アイルランド移民の血をひく人達ゆかりのセントパトリックデーの今日、恒例のパレードが5番街で行われた。

昨年の記事にも明記したが、再度思い出す為に：
セントパトリックデーとは wikipediaより
アイルランドにキリスト教を広めた聖人聖パトリック（387年？～461年　イギリス・ウエールズ生まれ）の命日である3月17日。 カトリックにおける祭日であり、アイルランドの祝祭日。
シャムロック（クローバー、アイルランドの国花）を服につけたり、緑色の物を身につけて祝う日で、「緑の日」とも呼ばれる。 アイルランド系やカトリック教徒以外の者も参加することが多い。
北米のニューヨークやボストン、豪州の各都市など、アイルランド系移民の多い地域・都市で盛大に祝われる。 本土アイルランドでは何世紀も前からこの日を祝う伝統が受け継がれてきたが正式に1903年より祝日となり、イギリスから独立後徐々に祝祭日として成長した。 現在見られるようなパトリックスデイの巨大パレードが始められたのは実はアイルランドではなく、アイルランド系移民も多いアメリカ合衆国。イギリスの軍隊の元に兵役に従事していたアイリッシュの兵隊が1762年の3月17日にニューヨークの町を行進したのが始まり。 1996年にアイルランド本国でも政府が主体となって5日間の盛大なフェスティバルを行われて以来、例年、パレードやその他の行事が行われるようになった。

今年は17日があいにく月曜になったが、土曜からアイリッシュ系パブではすでに大騒ぎをしている若者を見かけるほど盛り上がっており、この週末はセントパトリックウイークエンドとニュースでも伝えていた。
お菓子屋さんでは前からシンボルカラーの緑とオレンジをベースにしたケーキやクッキーなどがお目見え。

オランダ系やイギリス系の人達より遅くに新大陸にやって来たアイルランド人は相対的に貧しかったこともあり、先に入植していたオランダ系やイギリス系の人達から差別をされていた。その為、アイルランド系の人達が最初にエリス島で移民申請をする際に、あえてアイルランド人とすぐわかる名前であるマック Mc （例えばマクドナルド McDonald、マクミラン、マクファーレン、マッカーサーなど）を取って姓を変えて登録した人も多かったとアイルランド系移民の玄孫のアメリカ人の知人が教えてくれた。

一部は低所得者層でもあり、現在ではブロンクスの北の地域などにアイリッシュのコミュニティがあり、アイリッシュ新聞なども売られていたりする。
ブロンクスのアイリッシュ系の人達の家には旗が飾ってあった。

アイルランド系の人達は入植がオランダ系やイギリス系の人達よりも遅れたということで、彼らのつかなかった危険な職業等につくこととなり、消防士や警察官が多く、現在では彼らの誇りの職業としてＮＹ市では親から子へと引き継がれているケースが多い。
一昨年まではパレードの花形として、最初にＮＹＰＤ（ＮＹ警察）やＦＤＮＹ（ＮＹ消防局）が先頭を切っていたが、一昨年すでに酔っ払った消防士らがパレードを遅延させたことへのペナルティとして、昨年はＦＤＮＹはパレードの先頭を飾れず、今年も。
セントパトリックデーを祝うのはやはりアイルランド系が多い東海岸となるので、わざわざこのパレードを観に来る人も多く、土曜にクレーン倒壊で被害にあったうちの一人もわざわざフロリダから観に来て惨事に遭い亡くなったとのこと。
沿道の人達も緑を身に付け声援を送っている。

しかし沿道の一角で、このパレード反対者もいた。
自分達もアイルランド系だがそれは先祖がそうというだけで自分はアメリカ人であり、何故アイルランド系と言って孤立する必要があるのか？という意味で「BIGOTRY（＝頑固な信仰、偏屈）」という看板を持っていたり、キリスト教信仰者の中には同性愛者を認めないという意味で「HOMOPHOBIA IS NOT IRISH（＝同性愛者はアイルランド人ではない」という看板を持っていたり、警察や消防のような公務員は、市民全員の為のパレードでない物に参加すべきでないと看板を持っていたり。
色々な考え方の人達が居て、それを平和的に意志表明するという意味では、とてもアメリカらしいなと。

確かに、セントパトリックデーでは皆非常に良く飲む。アメリカ人の知人に聞いたところでは、同じパレードであってもサンクス・ギビングはファミリーの行事だが、このセント・パトリック・デーは若者が騒いで飲む口実とする行事になっているとのこと。
平日の昼間ではあるが、アイリッシュ系パブの前には、入りきれずに列を作って入店を待つ若者や、すでに入店してお酒を飲んでいるが煙草を吸いに外に出て来た人達など、歩道からあふれていた。

そして、やはり今夜のエンパイヤステートビルの色は緑一色。
（後記　通常夜中の12時まで点灯されているエンパイアだが、何故かこの緑一色は一晩中点灯していた）

後記（3月19日）　詳しいアメリカ人に確認してみたことの備忘録として

厳密には、Mac とついた姓でも、アイルランド系とスコットランド系がある。
O'Riley や O'Conner などの O' から始まる姓はアイルランド系とのこと。

何故Ｊ．Ｆ．ケネディ大統領だけがアイルランド系で大統領になり、それ以外の歴代大統領はＷＡＳＰ（ホワイト・アングロ・サクソン・プロテスタント）なのか？という私の質問に対して：
彼の父親はアイルランド出身で事業に成功して裕福であり、政界や財界にもパイプを持ち、長男を大統領にしようと考えていたが亡くなった為に次男であるジョンを後押しした。当時は、アイリッシュだから大統領になれないという考え方はなく、歴代大統領は皆プロテスタントなのに対し、アイルランド人はカトリックなのでカトリック教徒が大統領になれるかどうかが争点となったが、政教分離をＪ．Ｆ．ケネディはうったえたので（今のブッシュ政権とは大きくその点で異なるが・・・）無事大統領になることが出来た。

今では、全くアイルランド系だからと言うことでの差別意識は存在しない。

アイリッシュコミュニティとしてアイルランド人街はもうあまり存在しておらず、ミックスとなっているが、ロングアイランドなどにアイルランド系の人達が多い。