「ミネアポリス美術館 日本絵画の名品」その1 からの続き。

鈴木其一「三夕図」江戸時代19世紀 「新古今和歌集」の三夕の和歌を題材にしている。
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伊藤若冲「鶏図押絵貼屏風」江戸時代18世紀 
自宅の庭に数十羽の鶏を放して写生していた。
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伊藤若冲「旭日老松図」寛政12年(1800年) 
松の葉は素早い筆致で描かれ鋭い表現となっている。
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曾我蕭白「群鶴図屏風」18世紀 
右隻は家族を表現、左隻は嵐の海の波、そして鶴も強風に翻弄され自然の脅威に立ち向かう姿を描いている。畳の目が確認でき、素早い筆致で一気呵成に描いたと考えられる。35~37才頃の作品。
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東洲斎写楽「市川蝦蔵の竹村定之進」 寛政6年(1794年) 
市川蝦蔵が寛政6年5月に演じた「恋女房染分手綱」の能役者・竹村定之進を描いている。赤い舌まで描かれている。写楽の鮮烈なデビューを飾った28人もの役者絵のひとつ。10ヶ月で消えてしまい今なお誰だったのか不明。
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三畠上龍「舞妓覗き見図」江戸時代19世紀 
女性の着物の裾が風に乱され、足元があらわになった時に、円窓の中から丁稚の少年がはやし立てている。何か特定の主題によっている可能性があるが、現時点で類例がなく異色作とのこと。
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葛飾北斎「冨嶽三十六景 山下白雨」天保元年~4年(1830~33年) 
琳派の俵屋宗達の風神雷神図屏風のように、山裾に稲妻の走るこの作品と、風の吹き渡る「凱風快晴」とを一組としていたと考えられるのだそうだが、残念ながらその「凱風快晴」は前期の展示となっていた。一緒に展示してほしかった。
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葛飾北斎「冨嶽三十六景 甲州 三嶌越」天保元年~4年(1830~33年) 
「矢立ての杉」と呼ばれる大木。富士山の絵と笹子峠に立つ杉の大木の絵を別々に描いていたが、この作品でその2つを合体させたと思われる想像上の眺め。
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葛飾北斎「諸國名橋奇覧 飛越の境 つりはし」天保5年(1834年)頃 
一説に現在の岐阜県と富山県の境の谷間にかかっていた橋とあるが、実在していたかどうかは不明。あぶない橋と、のどかな鳥の様子が対比となっている。
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歌川広重「東海道五拾三次之内 蒲原 夜之雪」天保3~4年(1832~33年)頃 
東海道五十三次シリーズの「蒲原」は何度も再版され、このように上部が墨でぼかしを入れたものや、下のほうの山や家の背後が黒く表されているものもある。色彩は旅人のみ。
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谷文晁「松島図」文政9年(1826年) 
松島を瑞巌寺の西側から俯瞰的に捉えた。中国の青緑の山水、狩野派、土佐派、円山四条派、洋風画などを折衷した独自の画風。
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浦上春琴「春秋山水図屏風」文政4年(1821年) 
右隻に春、左隻に秋。ところどころに明るい色を入れていて、調和と対比を。
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佐竹永海「風神雷神図」19世紀 
風神は背中を鷲に掴まれて空へと持ち上げられ、風袋は破れてしぼんでいる。雷神は右足を蟹に挟まれて海に引きずり込まれ、太鼓の一部は海に落ちている。こういう滑稽味のあるものは、狩野探幽以降の狩野派の絵師によって度々描かれて来た。
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河鍋暁斎「手長足長図」明治時代19世紀 
「足長」「手長」は、中国に由来する日本の民間伝承の中で人気の高い妖怪。
左幅では足長が樹の枝の柿を食べようとし、足下には小さな人物2人が勝手なふるまいに動揺している。右幅は、手長猿が水面の月を捉えようとする古い寓話。
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狩野芳崖「巨鷲図」明治21年(1888年) 
足元には3匹の猿がおびえて隠れている。墨で描かれた崖や樹木は雪舟の絵画のようだが、鷲は西洋画のような陰影をつけて立体感を生んでいる。近代日本画の父。
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青木年雄「鍾馗鬼共之図」明治時代19世紀 
頬杖をついて寝そべる鍾馗の周りに、多くの鬼がいる。西洋風に陰影をつけている。1880年代に渡米し西海岸で活躍した移民画家。日本ではあまり知られていない。
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渡辺省亭「紫式部図」明治時代19~20世紀 
風景は水墨画のような墨の濃淡で描かれているが、紫式部は濃彩で描かれている。ドガなどと交流していた。
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場所 : サントリー美術館
会期 : 4月14日〜6月27日2021

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