けるのは、コサ族は男性だけ、ズールー族は全くせず、ソト族は男女とも行う。
割礼を受けたか受けないかは非常に重要で、コサ族の男性の集まりに、たとえ年長でお金持ちのズールー族が来ても、割礼を受けていないので輪には入れてもらえないが、ソト族の男性なら入れてもらえると言った具合。

この知人の甥っ子はフェイスペインティングはしていないが、白く顔を塗るのだそう(上記、新聞記事の画像のように)。それは、ケニアやタンザニアにいる割礼を受けたマサイ族と同様。

参加者の中には、umbhaco と言う伝統衣装を着ている人もいた。

新聞記事やネットの記事などを読むと、非常に野蛮な風習?因習?と言う論調ばかりだが、実際に画像や動画を見ると、彼らの伝統に根差したもので、皆が非常に喜んで祝っているように見える。
取り敢えず、知人の甥っ子は無事に生還できて何よりかなと。