その1 からの続き。

朱漆塗湯桶 室町時代 15世紀 
朱塗の器はハレの時に使用される。お湯やお茶などを入れて、祭礼や祝宴や寺院などで使われた。
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色絵葡萄鳥文瓢型酒注 肥前・有田焼、17世紀、江戸時代 ひょうたんを象った伊万里の酒注。
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七宝飾花形鉄製銚子 一口 江戸時代 19世紀 
梅のような花形を象った鉄製の銚子。銅製の蓋には七宝で雲文を表している。直火にかける部分の素材や装飾には限りがある為、蓋に様々な意匠を凝らして宴席で使われた。
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右:染付吹墨文大徳利 江戸時代 17世紀前半 初期伊万里の染付徳利の中でも特に大きな作品。胴には吹墨と呼ばれる絵具を霧吹きで吹き付けたような模様がり、この技法は中国の明代末期の景徳鎮で作られた古染付に倣ったもの。
左:薩摩切子 藍色被栓付瓶 江戸時代 19世紀中頃 キノコ型の栓、張り出した口縁部や撫で肩の形態は、イギリス系のカットガラス瓶の特徴で、幕末には西洋料理が導入され、上流社会の宴席で使われるようになった。
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右:色絵松竹梅文六角徳利 京都・江戸時代 18世紀 
古清水と呼ばれる江戸期の京焼の上絵は、赤をあまり用いないが、これにはわずかながら赤を効果的に使用している。
左:色絵梅枝垂桜文徳利 京都・江戸時代 18世紀
古清水は、貫入の走った京焼特融の淡黄色の地に、青と緑の二色を主体とした上絵が多い。
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吉原風俗蒔絵提重 江戸時代 19世紀 重箱、皿、徳利、盃などをひと箱に収めた提重は、手をつけて携帯できるもので、野外での遊興や花見に使用された。
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葡萄栗鼠粟鶉沈金太鼓樽 桃山時代 16世紀 漆面に模様を線刻し、そこに金箔や金粉を押し込んで模様を表す沈金の技法による。本来、太鼓樽は人が抱えるほどの大きさだったが、これは小ぶりで直接盃に注ぐものとして使用された。
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江戸高名会亭尽 下谷広小路 歌川広重 天保9~11年(1838~40年)頃 
「江戸高名会亭尽」は、江戸の有名な料理屋を取り上げた全30図のシリーズ。これは上野東叡山寛永寺下、不忍池の畔にあった河内楼。
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上野花見歌舞伎図屏風 伝 菱川師宣 元禄6年(1693年) 六曲一双 
上野の花見と歌舞伎の舞台の2つの主題を合わせた屏風。右側では酒宴を、左側では舞台を見ながらの宴を行っている。
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この屏風の酒宴に使われている酒器、食器、楽器、煙草盆を立体的に組み合わせて、実際の物が展示されている。
屏風に描かれている重箱は二合で、黒漆地に金蒔絵で梅文、朱塗地に梅文。
展示されている中央の食物を盛る器の食籠は、「朱漆塗黄燭葵蜜陀絵八角食籠」伝 谷田忠兵衛作、江戸時代18世紀。朱塗に漆絵、蒔絵、蜜陀絵を駆使したもの。
その右の小鼓は、「籬(まがき)秋草蒔絵小鼓胴」弥左衛門・次郎太夫 桃山時代 16世紀。小鼓のボディには、音に縁のある模様が施されている。
手前右端の「亀流水蒔絵湯桶」江戸時代 には、甲羅に藻が付くぐらい長生きで縁起が良いとされる亀が描かれている。
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三味線と小鼓は遊興の場によく登場し、蒔絵を施された意匠が豪華。ひとまわり小さい物は、胡弓。
桜蒔絵三味線・蔓草蒔絵胡弓 江戸時代 19世紀。
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重要文化財 泰西王侯騎馬図屛風 四曲一双 桃山時代~江戸時代初期 17世紀初期 
