リンカーンセンターのメトロポリタン劇場で春公演を行う ABT(アメリカン・バレエ・シアター)だが、現在はメトロポリタンオペラが劇場を使用していて、ABT の3週間の秋公演はミッドタウンのシティセンターで行われる。
そのシティセンターでの秋公演のガラに行ってみた。

<前半>

★BALLO DELLA REGINA (Choreography by George Balanchine)
 Gillian Murphy, David Hallberg
 ABTでこの演目が演じられるのは初めてとのことだが、NYシティパレエでは良く踊られている演目。
 最初ホールバーグは相当緊張していたのか、硬さが目立ったように思われる。
 マーフィはそつなくこなしていたが、いつ見ても彼女は重たく見えてしまう。。。
 バレリーナにしては珍しく胸が大きめだからなのかもしれないが、実際に私服の時のマーフィは本当に細くて
 綺麗なお嬢さんだっただけに不思議な感じがする。他のバレリーナが皆、顔が小さく細過ぎるのかも知れない。
 マーフィの画像は こちら

★THE LEAVES ARE FADING (4th Pas de Deux) (Ballet by Antony Tudor)
 Michele Wiles, Alexandre Hammoudi
1
 HPよりケントとゴメス
 もともと宣伝用パンフレット表紙には、マーフィとステフィルの「CLEAR」が使われていたが(下の画像)
 今期はステフィルは(怪我のため?)全く出演者にも列記されず。
 代わってパンフレットの表紙はケントとゴメスのこの演目が使われていたが、ガラはウイルズと、驚いたことに
 プリンシパルでもソリストでもないコールドバレエ(Corps de Ballet =群舞)からの Hammoudi だった。

★CLEAR (Excerpts) (Choreography by Stanton Welch)
 Xiomara Reyes, Herman Cornejo
 Gennadi Saveliev, Jared Matthews, Craig Salstein, Alejandro Piris-Nino
1
 HPよりマーフィとステフィル
 コルネホは相変わらずとても元気なピルエットやジャンプをみせていた。
 背丈の小さいコルネホとレイズなので、丁度釣り合いが取れていた。
 春シーズンはアレッサンドラ・フェリの引退ということでレイズがもともと踊る予定だった演目がフェリに代わる
 など出番が少なかっただけに今期以降は活躍しそう。
  
★DON QUIXOTE (Act III Pas de Deux) (Choreography by Marius Petipa and Alexander Gorsky)
 Paloma Herrera, Jose Manuel Carreno
 さすがにカレーニョはベテランの風格と言ったところか。
 いつも広いメトロポリタン劇場でしかABTを観たことがなかったので、狭いシティセンターだとダンサーの
 表情が良く見える。
 ピルエット(回転)をする時のヘレーラの目をかっと見開いて口をすぼめた表情が面白かった。

<後半>

★FANCY FREE (Choreography by Jerome Robbins)
 Herman Cornejo, Sascha Radetsky, Marcelo Gomes, Stella Abrera, Julie Kent, Melissa Thomas
1 2
 ジェローム・ロビンスと言えば、映画にもなった「ウエストサイドストーリー」の演出と振り付けを担当した
 人で、バレエの振り付けもしていた。
 この「ファンシー・フリー」の振り付けは1944年4月に彼の初めての振り付けとして発表されたもので、
 自らも水兵役で舞台にも立ち、ジーン・ケリーやフランク・シナトラ出演の1949年の映画「踊る大紐育」の
 原作ともなっている。
 音楽もバーンスタインで、これぞアメリカという印象の作品だが、バレエとして観た場合には私は好きには
 なれなかった。
 ケントが回る際に彼女の足が、一度ラディツキーの太もも辺りにぶつかり一瞬ギクッとしたが平静を保って
 いる表情がみてとれた。

前半の演目「BALLO DELLA REGINA」も、後半の「FANCY FREE」も、今期のシティバレエでは他の2つの小作品と併せて「FOUR BY FOUR」として演じられる演目でもあり、いささか新鮮さに欠けた印象。
前半最後の「ドン・キホーテ」ではブラボーと声もかかり拍手喝采だったが、後半が終わって盛り下がった感じとなり、演技が終わっても一応観客からはお愛想の拍手で、再度カーテンから挨拶に出てきたから仕方なく拍手する、、、と言った雰囲気。私としてはもっと技巧を駆使したバレエを観たかったかと。

メトロポリタン劇場で行われた ABT の今春のガラ では、一番最後に前半に踊った人達もカクテルドレスに着替えて全員が舞台に上っての豪華な挨拶があったが、それがなかったのも寂しかった。

パンフレットには、プリンシパルの Maxim Beloserkovsky の顔写真があり後日の公演が予定されているが、同じくプリンシパルで夫人の Irina Dvorovenko の顔写真は載っておらず、Maximはガラに出ていなかった。

観客の中には、1914年生まれのイギリス人の元ダンサー Frederic Franklin 氏がおられたが、顔の色つやも良く、春シーズンは ロミオとジュリエット で神父の役をされていたが、未だ未だ舞台に立たれる元気はありそう。
アンヘル・コレーラのお姉さんでコルネホ夫人でもあるカルメン・コレーラが前から2列目で観ていた。彼女は春までは ABT のソリストとして シンデレラ では嫌味な義姉役を好演していたが、今期から移籍。

スポンサーなどパトロンとのパーティが公演後にあるので、6時半という早い開幕だが、6時頃から狭いシティセンターの前や中では華やかな社交場と化していた。
(背の高い後ろ姿の女性と談笑しているのは Peter Lyden氏だがどういう方か不明。右の白いロングドレスに黒の手袋姿は Rachel Mooreさんで ABT の Exective Director)
公演終了後は、表の道にはリムジンだらけ。
1 2
  カメラマンが有名人の写真を次々撮っていた           公演後のシティセンター前