今年の2月に渋谷の文化村で、「GRAFFITI STREET バンクシービフォーアフター」を見たが(その様子は こちら)、約90点ものバンクシーの作品が集められた「バンクシー展 天才か反逆者か」が開催されているので行ってみた。2018年からモスクワ、サンクトペテルブルク、マドリード、リスボン、ラスベガス、香港を巡回し、100万人を動員した展覧会。日本では横浜と大阪で開催される。驚いたことに、本人の同意なしの非公認とのこと。

後に「ストリートアート」と呼ばれたこのアートは、1970年代初等のNYのハーレムのアフリカ系アメリカ人、ブロンクスのプエルトリコ人、ロウアーイーストヴィレッジのイタリア系から発生した。イギリス人のバンクシーは、素顔も生年月日も非公表で、ストリートで描くには警察に捕まるまでに描き終えなければならないことから、ステンシルの技法による風刺画を描いている。(会場では撮影・録画が可能だが、作品画像は光が反射するなどしたので殆どの画像は izi.travel から)

彼のスタジオはこうであろうと言う想像のスタジオが再現されている。
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限定版の版画の版面を紹介したビデオ。サインを入れた版面を印刷所のオーナーに贈呈したとのこと。


彼のストリートアートが発見された場所が、世界地図で表わされているが、日本はもとよりアジアやオセアニアや南米は皆無。アフリカ大陸にまであるのに・・・ 昨年発見された、ゆりかもめの日の出駅近くの防潮扉のネズミ君、もしかしたらバンクシーの作品では?とわざわざ移動させて都庁で期間限定の一般公開までしていたが、あれはステンシルで型とスプレー1本あれば誰でも真似ることが出来るとも言われている。果たしてホンモノなのかどうなのか? 因みに、バンクシーのねずみ達は、猿と同様彼が良く描くモチーフ。ドブネズミはバンクシーそのものと言われている。
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●「DIフェイスド・テナー」偽札を100万枚作成して、ノッティングヒルのカーニバルでばらまいたら面白いと発想し、一部をばらまいたところ、群衆の中には偽物と知りながら買い物に使ったり受け取ったりと言う行為が行われた為、正直者は殆どいないと言うことを示した。その為、バンクシーはそれ以上はばらまかず、残った紙幣は、バンクシーの作品を購入すると片側だけの紙幣が裏に貼り付けられて来るとした。エリザベス女王の顔をダイアナ妃の顔にするなどし、「請求していただければ額面金額を支払います」と書かれているが、裏面のダーウインの肖像画の下には「誰も信用するな」と。

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●「ケイト・モス」アンディ・ウォーホルの「マリリン・モンロー」をパロっている。制作当時の最も人気のカバーガールがケイト・モスだった。初版は青。その後に他の5つシリーズを制作。2011年に特別版を作り、新婚旅行で不在のケイト・モス宅に忍び込んで、バスルームに作品を置いて行ったと言う逸話まである。

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●「フェスティバル(資本主義をぶっつぶせ)」反資本主義者と目されている人達が並んで買おうとしているものは「資本主義をぶっつぶせ」と書かれたTシャツ。

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●「トロリーズ(トロリーハンターズ)カラー」2006年発表。第一世代は無署名のものが500枚。ロサンゼルスで署名入りは枚数限定で一般販売はされずに少しだけの販売となった作品。ロサンゼルス版は作品の紙がクリーム色、ハンターが手にしている槍が違う。イギリス版は署名付きカラー750部、署名なしホワイト500部、署名付きホワイト150部。最後のエディションは2007年で28部だけの物も。カナダトロントで版画が盗まれたが、窃盗犯は捕まっていない。

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●「モーロンズ」2007年、サザビーズのオークションで、バンクシーの作品3点が当時としては法外な金額で売却された。その3点とは、「Bombing Middle England」10.2万ポンド、「Girl with Baloon」37200ポンド、「Bomb Love」31200ポンド。(その3点とも後に載せます)その事に対して「こんなクソを本当に買うおまえらみたいな愚か者がいるなんて信じられない」と書かれた作品を群衆が買おうとしていると言う比喩の作品。しかし、このモーロンズですら、あっという間に売れたとのこと(笑)

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●「バーコード」初期代表作のひとつ。もともとは壁画で、2012年、初めてオークションにかけられた時に7万5千650ポンド。その後2016年で15万8500ポンドになった。

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●「GRIN REAPER」初期のストリートアート。2007年のロンドンの反グラフィティキャンペーンで壊された。顔に描かれたスマイリーは、60~70年代の平和への理想の象徴だったが、80~90年代のハウスカルチャーでは受容と中傷の両方となり、バンクシー作品ではネガティブな意味を持つ。
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●「キリスト・ウィズ・ショッピング・バッグズ」2004年82枚限定。増刷も復刻も行われていない。プレゼントにはピンクのリボンが付いているが、キリストが流した血のよう。宗教をテーマにしたバンクシー作品は2作しかないが、そのうちの1つ。
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●「セール・エンズ」2006年100点のプリント。16~17世紀の宗教画の救世主にひれ伏す代わりに看板にひれ伏している。

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●「トキシック・メアリー」宗教絵画の聖母子像を、宗教は信者に安全をもたらしてくれるのか?と。
初期のストリート作品で、絵画として登場したのは2003年。宗教をテーマにした2作品のひとつ。

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●「フライング・ショッパー」
2011年に廃ビルの壁に描かれた。もともとはメイフェアがあったビル。2018年に取り壊される予定だったが今もそのまま。

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●「ストップ・エッソ」2000年にグリーンピースが始めたキャンペーンのストップ・エッソ。多大な反対に遭い、エクソンモービルが気候変動研究に巨額の資金を拠出した。「パニックは起こすな、抵抗は家で始まる」と書かれている。抵抗=地球を守ろうとするだけでなく、エッソがチョコレートバー、コーヒー、ガム、コンドームなどからも利益を得ているということをも示唆。
2点が展示されていたが、文字のない方はずっと大きな作品で、オリジナルの為、ガムテープなどが残っていたり。

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●「ブラー『シンク・タンク』」2003年にイギリスのロックバンドであるブラーのアルバムのカバーアート。別バージョンでは、女性が赤ちゃんを抱いているが、赤ちゃんが潜水ヘルメットを被っているもの。バンクシーがこのバンドのブラーのメンバーの一人ではないか?説も。

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●「アンダーグラウンド・テラー・タクティクスドローイング+レター」アルバムジャケット。2000年作。ワンカットと言うバンドの2枚のアルバムと3枚のシングルをデザインした。

アルバムジャケットや、直筆と思われる?ものも公開されているのは面白い。
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多数あるので、<2>に続く。