アンゼルム・キーファー Anselm Kiefer 氏の「アンゼルム・キーファー:ソラリス」展へ。
二条城の普段は一般公開していない二の丸御殿台所・御清所を使っての展覧会。キーファー氏は、1945年ドイツ生まれで、戦後のドイツをテーマとした作品を多数制作されている。

《ラー》2019 エジプトの太陽神ラーをテーマとし、パレットに羽根が生えていて、足元には蛇。パレットがキーファー氏を表しており、太陽神ラーに対して敵となる神様である蛇が足元にいる。
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《オクタビオ・パスのために》2024
メキシコの詩人オクタビオ・パスの「水は石を穿ち、風は水を散らし、石は風を阻む。水と風と石。」から。金を多様し、電解液を使って緑を出しているとのこと。中央左には、人間が反り返って絶叫している様子が描かれている。
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《月のきるかさの雫や落つらん》2018~2024 
タイトルは、江戸時代後期の京都の歌人、大田垣蓮月氏の和歌からとられている。「月のきる かさの雫や 落つらん よる行袖に かかるしらつゆ」
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《オーロラ》2019~2022 日本に因んだ作品。原爆投下後の広島の千田国民学校の骨組みだけとなった屋根のもと、墓石が並ぶ写真を、1990年代に広島を訪れたキーファー氏が見て着想を得た。乳母車は、ソビエト連邦の映画「戦艦ポチョムキン」の虐殺シーンからインスピレーションを得たそうで、「オーロラ」は、日露戦争で戦ったロシアの巡洋艦の名前でもあるとのこと。乳母車の中には金が置かれ普遍をあらわし、錆が作品を変化させていて、停滞はないことを示していると。
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かつて四畳のいろりで調理し料理を温めていた「御清所」が展示会場のひとつとなっている。
《モーゲンソー計画》2025 
敷き詰められた砂からとうもろこしと小麦が生えている様子で、鉄や布で作られている。
モーゲンソー計画とは、第二次大戦中のアメリカのモーゲンソー氏による計画のことで、ドイツの戦後処理として、ドイツを分断し資源を取り上げ、ジャガイモを作らせる農業国にすれば戦争を起こさないとされた計画。
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砂の上には、金の蛇と、本と、割れた陶器が置かれている。蛇の画像は撮りそびれてしまったのだが、蛇は両義的な意味を、本はモーゲンソー計画に対する叡智を、割れた陶器はドイツを表しているのではないかと。
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《アンゼルムここにありき》2024 キーファー氏自身の後ろ姿。
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キーファー氏の古代の女性をテーマにした作品には頭部がない。女性達の思想が男性によって奪われたことから。
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左:《サッフォー》2024 サッフォーは古代ギリシャの女性詩人のこと。
左から2番目:《シェキナ》2024
中央:《ダリア》2024
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《アンティオキアのマルガリータ》2024 伝説上の女性の殉教者のことで、ドラゴンに飲み込まれると言う拷問を受けたとされている。
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以前に見たキーファーの作品は こちら

会場:元離宮二条城 
会期:3月31日~6月22日’25

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