未発表の新作を含む没入型・体感型サウンド・インスタレーション10点と、スペシャルコラボレーションアーカイヴ特別展示の12点。YMOのテクノポップの後、「戦場のメリークリスマス」や「ラストエンペラー」など、メロディアスなものに人気が出たが、そのイメージに飽きて打ち破るべく、前衛の「もの派」などに傾倒したとのこと。
①坂本龍一+高谷史郎《TIME TIME》2024
生前、坂本氏が残していた構想を制作された新作。夢や時間にまつわる古典から着想を得て、時間とは何かという問いに挑んだ作品で、2021年に初演された舞台作品《TIME》をもとに、今回のこの展覧会の為に制作された作品。坂本氏が2017年に発表した名盤『async』(「async」とは「非同期」「ずれること」を意味する)で見られた非同期性をさらに発展させ、時間とは何かを「夢幻能」のフォーマットで表現したもの。夏目漱石の「夢十夜」から始まるが、坂本氏が推考して考えられた言葉を、田中泯氏が朗読。水が舞台として大きな役割を果たしており、撮り下ろしによる宮田まゆみ氏の笙の音色と田中泯氏の映像が組み合わされ、13の場面がランダムに現れては消える。舞台作品を制作している時に、坂本氏の癌の再発がわかり、余命半年と告げられたとのこと。

①坂本龍一+高谷史郎《TIME TIME》2024
生前、坂本氏が残していた構想を制作された新作。夢や時間にまつわる古典から着想を得て、時間とは何かという問いに挑んだ作品で、2021年に初演された舞台作品《TIME》をもとに、今回のこの展覧会の為に制作された作品。坂本氏が2017年に発表した名盤『async』(「async」とは「非同期」「ずれること」を意味する)で見られた非同期性をさらに発展させ、時間とは何かを「夢幻能」のフォーマットで表現したもの。夏目漱石の「夢十夜」から始まるが、坂本氏が推考して考えられた言葉を、田中泯氏が朗読。水が舞台として大きな役割を果たしており、撮り下ろしによる宮田まゆみ氏の笙の音色と田中泯氏の映像が組み合わされ、13の場面がランダムに現れては消える。舞台作品を制作している時に、坂本氏の癌の再発がわかり、余命半年と告げられたとのこと。

②坂本龍一+高谷史郎 《water state 1》2013
気象衛星の全球画像から会場を含む地域の降水量データを抽出し、データに連動して落ちる水滴波紋が音に変換され空間に響く。
世界各地の地震データと連動して音を響かせるインスタレーション。東日本大震災で泥水に浸かり、もう音もまともに出ない宮城県農業高等学校のピアノが使われている。ちゃんと調律されたピアノの音は画一的だが、このピアノは自然によって調律され直したピアノだと。
④カールステン・ニコライ《PHOSPHENES》《ENDO EXO》
音楽:坂本龍一 2024
カールステン・ニコライ氏が、《PHOSPHENES》と《ENDO EXO》を映像化し、坂本氏の最後のアルバム『12』から「20210310」と「20220207」というトラックを用いている。
⑤坂本龍一+アピチャッポン・ウィーラセタクン《async–first light》(2017)
「デジタルハリネズミ」と呼ばれる小型カメラを親しい人たちに渡して撮影してもらった映像で構成されたもの。坂本氏はこの作品のために「Disintegration」「 Life, Life」の2曲をアレンジ
⑥坂本龍一+高谷史郎《async–immersion tokyo》(2024)
坂本氏が高谷とともに制作した「AMBIENT KYOTO 2023」で《async–immersion 2023》として発表された作品が、今回の展示空間にあわせて再構成され、巨大スクリーンに様々な自然の様子や坂本氏のスタジオなどが映像として流れている。無数の細い横線からなる映像はつねに変化を続けるが、音楽と映像はシンクロしていない。
⑦坂本龍一+ Zakkubalan 《async–volume》(2017)
『async』制作のために過ごしたニューヨークのスタジオやリビング、庭などの断片的な映像が、それぞれの場所の環境音とアルバム楽曲の音素材をミックスしたサウンドとともに1つのインスタレーションとして構成された作品。24台のiPhoneとiPadが壁に配され「小さな光る窓」となっている。
⑧坂本龍一+高谷史郎《LIFE-fluid, invisible, inaudible...》2007
坂本氏が初めて発表した本格的なインスタレーション作品。坂本氏自身が高谷氏に依頼し、以降多くの作品に高谷氏が関わっていく。もとになったのは、坂本氏自身が手掛けた20世紀を総括するオペラの《LIFE a ryuichi sakamoto opera 1999》で、高谷氏はその映像を担当。20世紀の色々な事象の映像をどんどん流す映像となった為、ゆっくり味わうインスタレーションを作らないかと、高谷氏が坂本氏に持ちかけたとのこと。京都のお寺の庭のように、行きたい時に自由に見られるようなものを作りたいと。展示空間には、22個のスピーカーがあり、場所によって音の聴こえ方が異なる。9つの水が張られたアクリルボックスが中空に浮かび、そのアクリルボックスの中に発生する霧に映像が投影され、霧のゆらぎによって、映像の見え方が変化する。アクリルボックスは明滅し、地面に様々な景色や文字などが映し出される。
⑨アーカイヴ
⑩坂本龍一+中谷芙二子+高谷史郎《LIFE–WELL TOKYO》霧の彫刻 #47662(2024)
美術館屋外のサンクンガーデンを使って展示されるもの。
⑪坂本龍一×岩井俊雄《Music Plays Image × Images Play Music》(1996-97/2024)
音楽と映像のコラボレーション。1996年に水戸芸術館で初演されたもので、坂本氏が奏でるMIDIピアノの音を岩井氏のプログラムによって瞬時に映像化され、スクリーンに投影され、音が可視化される。97年のアルスエレクトロニカで演奏されたデータをもとに、坂本氏の演奏が指のタッチまで忠実に再現され、弾く鍵盤の位置から光が生み出されるインスタレーション。「The Sheltering Sky」「Parolibre」作曲・演奏 坂本龍一
⑫坂本龍一+真鍋大度《センシング・ストリームズ 2024–不可視、不可聴 (MOT version)》2024
屋外に設置された16メートルの帯状のLEDディスプレイに、東京という大都市の目に見えない身の回りを飛び交う電磁波を可視化・可聴化しているとのこと。
とにかく混んでいた。もともとは日程指定チケットの販売もなかったのだが、あまりの人気ぶりに1月途中から日程指定チケットとなり、2月の祭日からは、撮影不可なエリアも増え、霧の彫刻へのアクセスルートも変わるとのこと。我々は平日、開館20分前ぐらいに到着したが、既に100名以上が入館の為に建物外に列を作っていた。そして午後ともなると待ち間50分となっていた。会期終了間近なモネ展の待ち時間90分などに比べれば、未だ未だかも知れないものの、会期終了は来月末までと1ヶ月以上在る中でのこの人気ぶりには驚いた。
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