南蛮文化交流の時代に、日本人が西洋の画法を学んで描いた初期洋風画の代表作。来日したイエズス会の宣教師達は、セミナリヨという学校を設置し、語学や音楽、美術などの教育を行った。初期洋風画は、このセミナリヨで西洋の陰影法や遠近法を学んだ日本人画家が手掛けたもので、礼拝用の聖画だけでなく、西洋の王侯や田園風景、世界図、都市図などの世俗画も制作された。図様は西洋の銅版画を参考にしている。もとは福島・会津若松の鶴ヶ城の障壁画だったと言う伝承がある。
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南蛮屏風 江戸時代 17世紀前半 
右隻 南蛮船が日本の港に入港して荷揚げする様子。
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左隻 南蛮人の儀式や、下の方では馬を調教する様子。徳川幕府のキリスト教弾圧の影響を受け、キリスト教を思わせる描写が少ない。
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織部南蛮人燭台 美濃・桃山時代 17世紀初期  右脚脇には、燃えさしを入れる引き出しが付いている。左手には籠を下げていることから、右手には釣り竿を持っていたとも考えられている。海の向こうから訪れた南蛮人は、福の神、恵比寿神と重ね合わせられていたと。
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南蛮装人物蒔絵象牙櫛 江戸時代 19世紀 猿引をする南蛮装の人物と猿。猿は、五穀豊穣を寿ぐ舞の三番叟(さんばそう)の姿、そして福を呼ぶ南蛮人との組み合わせで、縁起の良い意匠の櫛。
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ウンスンカルタ蒔絵短冊箱 江戸時代 17世紀 ウンスンカルタとは、ポルトガルからもたらされた「南蛮カルタ」をもとに、日本で改良を重ねて生み出されたもの。もとは舶来品であるウンスンカルタは、異国情緒を呼び起こす流行のデザイン。
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朱漆塗螺鈿沈銀六角湯桶 一口 江戸時代 17世紀 南蛮貿易による風俗や文物の影響で、国内向けの漆器にも異国情緒ある意匠が好まれた。中国・朝鮮風の文様と、異国情緒の六角形や朱漆と黒漆の対比などに加え、漆面を彫刻して銀箔を刷り込む沈銀の技法も。
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縞雄日芝蝶螺鈿蒔絵重箱 江戸時代 17世紀 蓋表は、対角線で区切り、側面の2面ずつに片身替で横縞文と雄日芝(おひしば)に蝶が舞う文様を配している。横の横縞文と縦の雄日芝文は、形の上で対照的であると共に、異国情緒な文様と季節感ある日本の風景文様の対象ともなっている。
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西洋人の好みを反映した「南蛮漆器」が作られ、西洋人は、聖龕や聖餅箱といった宗教用具から簞笥や櫃などの日用品に至るまで、大量の漆器を日本人に注文し、本国へ輸出した。

花鳥螺鈿蒔絵聖龕(せいがん) 桃山時代 16~17世紀 キリスト教の聖画を収める為の物。観音開きの扉や奥行きのない形式は聖龕の典型例。花鳥や幾何学的な文様は螺鈿の多様など、西洋人の嗜好に添って制作されたことがわかるとのこと。
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草花鳥獣螺鈿蒔絵鮫皮貼櫃 桃山時代 17世紀 大型の洋櫃。蓋や長側面の窓枠内には、楼閣、人物、草木、鳥、虎などが描かれ、外の空間には鮫皮を貼っている。この場合の鮫皮とはエイの皮のこと。漆を塗って研ぎだすことで白い小さな斑点模様が出来た。
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菊鶉螺鈿蒔絵ゲーム箱 江戸~明治時代 19世紀 幕末から明治にかけての輸出漆器は、蒔絵中心の物から下地に彩色をほどこした螺鈿を用いるものへと転換し、花鳥を表すものが典型的となる。
この箱は、内部にゲームに用いるチップを入れた小箱5合を収めている。
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後期展示に行ったので、前期のみの重要文化財の「南蛮屏風」や、「桐鳳凰図屏風」などが見られなかったが、総じて面白かった。