「隈研吾展 新しい公共性をつくるためのネコの5原則」へ。
隈氏自身が68件を厳選し、それらの模型が展示されている。1964年の東京オリンピックの為に丹下健三氏が作った国立代々木競技場に、10歳の時に父親と訪れ、感銘を受け建築家を目指すことになったのだそう。
V&A ダンディー(2018年)スコットランドの美術館。タイムラプス映像も同時に上映されていた。
国立競技場(2019年)
日本建築の軒庇(のきびさし)から着想を得ている。47都道府県の木材を使用。日除けや採光・通風などの為に板状の部材を複数横に並べたものであるルーバーを現場に持って行き、模型を作って微調整を。隙間(ピッチ)の空け具合がそれぞれ異なり、北風はブロックしつつ南風を入れる工夫を施した。国立競技場のルーバーのスタディ模型も展示されていたが、撮影不可。
国立競技場内の選手がピッチに出る通路には、一般観客からは見えない灯がある。ストッキングを使って照明のスタディ模型を作り、漁網をイメージし、実際にはカーボンファイバーで照明を作っている。灯による影が、床に螺旋を描いている。提灯のようにたためる。
バブルがはじけて東京での仕事が全てキャンセルとなり、高知県梼原にあった木造建築の芝居小屋の「ゆすはら座(1948)」の保存運動に参加されたのが、隈研吾氏の木造を使った建築物の原点。
1964年の東京オリンピックは丹下健三氏によるコンクリートと鉄骨による建築、1970年の大阪万博は工業主義の鉄やガラスの時代だった。隈氏もそれまでは、ポストモダン的な建造物を作っていたが(1991年のドーリック南青山や世田谷のM2など)、古い建築を壊していた時代で、古い歴史をコピーするのは知識をひけらかしているようで嫌だと。90年代は日本の建築の歴史の転換期で、自然素材が着目され始めた。日本は19世紀まで木の建築で、細い木材を使って地震に強い建築だった。高知県の森林率は全国1位の84%、しかも梼原町は91%。小径木(大きな木ではない)文化が日本の木造建築の特徴であり知恵であるのに対し、中国や韓国は大木を使う為に森林がなくなった。間伐材は華奢だがそれを一本ではなく、外壁の柱と内側の柱を2列にして耐震建築とするなどしていた「ゆすはら座」を見ることで、本当の豊かさを感じられたとのこと。
梼原木橋ミュージアム(2010年)
50メートルの橋を4つの支柱で支え、中央の木造柱はやじろべえのように。30センチ × 20センチの角材ならこの町の製材所でも作ってもらえるからと、お寺の山門などの斗栱(ときょう)の技術で小さいピースを合わせている。
アオーレ長岡(2012年)議会と市役所とアリーナが一体化された建物。議会が一階にありガラス張りでオープンになっており、中央の孔の「中土間」が重要と。(あいにくその模型は写真撮影不可のエリア)
小松マテーレ ファブリック・ラボラトリー fa-bo(2015年)染色や布の会社で、従来ある耐震建築が必要な建物に繊維で耐震補強をしてほしいと依頼された。耐震建築には、軽いが鉄の7倍の強さがあると言われるカーボンファイバーを使用。床に梁を埋め、ボルトで一本一本締めていった。
高輪ゲートウェイ駅(2020年)テフロン膜を天井に使用。木と膜で障子のようなイメージとし、柔らかい光を均一に広がるようにしている。暑い空気が抜けるよう屋根の下に風の抜けを付けているが、雨のといとの計算が難しかったとのこと。床は木目に見える床材。柱の一部に木材が使用されている。
未だ駅名が決定する前に模型は作られたようで、模型の側面のゲート部分には「品川新駅」と😂
Breath/ng(2018年)
オドゥンバザル近代美術館 OMM(2019年)トルコの美術館
東京工業大学 Hisao & Hiroko Taki Plaza(2020年)東工大の卒業者でぐるなびの創業者による寄付で建てられた学生会館。大地との連続としての斜めの建築。
The Exchange(2019年) シドニーにあるマーケットホール・図書館・保育園・飲食店含むコミュニティ施設。
ダリウス・ミヨー音楽院(2013年)南仏はエクス・アン・プロヴァンスの音楽院。
ホテルロイヤルクラシック大阪(2020年)
北京前門(2016年)
世界各国で活躍されているだけでなく、小さな店舗や家屋なども手がけておられる。
三鷹のハモニカ横丁(2017年)
下北沢てっちゃん(2017年)焼き鳥屋さんのリノベーション。外部には窓枠の廃材、内部にはスキー板を使っている。
浮庵(2007年)茶室。特殊加工によって軽く作られた半透明の布であるスーパーオーガンジーをヘリウムガスでふくらませて覆っている。ワシントンの大使館で開かれた茶会で使用されたもの。茶室の起源のひとつが書院造りの中に囲いを作ったと言われているので、囲いをどこまで軽く薄く透明に出来るかと隈研吾氏が挑戦したもの。
展覧会タイトルにあるように、ネコの好む所や質感など「孔」「粒子」「ななめ」「やわらかい」「時間」に分かれて模型が展示されている。無料エリアではそのネコに GPS を付けて動きを調査したり、ネコの動きの CG なども見ることが出来る。また、360度VR のバーチャルリアリティーのメガネをかけて、アオーレ長岡の内部を体験することが出来た。なかなか面白かった。
場所:東京国立近代美術館
会期:6月18日~9月26日’21

