151 W 54th st (at the London NYC hotel), New York, NY 10019
212-468-8889
www.thelondonnyc.com/gordon_ramsay/maze.cfm

ミシュランの三つ星に輝くロンドンのスターシェフであるゴードン・ラムゼイ氏のお店。ロンドンでは3つのレストランで合計7つの星を持っている。
現在放映されている FOX テレビ局の 「Hell's Kitchen」 と言う番組では、シェフの卵達を非常に厳しく叱咤する彼の姿が放映され人気番組の一つとなっている。
今年になって新しく出来たホテル The London NYC Hotel のメインダイニングとラウンジを任されており、メインダイニングである「GORDON RAMSAY AT THE LONDON」でのランチは、平日木曜と金曜しかやっていないので、今回はよりカジュアルな「MAZE」に。

前菜、主菜、デザートのカテゴリーから2つを選べば25ドル、3コースにすると35ドルとなるランチプリフィクスで、35ドルの3コースを選択。

★前菜
1 2
       ビーツとリコッタチーズ                   ホタテ 
 ○ビーツとリコッタチーズ
  Marinated beetroot, Ricotta, pine nut and Cabernet Sauvignon dressing
  スライスされたビーツの間にリコッタチーズが挟まれている。
  とても小さいプレートだが、松の実が半分に刻まれ、小さくカットされたビーツなど、凝っているがあっさり。

 ○ホタテ
  Hand dived sea scallops roasted with spices, golden raisin puree and cauliflower beignets
  黒いソースはゴールデンレーズンのピューレ。カリフラワーのベニエ添え。
  小さなカリフラワーが立方体のようにカットされて衣をつけて揚げてあった。
  ベニエ beignets とは
  フランス語で衣揚げのこと。
  因みにアメリカでは、ルイジアナ独特の穴の開いていない四角いドーナツのような揚げ菓子をさす。

★主菜
1 2
           オヒョウ                   スズキ

 ○オヒョウ Halibut のプロシュートソース
  オヒョウの表面には、プロシュート(生ハムの一種)が薄くひかれてグリルされており、パースニップ、
  芽キャベツ、ムール貝、プロシュートの賽の目切りに、さっぱりしたクリームソースをその場でかけてくれる。
  オヒョウが非常にあっさりしているので、生ハムの塩気がちょうど合う。
  ソースには小さく刻まれたムール貝がベースとなっていて、非常に美味しい。
  ムール貝をあえて主役にせずに脇役のソースに使う方法はなかなか目新しくて良かった。
  オヒョウ Halibut とは
  ヒラメも含めたカレイの仲間で、一番大きな種類で大きな物は3メートル体重200キロを超える。アメリカでは
  サーモンと同様に良く食べられる。
  イギリスの代表的庶民料理であるフィッシュ・アンド・チップスにも使われる。
  パースニップとは
  せり科の二年草。ニンジンに似た根菜で白い。味は淡白で甘味と少し苦味がある。

 ○スズキ Seabass のソラマメのソース
  グリルしたスズキの下にはキヌアがしかれ、ソラマメ、アサリのむき身、ドライトマトの上からその場で
  緑色の濃厚な緑のソースをかけてくれる。
  スズキは柔らかいが焼き目がしっかりついていて香ばしい。
  緑のソースはソラマメが主体となっていると思うが、ほかの野菜が入っているかと思わせる非常に濃厚な
  仕上がり。
  キヌアとは
  南米のアンデス地方の穀物で、チチカカ湖周辺が原産。画像は こちら
  直径2~3ミリの種子をつけ、それを脱穀して食用とする。

★デザート
1 2 3
 ババのパッションフルーツソース     フォンダンショコラ        プチフール

 ○ラムババのパッションフルーツとマンゴソース
  Passion fruit and rum baba with mango tartar and frozen yogurt
  パッションフルーツの酸味と、マンゴの甘味が美味しいが、ラムババとありながら、ラムが少ない。
  ババは、フォークなどで切るとジワーッとラムやシロップが染み出てくる物を期待しただけに、まるで
  ドーナツを食べているよう。
  ラムババについては こちら を参照ください。

 ○フォンダンショコラ
  Valrhona chocolate fondant, green cardamon caramel, sea salt and almond ice cream
  チョコレートは上質な Valrhona を使っているので濃厚なフォンダンショコラ。
  熱いフォンダンショコラに、冷たいアイスクリームを乗せていただく。
  海の塩とアーモンドのアイスクリームとあったが、あまり塩分は感じなかった。

 ○プチフール
  チョコレートトリュフの中にはキャラメルクリーム。甘さを引き出す為に塩分の強いキャラメルとなっている。
  ピーナッツのお菓子は、日本で縁日などで売られている豆板にとても似ていた。

パンは一種類だが、フォカッチャのような食感のもの。バターには荒塩が振ってあった。
ポットサービスのコーヒー6ドルを追加。

前菜・主菜ともポーションは小さいが、非常に丁寧に作られていて美味しく、かつ綺麗。味覚のみならず目でも楽しめた。
デザートと最後のプチフールは、いささかそれまでのお料理の繊細さからいくと、アメリカンな感じで、洗練されておらず大味な印象。
デザートはありきたりなので感動はなかったが、前菜・主菜ともに、非常に満足。
次回は、2コースでデザートなしを選択し、ほかのお店でお茶をし直すのが良いかも知れない、と友人との結論。

このお店を勧めてくれた別の友人曰く、とてもカジュアルでファミレスみたいとのことだった。
確かにテーブルクロスはなく、壁側のソファーも何となくファミレスっぽいと言われればそうだが、味だけでなく満足したのがそのサービス。
テーブル担当者は、つい我々が話し込んでいると、その会話の切れ間まで待ってメニューを聞いてくれるなどの配慮。
サブの担当者に至っては、とてもウイットに富んだ人で、「ワインは注文しないのか?」と聞かれ、我々が「今日は止めておく」と言うと、良く他のレストランなどでは残念そうな表情や少しムッとした表情をみせるウエイターが多いなか、彼は「未だお酒が飲める年齢に達してないんだね」と気持ち良くジョークを飛ばしてくれた。
コーヒーのポットはテーブルにあるので、カップに自分で注ぐことが出来るが、気づくと担当者もサブの担当者もコーヒーをかわるがわる注いでくれた。
トイレの場所に至っては、トイレの扉の前まで案内してくれる。
そして極めつけだったのは、そのサブの人に木曜と金曜だけランチタイムをやっている 「GORDON RAMSAY AT THE LONDON」 について聞いたところ、わざわざ未だ閉まっているのに中を見せてくれたこと。
我々が非常に満足している様子をみて、「今夜ディナーをしに来るかい?」とこれまたジョークをとばすので、「あなたが招待してくれたらね」と返答したが、最後までとても楽しいランチをすることが出来た。

開店して未だ一年も経っていないこのお店、えてして2年目や3年目となると味が落ちるレストランが多いが、このお店だけはそうなってほしくない。
是非、今度はその木曜と金曜にしかランチはやっていないメインダイニングに行ってみたい。