昨年、バンクシーの「天才か反逆者か?」展が横浜であったばかりで今も日本を巡回し、また原宿に戻ってくるらしいが、一方では天王洲で「バンクシーって誰?」展が開催されている。
「天才か反逆者か?」展の様子は:
正直言って、「天才か反逆者か?」展と作品の殆どが重複している作品が多く、やや新鮮味に欠ける。ただ「バンクシーって誰?」は、大がかりな実物大のセットが多く、グラフィティの環境そのもの(街角)を再現しようとしている展覧会と言うイメージ。
有名な坂道にある家の壁に描かれた。
「Aachoo!!」2020年 家人は作品をアクリルでカバーして保存していたが、後に取り外してオークションにかけられた。コロナ禍にもかかわらず、エリザベス女王がマスクをつけずに公務に出ていて批難されたことに起因していると。
「Girl with a Pierced Eardrum 鼓膜の破れた少女」
2014年にブリストルのレコーディングスタジオの壁に描かれ、2020年4月にマスクもかけられた。マスクはバンクシー本人によるものか、別の人によるものなのかも不明。フェルメールの真珠の耳飾りの代わりに、ADT警報器を利用している。
ロンドンにあるトンネルを再現。「Whitewashing Lascaux (The Cans Festival)」2008年
旧石器時代のラスコーの壁画を清掃員が消しているが、グラフィティーが消されていると揶揄している。今はもう上書きされて残っていない。そのトンネルでは、バンクシーが色々なアーティストの展覧会を主催し、通称バンクシートンネルとも言われている。
何気ない小道具も。日テレの美術さんによるものなのだそう。
「Barcode」2004
「Laugh Now」2003 笑いたければ笑え、いつか俺たちが勝つ、と。ストリートに登場したのではなく、ブライトンのモーリーストリートにあるナイトクラブ「Ocean Rooms」の依頼で制作されたもの。全長6mにおよぶステンシルの壁画で、バーカウンターの後ろの空間を埋める為サルのモチーフを10回繰り返し描いたもの。それから6年後、ナイトクラブは壁画を撤去し、50万米ドル近い値段で売却された。翌年にプリントして販売した。
ネズミはバンクシーの分身として描いている。そのネズミのシリーズ。バンクシーは、90年代からイギリス南西部のブリストルで活動していたが、2000年頃からロンドンに移り、街中に大量のドブネズミ(ラット)を描き残した。ステンシルアートの父と呼ばれるフランスのストリートアーティストのブレック・ル・ラットに影響を受けたとされているが、バンクシーの方がよりネズミが擬人化されている。フリーハンドで書いて、ステンシルで上から描いている。す早く描け、数も多く作れることから、ステンシルを多様していくこととなる。
「Welcome to Hell (Pink)」2004
「Love Rat」2004
「Gangsta Rat」2004
「Radar Rat (right facing)」2002
盗聴して人の会話を聞いているのではないか?と。イギリスの監視社会を揶揄。
「Les Miserables」2016 催涙ガスの煙に包まれて、コゼットが泣いている様子を、2016年1月にロンドンのフランス大使館前の建物に描かれた。フランスのヴィクトル・ユーゴー原作のミュージカル「レ・ミゼラブル」のポスターをパロディにしたもので、フランスのカレーの難民キャンプで、催涙ガスが使用されたことへの抗議。左下にQRコードが書かれていて、「催涙ガスは使っていない」と主張するフランス警察に対する抗議の証拠となっている。QRコードを読み込んでみたが、実際の動画のYoutube が今も見られる。
「Hammer Boy (Better Out Than In)」2013 NY
実際に道路にある消火栓を、ハンマーでたたき割ろうとしている少年のシルエットが描かれている。NYのアッパーウェストの建物の壁に描かれたもので、近くのスーパーの ZABAR'S の主人らに保護され公開されてるとのこと。2013年よりも前には、この ZABARS などにも良く行ったのに・・・
NYには(ロンドンにも東京にもいるが)本当にネズミが多い。この展覧会の遊び心として、小さなネズミと大きなドブネズミのシルエット動画が密かに壁の隅に映写され、街中の喧噪などの音も会場には流れていた。
「天才か反逆者か?」展の様子は:
正直言って、「天才か反逆者か?」展と作品の殆どが重複している作品が多く、やや新鮮味に欠ける。ただ「バンクシーって誰?」は、大がかりな実物大のセットが多く、グラフィティの環境そのもの(街角)を再現しようとしている展覧会と言うイメージ。
有名な坂道にある家の壁に描かれた。
「Aachoo!!」2020年 家人は作品をアクリルでカバーして保存していたが、後に取り外してオークションにかけられた。コロナ禍にもかかわらず、エリザベス女王がマスクをつけずに公務に出ていて批難されたことに起因していると。
「Girl with a Pierced Eardrum 鼓膜の破れた少女」
2014年にブリストルのレコーディングスタジオの壁に描かれ、2020年4月にマスクもかけられた。マスクはバンクシー本人によるものか、別の人によるものなのかも不明。フェルメールの真珠の耳飾りの代わりに、ADT警報器を利用している。
ロンドンにあるトンネルを再現。「Whitewashing Lascaux (The Cans Festival)」2008年
旧石器時代のラスコーの壁画を清掃員が消しているが、グラフィティーが消されていると揶揄している。今はもう上書きされて残っていない。そのトンネルでは、バンクシーが色々なアーティストの展覧会を主催し、通称バンクシートンネルとも言われている。
何気ない小道具も。日テレの美術さんによるものなのだそう。
「Barcode」2004
「Laugh Now」2003 笑いたければ笑え、いつか俺たちが勝つ、と。ストリートに登場したのではなく、ブライトンのモーリーストリートにあるナイトクラブ「Ocean Rooms」の依頼で制作されたもの。全長6mにおよぶステンシルの壁画で、バーカウンターの後ろの空間を埋める為サルのモチーフを10回繰り返し描いたもの。それから6年後、ナイトクラブは壁画を撤去し、50万米ドル近い値段で売却された。翌年にプリントして販売した。
