NYフィルは不定期ではあるが、午前中にオープンリハーサルをやっていて、何人かの友人が勧めてくれ、今回はピアニストのランラン LANG LANG が出るということもあって行ってみた。
水・木・金・土曜に4回行われる演目の水曜の朝のリハーサルを一般に公開するもので(チケット一律16ドル)今回の演目は前半がランランのピアノコンチェルト、後半がストラヴィンスキーの火の鳥となっているが、リハーサルは順番を変えて行われた。

指揮: Leonard Slatkin
前半 Stravinsky L'Oiseau de feu (The Firebird, coplete)
後半 Tan Dun Piano Concerto (2008 World Premiere)

9時45分から始まるとのことだが、実際には10時から始まった。
指揮者はデトロイトシンフォニーオーケストラの音楽監督になるアメリカ人の Leonard Slatkin氏で、最初に曲の順番を観客に説明。
そして、「火の鳥」の楽譜の小節番号を順次挙げて、注意する部分をオーケストラに言いつつその部分ごとに練習すること25分。
その後に、修正した「火の鳥」を中断なく演奏してくれ、これはなかなかの迫力。
指揮者からの注意があるごとに、オーケストラの人達がいそいでペンを取っては楽譜に記入し、指揮者の声が届かない後方の人には前方のオケのメンバーが伝言ゲームのように伝えるなど、普段のコンサートでは見られない様子が見られて面白かった。
トランペット演奏が途中であるのだが、トランペッターは3階客席から演奏していて、指揮者もそちらとコンタクトをとりながらで、それも面白かった。

次期の音楽監督になるアラン・ギルバート氏のお母さんである建部洋子さんもNYフィルのメンバーなので、リハーサルに参加しておられた(左のショートカットのご夫人)。アラン・ギルバート氏のコンサートの様子は こちら
今回のコンサートマスターは未だ若い女性の Lisa Kim さん(Associate Principal, Second Violin Group) が務め、指揮者に確認するなどしていた(右の黒髪の女性)。
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インターミッションの後にランランのピアノコンチェルト。
このコンチェルトは、中国人作曲家で昨年はメトロポリタンオペラでの「ファーストエンペラー」を作曲したことでも有名なタン・ダン Tan Dun 氏によるもので、今回が世界での初演となる。
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最初に2~3箇所指揮者よりポイントを挙げた部分練習後に、通し演奏。
タン・ダン氏は客席前方で聴いていて、ランランはタン・ダン氏の方を向いてピアノの音量についてしぐさで確認をとっていた。
演奏後、色々と指揮者にタン・ダン氏が注文をし、ランランもタン・ダン氏に確認していた。指揮者の手前もあってタン・ダン氏も遠慮してすぐ舞台袖に移動しかけたが、指揮者ももっと注意点を聞くべくタン・ダン氏を呼び戻し会場からは笑いが。結局、お互い確認しつつの部分演奏が30分程度続いたが、作曲家、指揮者、ソリスト、オーケストラと4者による確認は大変そうだと見て取れた。
タン・ダン氏はオペラの時には自らが指揮をしていたので、今回も彼がやってくれればより彼の思った通りの音作りが出来たのであろうが、第三者の指揮者が居ることで、船頭多くして船山に登りかねない印象が。
言い換えれば、作曲家が未だ存命中の指揮者は大変だということか。

4日間行われたコンサートの最終日の様子は こちら