フランス人アーティストのフィリップ・パレーノ氏の「フィリップ・パレーノ:この場所、あの空 Philippe Parreno Places an Spaces」展。5つの展示会場は、パレーノ氏自身が何度も箱根まで足を運んで決めたとのこと。

「私の部屋は金魚鉢」2018
マイラー・フィルム製の体をヘリウムで満たしたバルーンの金魚達がゆらゆらと。
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「私の部屋は金魚鉢」2018



「マリリン」2012
マリリン・モンローの声、視線、筆跡をテクノロジーによって人工的に再現したもの。綴っている字は、ロボットアームがマリリンの字を再現している。マリリン・モンローが1955 年の映画「七年目の浮気」のロケのために住んでいたニューヨークのホテルのウォルドルフ・アストリアの部屋を舞台として撮影されたもの。カメラアングルは、マリリンの視線がとらえたものとなっている。ピアノの旋律はピアニストが演奏している。
「マリリン」2012

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マリリンの本名である、ノーマ・ジーンとサインしている場面も。
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最後には、どんどんホテルの部屋からカメラが引いていくと、そこは映画のセットだった。。。
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「ヘリオトロープ」2023/2024
コンピュータ・プログラムで制御されたモーター駆動で動き、巨大なミラーが太陽光をとらえ、オレンジ色の反射光を投射するもの。
「マリリン」の映像が終わると、ブラインドが開いて、外にある太陽光を反射させるヘリオトロープの光が展示室に差し込むようになっている。映像を見ていたベンチのある場所全体がアートに変わるしくみ。あいにく行った日は曇り空だった為、展示室に差し込む光は見えず💧
「ヘリオトロープ」2023・2024

「雪だまり」2024 
箱根の残雪から着想されたもの。
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「雪だまり」2024


「ホタル」 
実際に、ポーラ美術館のエントランスにも設置されているものの、日中は気づくことが出来ず、17:00閉館後の限られた時間に小さな光が点滅するのだそう💦
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「ふきだし(ブロンズ)」2024
天井に浮かぶ黄金のバルーンは、1997年から継続的に様々な色で制作されている「ふきだし」シリーズの最新作。当初、労働組合のデモンストレーションの為に制作されたものだったが、意味は変化し、空白のふきだしは言葉の無力さ、あるいは声なき声の存在を示唆するようになったと。
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「ふきだし(ブロンズ)」2024

「どの時も、2024」2024
コウイカを主人公とする映像作品。パレーノ氏は自らコウイカを飼育して、度々作品に登場させており、この作品ではコウイカが壮大なSF映画のようになっている。
「どの時も、2024」2024


「マーキー」2024
映像「どの時も、2024」が終わると、同じ展示室で明滅を繰り返す。
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「暗転(ボルダーズ・ビーチ)」2003
モノクロ写真に特殊な蓄光インクを施し、紫外線を当てることで、緑色に発光するが、限られた発光時間が過ぎると暗転していく。
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「暗転(ボルダーズ・ビーチ)」2003

「HDKの種子:2025年の予言」2024
「HDKの種子:2025年の予言」2024-001

ドローイングを展示するガラスケースが明滅を繰り返していて、全体を見るのも、ひとつの作品をじっと見るのも大変。
ガラスケースの中央にある2つのガラスランプはそれぞれ「幸せな結末」2014-15 
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片側だけが見える状態に・・・
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・・・と思うと、両方とも見えない! 展覧会は作品を見せる為のものじゃないんかい?と思ってしまうが、このライトの明滅も作品。
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こちらのガラスケースは、作品の色が暗転する。
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パレーノ氏はドナルド・バードという歌手を気に入っておられ、ガラスケースの中のランプが明滅するリズムもその歌「Places and Spaces」(因みに、この展覧会の英語の表題にもなっている)のイメージなのだそう。


会場:ポーラ美術館
会期:6月8日~12月1日’24

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