石上純也氏設計のKAIT(神奈川工科大学)の建物を見学しに。
遠くから神奈川工科大学の建物が見えて来た。(これは鹿島の設計らしいが。)
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KAIT工房 2008年竣工 
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創作活動の専用施設として建てられたもので、学生さん達が、金属加工、サンドブラスト、鋳造、陶芸、七宝、レーザー加工、3Dプリンター、木工加工などをされている。2000平米の建物は壁や間仕切りはなく、面の幅が異なる細い柱が無秩序に散らばっているように見えるが、綿密な計画のもとに305本もの柱が配置されており、柱の断面形状と角度は全て異なっているのだそう。

天井高は5メートルあり、勾配があるので雨水は北側のガラス面を流れ落ちるようになっているとか。

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KAIT広場 2020年竣工
もともとは、「運動部の室内練習や自動車を作る学科の展示スペース、多目的な半屋外のスペース」を依頼されたそうだが、「学生がぶらっと留まれる場所」で、海や雲ならずっと眺めていられることから、時間や天気や季節の変化が意識的に見えて来る空間をと。そして「風景のような建築」「空間の内部に地平線のようなものを作りたかった」とのこと。イタリアはシエナにあるカンポ広場を実測して、ほぼ同じ傾斜を床面に取り入れており、柱が1本もなく、59ヶ所の開口部がある。1枚屋根となっている天井は、厚さ12ミリの鉄板を現場で溶接して、断熱・耐震・風圧対策の為に鉄板の上に透水性アスファルトを約30ミリ敷き詰めているとのこと。屋根の荷重は約580トンあるが、全てを外周の壁と基礎部分で受け止めている。天井の高さは、2.2メートル~2.8メートルで、開口部は一辺が1.8メートル~3メートル。鉄板の温度変化によって伸縮し、天井高が20センチほど変わるのだそう。南北約82メートル、東西約55メートル、床面積4100平米。
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床の高低差により、すり鉢状の底に進んで初めて、見えていなかった奥の人が見えたりする。起伏のある草原や砂漠を歩いて感じる地平線を、内部空間に作っていると言う新しい体験となった。屋根が湾曲させたのは、平らな土地を歩くと地球の丸みをかすかに感じる地平線が見えるが、そのカーブを上下ひっくり返して屋根とし、自重で自然に垂れ下がるようにしたのだそう。
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床の最大高低差は5メートルもあり、透水性アスファルトが敷き詰められていて、雨水は直ちに吸収され床の下を流れていくしくみとなっている。
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シートやヨガマットなども常備されていて、学生さん達が思い思いに過ごせる空間でもある。
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壁面にはガラスが嵌め込まれており、外側の地面も高低差が付けてある。上述のKAIT工房から桜並木越しに空が見えるようにと、建物の天井高は3メートルから1.8メートル。
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豊島にある西沢立衛(にしざわりゅうえ)氏設計の豊島美術館を思い出した:


開口部から直に空の景色を楽しめることから、ジェイムズ・タレル氏の作品を思い出した:


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