三島喜美代氏の常設展があるので、ART FACTORY 城南島まで行ってみた。ART FACTORY 城南島は、東横インが社会貢献活動の一環として、芸術・文化振興の為に作った施設。

今まで見た三島氏の作品は:

他にも、天王洲の東急イン横にもあるのだが、記事アップが間に合っていないので、また追って。

アートファクトリー城南島は、もともとは倉庫で、名門アートギャラリーもやっておられた美術商の水嶋龍一郎氏がプロデュースされた。三島氏の作品 21点が無料で展示されている。​
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新聞紙面などは、薄く伸ばした粘土に400度ほどの熱で付く文字をシルクスクリーンの技法で写し、ケント紙でぐしゃりと折って乾燥させ、焼いて出来た陶器。
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89歳になられる三島喜美代氏。大阪は十三生まれで実家は酒店だった。22歳で美術家の男性と結婚されるが、女性でも解放すれば才能が伸びると言う考えの男性で、喜美代氏は美術に没頭することになり、31歳で独立美術界の最高賞を受賞するなど、頭角を現された。新聞紙はコラージュなどに使っておられたが、1970年38歳の時に、足元の新聞紙を見て、割れる新聞は面白いのではないかと思い付き、ガラスや土などで試し、新聞の転写方法などもご自分で模索。コミック誌や段ボールなど、さまざまな種類のゴミを焼物として作っていく。

53歳でNYに留学。毎日ゴミの写真ばかり撮っていて、帰国後もやはりゴミばかり制作されていたとのこと。70歳代になり、今はアートの島である直島だが当時は不法投棄が問題となっていた為、直島にゴミをリサイクルして作った作品を「もうひとつの再生」として巨大なゴミ箱のオブジェを設置。陶芸家の人達は邪道だと言ったが、三島氏自身はアートの畑でやっているから良いと。

「Wreck of Time 90」火山灰や陶、金属、木をFRPと言う樹脂で固めており、90年代のゴミを燃やして出たスラグと言う灰も混ぜて作られている。
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壁の3点は、「Work 20-R1」「Work 20-R2」「Work 20-R3」1990/2019   90年代に作られ、2019年に改めて手が加えられている。九州南部一帯の地層にある「シラス」と言う火山灰、新聞、陶、鉄などを固めてある。
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「Box Charcoal-N13」2013
シルクスクリーンの技法で陶にプリントし、手彩色を施した作品。
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「Work 12-CS2」
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雑誌のコラージュと油彩で作られた、高度成長期の60年代の作品。
「Work 65-H」1965
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「Work 66-Y」1966
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「Work 65-O」1965
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今でも1日10時間以上、アトリエで立ったまま作業をされることもあるのだそう。お一人暮らしで、炊事洗濯なども全てお一人でされている。食事は出来るだけ簡単にして作品作りに時間を割く。満身創痍の為、身体を提供するか、作品を成功させるかだと。

「Newspaper08」1997-2008 迷路のインスタレーション。ポリエステルの上に写されているのは、三島氏が長年旅行先などで集めてきた新聞の記事で、氾濫する情報に埋没する恐怖や不安感を表現されているのだそう。最初は本物の新聞でやろうとされたが、新聞社が古い新聞を貸してくれなかったとか。
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2階のキャットウォークからも見られるようになっているのだが、この迷路の建物の上部など全体が新聞紙で覆われていたのには、またまたビックリ。
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「Fossilized Information 88」1986-88
陶に新聞の文字を印刷し、車輪付の棚に並べた作品。
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「Work 2000-Memory of 20th Century  20世紀の記憶」1984-2013
1900年から2000年までの新聞記事を図書館のマイクロ資料から選び、煉瓦に転写した作品。煉瓦は、廃炉となった所の耐火煉瓦を再利用し、その数は約10600個。表面には20世紀の国内の新聞、裏面には海外の新聞が転写されているのだそうだが、片面しか見られないのが残念。作品をどうしようと考えるのではなく、作っているのが楽しかったのだそう。
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「Information was Shut B」「Information was Shut C」1989
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「Work 14-S」2014 瀬戸内海にある豊島にかつて不法投棄された産業廃棄物を1400度以上の高熱で処理することで生まれる溶融スラグを用いて作られた作品。
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二階部分のキャットウォークから見ると、新聞紙の迷路も、敷き詰められた煉瓦もいかに規模が大きいかわかる。
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