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隈氏自身が68件を厳選し、それらの模型が展示されている。1964年の東京オリンピックの為に丹下健三氏が作った国立代々木競技場に、10歳の時に父親と訪れ、感銘を受け建築家を目指すことになったのだそう。
V&A ダンディー(2018年)スコットランドの美術館。タイムラプス映像も同時に上映されていた。
国立競技場(2019年)
日本建築の軒庇(のきびさし)から着想を得ている。47都道府県の木材を使用。日除けや採光・通風などの為に板状の部材を複数横に並べたものであるルーバーを現場に持って行き、模型を作って微調整を。隙間(ピッチ)の空け具合がそれぞれ異なり、北風はブロックしつつ南風を入れる工夫を施した。国立競技場のルーバーのスタディ模型も展示されていたが、撮影不可。
国立競技場内の選手がピッチに出る通路には、一般観客からは見えない灯がある。ストッキングを使って照明のスタディ模型を作り、漁網をイメージし、実際にはカーボンファイバーで照明を作っている。灯による影が、床に螺旋を描いている。提灯のようにたためる。
バブルがはじけて東京での仕事が全てキャンセルとなり、高知県梼原にあった木造建築の芝居小屋の「ゆすはら座(1948)」の保存運動に参加されたのが、隈研吾氏の木造を使った建築物の原点。
1964年の東京オリンピックは丹下健三氏によるコンクリートと鉄骨による建築、1970年の大阪万博は工業主義の鉄やガラスの時代だった。隈氏もそれまでは、ポストモダン的な建造物を作っていたが(1991年のドーリック南青山や世田谷のM2など)、古い建築を壊していた時代で、古い歴史をコピーするのは知識をひけらかしているようで嫌だと。90年代は日本の建築の歴史の転換期で、自然素材が着目され始めた。日本は19世紀まで木の建築で、細い木材を使って地震に強い建築だった。高知県の森林率は全国1位の84%、しかも梼原町は91%。小径木(大きな木ではない)文化が日本の木造建築の特徴であり知恵であるのに対し、中国や韓国は大木を使う為に森林がなくなった。間伐材は華奢だがそれを一本ではなく、外壁の柱と内側の柱を2列にして耐震建築とするなどしていた「ゆすはら座」を見ることで、本当の豊かさを感じられたとのこと。
梼原木橋ミュージアム(2010年)
50メートルの橋を4つの支柱で支え、中央の木造柱はやじろべえのように。30センチ × 20センチの角材ならこの町の製材所でも作ってもらえるからと、お寺の山門などの斗栱(ときょう)の技術で小さいピースを合わせている。
サニーヒルズジャパン(2013年) 青山にある台湾のパイナップルケーキ屋さんのお店。パイナップルからイメージした地獄組みと言う組み方。地獄組みとは、3本のレイヤーによりスライドせずに離れない技法。6センチ角で3階建ての建物を作った。
浅草文化観光センター(2012年)


浅草文化観光センター(2012年)
アオーレ長岡(2012年)議会と市役所とアリーナが一体化された建物。議会が一階にありガラス張りでオープンになっており、中央の孔の「中土間」が重要と。(あいにくその模型は写真撮影不可のエリア)
小松マテーレ ファブリック・ラボラトリー fa-bo(2015年)染色や布の会社で、従来ある耐震建築が必要な建物に繊維で耐震補強をしてほしいと依頼された。耐震建築には、軽いが鉄の7倍の強さがあると言われるカーボンファイバーを使用。床に梁を埋め、ボルトで一本一本締めていった。
高輪ゲートウェイ駅(2020年)テフロン膜を天井に使用。木と膜で障子のようなイメージとし、柔らかい光を均一に広がるようにしている。暑い空気が抜けるよう屋根の下に風の抜けを付けているが、雨のといとの計算が難しかったとのこと。床は木目に見える床材。柱の一部に木材が使用されている。
未だ駅名が決定する前に模型は作られたようで、模型の側面のゲート部分には「品川新駅」と😂
Breath/ng(2018年)
オドゥンバザル近代美術館 OMM(2019年)トルコの美術館
東京工業大学 Hisao & Hiroko Taki Plaza(2020年)東工大の卒業者でぐるなびの創業者による寄付で建てられた学生会館。大地との連続としての斜めの建築。
The Exchange(2019年) シドニーにあるマーケットホール・図書館・保育園・飲食店含むコミュニティ施設。
ダリウス・ミヨー音楽院(2013年)南仏はエクス・アン・プロヴァンスの音楽院。
ホテルロイヤルクラシック大阪(2020年)
北京前門(2016年)
世界各国で活躍されているだけでなく、小さな店舗や家屋なども手がけておられる。
三鷹のハモニカ横丁(2017年)
下北沢てっちゃん(2017年)焼き鳥屋さんのリノベーション。外部には窓枠の廃材、内部にはスキー板を使っている。
浮庵(2007年)茶室。特殊加工によって軽く作られた半透明の布であるスーパーオーガンジーをヘリウムガスでふくらませて覆っている。ワシントンの大使館で開かれた茶会で使用されたもの。茶室の起源のひとつが書院造りの中に囲いを作ったと言われているので、囲いをどこまで軽く薄く透明に出来るかと隈研吾氏が挑戦したもの。
展覧会タイトルにあるように、ネコの好む所や質感など「孔」「粒子」「ななめ」「やわらかい」「時間」に分かれて模型が展示されている。無料エリアではそのネコに GPS を付けて動きを調査したり、ネコの動きの CG なども見ることが出来る。また、360度VR のバーチャルリアリティーのメガネをかけて、アオーレ長岡の内部を体験することが出来た。なかなか面白かった。
場所:東京国立近代美術館
会期:6月18日~9月26日’21

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