ネズミはバンクシーの分身として描いている。そのネズミのシリーズ。バンクシーは、90年代からイギリス南西部のブリストルで活動していたが、2000年頃からロンドンに移り、街中に大量のドブネズミ(ラット)を描き残した。ステンシルアートの父と呼ばれるフランスのストリートアーティストのブレック・ル・ラットに影響を受けたとされているが、バンクシーの方がよりネズミが擬人化されている。フリーハンドで書いて、ステンシルで上から描いている。す早く描け、数も多く作れることから、ステンシルを多様していくこととなる。
「彼らは許可なしに生存する。彼らは社会から嫌われ、追い回され、迫害される。ゴミにまみれて絶望のうちに粛々と生きているが、彼らはすべての文明を破滅させる可能性を秘めている。もし君が、誰からも愛されず、汚くて、取るに足らない人間だとしたら、ラットは究極のお手本だ」(Banksy,
Wall and Piece, Century, 2005, p.95)
「Welcome to Hell (Pink)」2004
「Love Rat」2004
「Gangsta Rat」2004
「Radar Rat (right facing)」2002
盗聴して人の会話を聞いているのではないか?と。イギリスの監視社会を揶揄。
「Les Miserables」2016 催涙ガスの煙に包まれて、コゼットが泣いている様子を、2016年1月にロンドンのフランス大使館前の建物に描かれた。フランスのヴィクトル・ユーゴー原作のミュージカル「レ・ミゼラブル」のポスターをパロディにしたもので、フランスのカレーの難民キャンプで、催涙ガスが使用されたことへの抗議。左下にQRコードが書かれていて、「催涙ガスは使っていない」と主張するフランス警察に対する抗議の証拠となっている。QRコードを読み込んでみたが、実際の動画のYoutube が今も見られる。
「Hammer Boy (Better Out Than In)」2013 NY
実際に道路にある消火栓を、ハンマーでたたき割ろうとしている少年のシルエットが描かれている。NYのアッパーウェストの建物の壁に描かれたもので、近くのスーパーの ZABAR'S の主人らに保護され公開されてるとのこと。2013年よりも前には、この ZABARS などにも良く行ったのに・・・
NYには(ロンドンにも東京にもいるが)本当にネズミが多い。この展覧会の遊び心として、小さなネズミと大きなドブネズミのシルエット動画が密かに壁の隅に映写され、街中の喧噪などの音も会場には流れていた。
NYの各地で描かれた詳細のマップ。「Better Out Than In」と題した活動を1ヶ月間実行し、NYで一日1点のストリートアートを公開。その情報はバンクシー本人のSNSで告知された。私はNYには、2004~2009年に居たので、バンクシーがもう少し早くNYに来てくれていれば・・・
「Banksy vs Bristol Museum」2009
2009年にバンクシーはブリストル市立博物館・美術館で古典美術と現代が入り交じるゲリラインスタレーションを決行。その展覧会の宣伝ポスターの一枚で、暴徒鎮圧用の装備を身につけた警官がコイン式の動く木馬に乗っている像を、本物の警官が見つめているという構図となっている。
「Exit Through the Gift Shop」2010
バンクシーが初めて監督した作品「Exit Through the Gift Shop」がユタ州で開催されたサンダンス映画祭で上映され、米アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞にノミネートされた時のポスター。ギャラリーや美術館は、来場者に多くのお金を使わせる為に出口直前にギフトショップを設置していることを揶揄。
「Americans Working Overhead」2004
「Soup Can」2005
イギリス大手スーパー「テスコ」のスープ缶。アンディー・ウォーホルが1962年に描いたキャンベルのスープ缶をもじっている。誰にでも平等に無限に再現されるイメージを表現したアンディー・ウォーホルに対して、バンクシーは地元経済を脅かす大企業への痛烈な批判を表現。実際に故郷ブリストルでテスコ反対の暴動が起きた際に、この限定版プリントを廉価で販売し、暴動で捕まった人の保釈金に充てている。
「Tesco Bomb」2011
「Gas Mask Fly」2002
ガスマスクを付けたハエのバックは、切手シート。エリザベス女王風のサルにガスマスクを装着させている切手シートとなっている。(画像をクリックしていただくと拡大されます)
「Di Faced Tenner x 3」2004
バンクシーが10万枚制作したとされる偽の10ポンド紙幣。表にダイアナ妃、裏にチャールズ・ダーウィンが印刷され、「バンク・オブ・イングランド」ではなく「バンクシー・オブ・イングランド」と発行元を表記、裏面には「Trust No One 誰も信じるな」と書かれている。
「Turf War」2003
「唸るライオン」と呼ばれたウィンストン・チャーチルの肖像写真の髪を、人工芝(Astroturf)を思わせる緑色のモヒカンにしている。作品名の「turf war 縄張り争い」は、「Gulf War 湾岸戦争」ともかけており、チャーチルと彼の後継者達の政争の揶揄。ロンドンの倉庫で個展「Turf War」を開催。体にスプレーペイントされた牛や豚や羊などの家畜を展示し物議を醸した。1週間開催予定だったが、バンクシーに逮捕状が出されたことで、3日後に閉鎖。
「Weston-Super-Mare」2003
「Save or Delete」2002
「Forgive Us Our Trespasses」2010
<2>に続く。
会場:寺田倉庫G1ビル
会期:8月21日~12月5日’21
会期:8月21日~12月5日’21
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