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<ACT I>
TSCHAIKOVSKY Pas de Deux
振付 : George Balanchine
音楽 : Peter Ilyich Tschaikovsky
Mari Kowroski (NYシティバレエ団)
David Hallberg (アメリカンバレエシアターABT)
NYの二つのバレエ団からの二人だが、女性のマリー・コワロフスキーがいささか年齢が上だったからか、
ホールバーグがとても丁寧にリフトをしていたような気がした。コワロフスキーが連続したピルエット(回転)を
行う際、徐々に舞台向かって左にずれて行っていた。

MOORHUHN
振付 : Dmitrij Simkin
音楽 : Modest Mussorgsky
Daniil Simkin (ウイーン国立オペラ座バレエ)
ダニール・シムキンの父親であるデミトリーの振り付けによるもの。
小鳥か何か小動物を思わせる動きと音楽で非常にコミカル。最後には風船の小道具まで登場。
大きくジャンプしながら舞台を回る時、普通は見せ場としてジャンプ中に大きく開脚をするかと思うのだが、
両足ともを前方に(まるで床に足を投げ出して座っているように)するなどし、会場からは「おーっ」という
歓声と共に拍手。

GISELLE, Pas de Deux, Act II
振付 : Coralli and Perror
音楽 : Adolphe Adam
Svetlana Lunkina, Nikolai Tsiskaridze (ボリショイバレエ)
女性がとても綺麗だが、男性はやや太めな印象で重たく見え、特に印象に残らなかった。

E LUCEVAN LE STELLE
振付 : Ronald Savkovic
音楽 : Ciacomo Puccini
Tenor : Mihail Kotlyarov
Shoko Nakamura 中村祥子, Ronald Savkovic (ベルリン国立バレエ)
(今回のガラの為に作られ、ワールドプレミア公演となる)
昨年のこのバレエに来る予定をされたが結局来なかったので、ポスターなどにはその名前があったが
パンフレットには載っていなかった二人が今年は来た。
舞台向かって左手にテノール歌手が立ち、プッチーニのオペラ「トスカ」の中の「星は光ぬ」を熱唱している
のだが、この曲はパバロッティなどが歌って非常に有名な曲なだけに、どうしても歌が劣って聴こえる。
中村さんが男性に介助されながら回転する際にはとても早いスピードで回っていて、とても頑張っているかと
思うのだが、テノール歌手が生で歌っていることでどうしても観る側の気持ちが散漫になってしまった。

LE CORSAIRE, Pas de Deux
振付 : Marius Petipa
音楽 : Riccardo Drigo
Anastasia Matvienko, Denis Matvienko (レニングラード国立バレエ団(ミハイロフスキー劇場))
夫婦だが、昨年は所属として来ていたが、移籍したもよう。
男性は昨年一番大きな拍手をもらっていたが、今年もジャンプが非常に良く、会場からは二度「おーっ」と
感嘆の声があがっていた。女性もピルエットの立ち位置が一切ずれない。
最後正面から少しずれて止まってしまったのが残念だったが、非常に綺麗。

LES BOURGEOIS
振付 : Ben Van Cauwenbergh
音楽 : Jacques Brel
Daniil Simkin (ウイーン国立オペラ座バレエ)
再びシムキンの登場で、今度はフランスの音楽に合わせて給仕係の人のような衣装で登場。
コミカルな部分も多分にあり、顔の表情も豊か。たばこを小道具として使っていた。

THE LADY OF THE CAMELLIAS, Act III Pas de Deux
振付 : John Neumeier
音楽 : Frederic Chopin
Lucia Lacarra, Cyril Pierre (ミュンヘンバレエ団)
しっとりと大人のパレエ。
派手なジャンプや回転などがなくても、魅せられるというベテランの味と言ったところか。
最後に片手だけのリフトでスポットを浴びて一幕目は終幕。

<ACT II>
LA SYLPHIDE, Pas de Deux
振付 : August Bournonville
音楽 : Hermann Lovenskjold
Svetlana Lunkina (ボリショイバレエ団) 
David Makhateli (英国ロイヤルバレエ団)
プログラムにはパリオペラ座の Myriam Ould-Brahm となっていたが彼女は来ていなかった。
男性は最初にその場で二回転する際の着地のみならず足のポジションもずれていた。

RADIO & JULIET
振付 : Edward Clug
音楽 : Radiohead
Anastasia Matvienko, Denis Matvienko (レニングラード国立バレエ団(ミハイロフスキー劇場))
昨年もあった演目。
終了してから偶然話したおばあさん曰く「ロミオとジュリエット」だと思ったのに全然違ったわ!とのこと。

