大竹伸朗氏(1955-)は、絵画、版画、素描、彫刻、映像、絵本、音、エッセイ、インスタレーション、巨大な建造物に至るまで、さまざまな作品を作り続けておられる。2006年に東京都現代美術館で開催された「全景 1955-2006」以来となる大規模な回顧展で、およそ500点もの作品が出品されていて圧巻。大竹氏曰く、会場が狭いので(?!)500点の内容は圧縮された全体像だと。
制作は、1点ずつではなく、数点を同時に制作される方式。完璧を求めたことはなく、満足がいったと思う作品はいつも too much になってしまっており、物足りなさのままにしておくと、時間が経つとちょうど良い塩梅になる、上手くいったところを残そうとすると、次に作るものは絶対に面白いものは出来ないと。
まず美術館の外から既に作品が。奥様のご実家があり現在移り住まれている宇和島で、90年代前半に、宇和島駅が全面改築になるにあたり、捨てられる運命だったブリキ剥き出しの文字型をもらって来られたもの。生まれ育った場所の地名を、いざその地を離れてから目にすると、色々な感情が生まれると。
宇和島駅 1997

金曜に行ったところ、20時までと長い会館時間だったこともあってか、若い層を中心に結構な来館者数だった。7つのテーマに分けてあるが、時間軸順どおりになっていない会場構成。
IMG_7719

IMG_7822

「残景0」 2022 コロナ禍に制作された最新作。以前から作っていた残景1からだったが、その前のゼロがあったなと。
残景0 2022

「モンシェリー:スクラップ小屋としての自画像」2012 
中も外も埋め尽くされている。
IMG_7734

IMG_7760

「ダブ平&ニューシャネル」 1999 実際に中に入って大竹伸朗氏が演奏されることも。
向かい合った緑のブースから、遠隔操作により演奏が出来る。中央のギターがダブ平、左のギターがボブ、右のギターがエイジ、ドラムがアダムなのだそう。
ダブ平&ニューシャネル 1999

IMG_7819

「EZMD I」  1984
EZMD I  1984

「ミスター・ピーナッツ」 1978-81
ミスター・ピーナッツ 1978-81

「紅茶を運ぶ黄色い天使」 1982
紅茶を運ぶ黄色い天使 1982

「残景 14 」 2020
残景 14  2020

「サンティアーゴ」 1985
サンティアーゴ 1985

「記憶の形」 1984
記憶の形 1984

「時憶 フィードバック」 2015
時憶 フィードバック 2015

「網膜 太陽風 1」 1990-2020
網膜 太陽風 1 1990-2020

「東京ー京都スクラップ・イメージ」 1984
東京ー京都スクラップ・イメージ 1984

IMG_7758

「象 II」 1985
象 II 1985

「ニューシャネル」 1998 
宇和島にあるスナックの扉で、もとからこの文字が付いていた。大竹氏が非常に気に入り、以降大竹フォントとも言われ使用されていくことに。
ニューシャネル 1998

「日本景 東京II」  1997
日本景 東京II  1997

「Explorer」  1985
Explorer  1985

「スクラップブック #65」 2005.3-2010.5.20 
1977年からのライフワークとなっているスクラップブック。最新版は71冊目で3年かかっており、現在は72冊目を制作中なのだそう。切っては貼ったり描いたりしており、1冊が17キロの重さになっているものも。21歳の時に立ち寄ったロンドンの蚤の市で、ビニールに入れたままの大量のマッチ箱のラベルと、それを貼り付けた状態で売っている男性に出会い、自分のやるべきことに出会った気がしたと。
スクラップブック #65 2005.3-2010.5.20

「ガレージ」 1984
ガレージ 1984

「網膜(左眼)」1990-91
網膜(左眼)1990-91

網膜

「網膜(茶の前の落下)」1991-93
網膜(茶の前の落下)1991-93

「赤い兵士」 1984
赤い兵士 1984

「芥子 音影 I」  2008
芥子 音影 I  2008

「Wallpaper」  1978-79
Wallpaper  1978-79

「網膜(ニュー・トン・オブ・タンジェ I)」1992-93 網膜と題されたシリーズ作品の立体。写真や印刷物や、600匹ものハエの模型が貼られている。
網膜(ニュー・トン・オブ・タンジェ I)1992-93

「おかま牛の憂鬱」 1987-88
おかま牛の憂鬱 1987-88

おかま牛

「レディオ・ヘッド・サーファー」 1994-94
レディオ・ヘッド・サーファー 1994-94

ロンドンで、ラッセル・ミルズと共にライブパフォーマンスの「クルバ・カポル」を手伝った経験により、絵と音の融合とし、音も作品の素材とする。
「ゴミ男」 1987
ゴミ男 1987

今まで見た大竹伸朗氏の作品は:

会場:東京国立近代美術館
会期:11月1日'22~2月5日'23

にほんブログ村 美術ブログへ
にほんブログ村
にほんブログ村 美術ブログ 美術鑑賞・評論へ
にほんブログ村