ウィリアム・メリル・ヴォーリズ William Merrell Vories 氏(1880~1964)氏設計。
昭和6年(1931年)竣工。旧軽井沢二手橋上の約6,000坪の敷地内に建てた別荘で、平成20年に軽井沢タリアセン内に移築復元された。軽井沢の別荘の中でも最大級で重量がある為、不等沈下を防ぐ為に長さ7メートルの杭を30本打ち込んでいる。登録有形文化財。
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帝国生命や三越の社長をつとめた朝吹常吉氏の別荘であったのち、常吉氏の長女でありフランス文学者でも有名な朝吹登水子氏が夏場を過ごすための山荘として引き継いだ。英国に留学経験のある常吉氏は、ここで英国式に暮らした。
地上2階建木造。切妻造り、塩焼き瓦による桟瓦葺き。解体時に、瓦の2割が再利用できず、現在は入手できないものの為、新しい瓦の色合わせは大変だったとのこと。
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外観は不揃いの松材を2階下まで横張りとなっており、2階窓横には菱型のレリーフがある。
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垂木にも装飾がある。
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広間(居間兼食堂)
居間と食堂を一体化した中世英国のグレートホールにならったしつらえで、36畳相当。濃茶色を基調とする室内には、登水子氏がフランスで買った赤いカーテンが。テーブルセットはアメリカから取り寄せた物。太い松の梁を現しにした天井や自然石積みの暖炉、杉皮を貼った腰板などが特徴。床面まである両開きガラス窓は採光・通風に配慮したもので、玄関を設けなかった別荘の玄関代わりとし、窓を開放すれば奥行きのあるポーチと一続きの空間になり、寛いだ社交の場として来客が集ったのだそう。
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暖炉は、移築前と同じ石で復元され、各石には番号がふられて元と同じ位置に戻るよう解体・保管されたもの。燃焼効率アップのため、アーチの部分の石は21個から17個に変更されたが、余った石は暖炉の横に移動されているのだそう。奥まで入れなかったので、その余った石までは見られなかったが💧
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幅が広く緩勾配で登りやすい中折れ階段。
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2階には4つの寝室があり、床下には階下への遮音のため、おがくずを敷きつめてあるとのことで、一部が見られるようになっていた。移築前に袋詰めしたものを再利用しているが、足らない分は復元工事中に木材加工で出たおがくずを充てているとのこと。
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主寝室は常吉夫妻用で、デッキと直結している。
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登水子氏が書斎として使った中央の寝室。
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竹柄の軽井沢彫テーブルが置かれた寝室。
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白いデッキは、手の込んだデザインとなっており、窓枠の白色と合わせて、ベンガラ色の外壁に映えている。
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因みに、ドラマ「カルテット」のロケ地ともなった。

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