TRANSPARENTE
振付 : Ronald Savkovic
音楽 : Fado Portugues
Shoko Nakamura 中村祥子, Ronald Savkovic (ベルリン国立バレエ)
赤いロングドレスを上手にさばきながら踊っていた。男性のサスペンダーがはずれながらも好演。

THAIS, Pas de Deux
振付 : Roland Petit
音楽 : Jules Massenet
Lucia Lacarra, Cyril Pierre (ミュンヘンバレエ団)
とにかく情感たっぷり。短い間に一つのドラマを見せられたよう。
このバレエやオペラを観たことがないのでストーリーは知らないのだが、このパ・ドゥ・ドゥーを観るだけでも
引き込まれる。
まず黒い喪服のように黒いドレスに黒いレースを頭から被った状態から、レースを取り、恋人二人が激しく
踊るが女性が結核か何かで病魔に苛まれており、死の床にあって最後に黒いドレスを脱いでシースルーの
下着のようななまめかしい服装で男性と結ばれ、そして死んで行くという感じだった。
終わるや否や、会場からは感嘆のため息の後にブラボー。

LA ROSE MALADE
振付 : Roland Petit
音楽 : Gustav Mahler
Svetlana Lunkina, Nikolai Tsiskaridze (ボリショイバレエ)
マーラーの音楽に合わせて情感たっぷりなのだが、演じられる順番が気の毒だったかとも思うのだが、
この演目の前と似た構成だったので、どうしても比較されてしまうかと。
続けてやるには非常にもったいなかったかも。
この演目だけカーテンコールがなかった。やはり拍手が前の演目に比べ少なかったからか。

DON QUIXOTE, Pas de Deux
振付 : Marius Petipa
音楽 : Ludwig Minkus
Roberta Marquez (英国ロイヤルバレエ団)
Daniil Simkin (ウイーン国立オペラ座バレエ)
小柄で女性のような愛くるしい顔のシムキン、他の人達は1演目や2演目どまりなのに対し、彼だけは3回目の
登場となる。一方相手役のロイヤルバレエのマルケスはこの演目だけ。
果たして少年のようなシムキンが女性をリフト出来るのだろうかと思いきや、さらっとあげてしかもシングル
ハンド。あまりにさらりとこなしたので、観客は彼が手一本で上げているとわからない人も多かったと見えて
拍手が少なめだった為、二回目のリフトでは二本目の手を少し遅めに下ろしてみせ、会場からは割れんばかり
の拍手。
シムキンは、大きくジャンプして開脚して見せる際にその足をスイッチするなどの技も披露。女性の回転も
非常に綺麗だったが、観客はシムキンの一挙手一投足にくぎ付け状態。

DEFILE
振付 : Nadia Veselova - Tencer
Tous le Danseurs
出演したダンサー全員によるフィナーレでジャンプしたり回ったりと華やか。
シムキンが登場した際には、再び大きくジャンプして開脚する技を3度みせてくれ、観客は大喜び。
その後に、昨年は一番大きな拍手をもらって一番人気だったレニングラードのマトビエンコが、わざわざ
二幕目の現代風の衣装から一幕目の LE CORSAIRE の衣装に着替えなおし、力強く正確に素晴らしいピルエット
をこなしていた。勿論素晴らしく拍手も大きかったが、もうそのピルエットは目新しさがないせいか、
シムキンの素晴らしさに酔ってしまったせいか、観客は少々トーンダウン。

最後にそれぞれのダンサーが拍手をもらう際には、やはりシムキンが一番。
二幕目最初に登場した英国ロイヤルバレエのデビッド・マカテリはフィナーレにもカーテンコールにも登場せず。相手役の女性がほかの男性とのパートナーを組んでいたため、出て来なかったのかとも思うが、昨年は一人で踊る男性二人も登場してカーテンコールに出ていただけに、あまり良い出来でなかったことがそうさせてしまったのかどうなのか。

昨年もそうだったが、本来の出演者のうち出演していない人がいる為、パンフレットに載っている演目が前後したり一幕目と二幕目で入れ違っていたり。観客も次に何が演じられるかがわからず、暗転の時に手元で明かりをつけてパンフレットを確かめる人がいたり、パンフレットの掲載順と異なるとブツブツ文句を言っている人など。突然内容が変わることがあると但し書きにはあったが、せめて差し込みでも良いので何かインフォメーションが欲しかったかと。

家路でバスを待っている間、隣で並んでいたおばあさんが興奮ぎみに話しかけて来て、相当なバレエファンのようだったが、「シムキンには頭に羽が生えているように軽く飛んでいるわね、まるで80ポンドぐらい(40キロ弱)しかないかと思える」と褒めていた。いくらなんでも80ポンドは褒めすぎだが。。。