野口哲哉氏の個展「this is not a samurai」。

「鎧と人間」をモチーフに、樹脂や化学繊維、アクリル絵具を使い、彫刻や絵画作品などを制作されている。ひとりひとりのお侍さんの表情が何とも良い感じ。だいたいの作品が30センチほどの大きさながら、非常に精巧に作られている。

「SAMURAI BOX」2013
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「THE MET」2020 NYのメトロポリタン美術館(通称MET)の袋を持ったこの姿は、一昨年のサントリー美術館で、本物の屏風などとのコラボで、非常に面白かった。その様子は:

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「WOODEN HORSE」2020
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「Shellz」2022
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「Man in the egg」2021  デンマークのアルネ・ヤコブセン氏が考案したエッグ・チェアー。
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「STRIPE」
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ジーパンにブレスレットに眼鏡に冑。
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「rocket fuel」2022 九州の郷土玩具「キジウマ」は、かつて平家の落人が山中に逃れ、我が子の為に制作したという伝説が残っているそうで、子供が乗れるサイズだったものが、時代と共に小型化し、今も郷土玩具となっている。
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「Clumsy heart」2018 武士が着ている甲冑は「平治物語絵巻」の中に出てくる白とピンクの鎧武者がモデルとのこと。手には武士にとっては巨大な(我々にとっては普通の)口紅で描いている。それはオルビスの口紅で、奥様の愛用品なのだとか。
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「BIAS」2019
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左から「Crown Helm」「Ring Helm」「Feather Helm」2015 結構小さい。
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「IRON ARMOUR ~雑賀風~」2018
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「Shoulder bag and Sneaker and SAMURAI」2013 画像ではわかりにくいが、背中にはショルダーバッグ、そしてスニーカーを履いている。
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「Moon and Star」2011 髭や脚の毛なども非常にリアル。
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「Three Wise Monkeys」2015 とても小さい作品。
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「small sleep」2019 もっと小さく、今回の作品の中では極小かと。
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「Thing of the operation 稼働する事  -Haramaki Style 紫糸威腹巻 筋兜鉢付- 」2010
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一回り大きめな作品達もある。

「Talking Head」2010 頭上でわめいている兜と、それを見上げる若者。兜は相伝品で、若者の大先輩で時代を経るごとに発言力が増していくが、若者と意思疎通は出来ておらず、世代間の価値観の衝突を表しているのだそう。
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「Small sweet passion ~南北朝の花~」2018 喜怒哀楽は限定的に表れる感情で、人生の大半を無表情でニュートラルな感情で過ごしている。名前のない表情や感情は重要な要素だと。
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「The gradation ー河津伊豆守祐邦像ー」2014  極まれとのことだが、実在の人物をモデルにしている作品。河津伊豆守は、幕府使節団としてフランスのナポレオン三世に謁見。日本から持参した甲冑を纏って軍事訓練を見学し、「東洋の絵画から抜け出してきたような雄姿」とナポレオン三世に賞賛されたのだそう。
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「シャネル紋二枚胴具足図  2-piece cuirass armour with Chanel crest」2009
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「シャネル侍着甲座像」2009 甲にまでCHANELと入っている。
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絵画もある。

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「風船追物語図」2017 風船と書いて「かざふね」と読むのだそう。
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「21st Century Light Series ~The Tap~」 2020 ヨーロッパの古典技法で描かれているが、お侍さんが見ているのはスマホ。
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会場の壁にはこんな可愛いイラストが!
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会場:ポーラ ミュージアム アネックス
会期:7月29日~9月11日’22

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