戦後の10大商社のひとつであった安宅産業株式会社のコレクション。安宅英一氏が蒐集した中国と韓国のコレクションは、国宝が2点、重要文化財が11点、重要美術品が6点ある。1970年代に安宅産業は経営破綻したが、メインバンクである住友銀行がコレクションの散逸の危機を防ぎ、コレクションを大阪市に寄贈。そのコレクションの為に建てられたのが、東洋陶磁美術館で、建築費用も住友グループが出した。
現在、国宝2件、国の重要文化財13件を含む約4000点が収蔵されている。
国宝 油滴天目茶碗 南宋時代12~13世紀 建窯
中国浙江省の天目山のお寺で使われた形の茶碗なので「天目茶碗」と言われる。北宋の皇帝が書き残しているが、当時の最高級のお茶は泡立てた白色をしており、より白色がきわ出すようにと黒いお茶碗となった。茶碗の内外の黒釉に油の滴のような銀色の斑紋がある。釉薬の中に含まれる鉄分が酸素や温度により化学変化で生じた斑紋。うまく写真に撮れなかったが、内側はうっすら青く虹彩(こうさい)と言われる。ひとつの100メートルの登窯で一回に13万個を焼いても、なかなか作られるものではない。油滴天目茶碗で国宝なのはこれひとつ。口縁は日本製と考えられる純度の高い菌の覆輪がはめられている。関白豊臣秀次、西本願寺、京都三井家、若狭酒井家に伝来し、酒井家から安宅英一氏が譲り受けた。因みに、数年前に別の油滴天目茶碗がオークションにかけられたが、その時は約12億円で落札されたが、この一品はその完成度からいくと何十倍もとのこと。
前回、泉屋博古館東京で展示された時よりも、ずっと見やすい♬
国宝 油滴天目茶碗 南宋時代12~13世紀 建窯-001

国宝 油

箱に入った油滴天目茶碗のレプリカを〇い穴に手を入れて触ったり、傾けたりすると、その角度で油滴天目茶碗のアップが目の前に映し出される。
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安宅コレクション 青花 虎鵲文 壷 朝鮮時代18世紀後半
安宅コレクション 青花 虎鵲文 壷 朝鮮時代18世紀後半
安宅コレクション 青花 虎

重要美術品 李乗昌コレクション 粉青象嵌 蓮花文 角杯 朝鮮時代15世紀前半
重要美術品 

李乗昌コレクション 青磁陰刻 牡丹文 輪花形盤 高麗時代12世紀
李乗

李乗昌コレクション 青磁象嵌 雲鶴文 碗 高麗時代12世紀
李

李乗昌コレクション 青磁鉄地象嵌 詩銘 瓶 高麗時代13世紀
李

李乗昌コレクション 白磁鉄地 壷 朝鮮時代16世紀
李

李乗昌コレクション 朝鮮時代の文房具
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鼻煙壷(中国) 
中にタバコを入れた壷は、袖や帯の内側などに入れて携行していた為10センチ以内で扁平に作られている。すくい出したタバコを鼻腔から吸い込むとのこと。
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少しだが、コンテンポラリーな作品も。

秋山陽「ZONE I」1989
秋山陽「ZONE I」1989

秋山陽「Heterophony 2」2008
秋山陽「Heterophony 2」2008

宮下善爾「狭風」1994
宮下善爾「狭風」1994

黒田泰蔵「壷」2019
黒田泰蔵「壷」2019

森野泰明「WORK 75-15」 1975
森野泰明「WORK 75-15」 1975

辻晋堂「ソバセイの化学繊維の古い襯衣(はだぎ)」1967
辻晋堂「ソバセイの化学繊維の古い襯衣(はだぎ)」1967

鈴木治「朱夏の月」1982
鈴木治「朱夏の月」1982-001

鈴木治「馬群像」1974-1982
鈴木治「馬群像」1974-1982

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