今期のメトロポリタンオペラのシーズンも残すところ3週間足らずとなっているが、終盤を盛り上げる新作。
メト以外にウイーンとロンドンとの共同プロダクションとして一足先にロンドンで演じられた物で、今回はそのロンドンはロイヤルオペラハウスでの収録のDVDを観てからのメトを観ることとなった。
by Gaetano Donizetti
指揮:Marco Armiliato
メト以外にウイーンとロンドンとの共同プロダクションとして一足先にロンドンで演じられた物で、今回はそのロンドンはロイヤルオペラハウスでの収録のDVDを観てからのメトを観ることとなった。
by Gaetano Donizetti
指揮:Marco Armiliato
ホルテンシウス、伯爵夫人の付き人(バス) Hortensius : Donald Maxwell
ベルケンフィールド侯爵夫人(メゾソプラノ)The Marquise of Berkenfield : Felicity Palmer
A Townsman : David Frye
シュルピス、軍曹(バリトン)Sulpice, a sergeant : Alessandro Corbelli
マリー、連隊で働く孤児(ソプラノ)Marie : Natalie Dessay
トニオ、スイスの若者(テノール)Tonio : Juan Diego Florez
A corporal : Roger Andrews
クラケンソープ后妃 The Duchess of Krakenthorp : Marian Seldes
Notary : Jack Wetherall
ベルケンフィールド侯爵夫人(メゾソプラノ)The Marquise of Berkenfield : Felicity Palmer
A Townsman : David Frye
シュルピス、軍曹(バリトン)Sulpice, a sergeant : Alessandro Corbelli
マリー、連隊で働く孤児(ソプラノ)Marie : Natalie Dessay
トニオ、スイスの若者(テノール)Tonio : Juan Diego Florez
A corporal : Roger Andrews
クラケンソープ后妃 The Duchess of Krakenthorp : Marian Seldes
Notary : Jack Wetherall
語彙が少ないのが悔やまれるぐらい、とにかく凄くて面白いの言葉に尽きた。
一幕目の最初では、ややナタリー・デッセイの高音がいまひとつ伸びに欠くというか元気がないように感じた。
しかし徐々にエンジンがかかってきて、"Chacun le sait, chacun le dit"の最後に兵隊達を前に観客を背中にして両手を広げたポーズをとるところでは拍手喝采。観客には背中を向けているが、その拍手に応える為に礼をする時のように片足のつま先をつくポーズを。これまた観客が拍手をして、彼女は再度、背中を向けながらも観客に礼のポーズをし、観客は大喜び。
しかし徐々にエンジンがかかってきて、"Chacun le sait, chacun le dit"の最後に兵隊達を前に観客を背中にして両手を広げたポーズをとるところでは拍手喝采。観客には背中を向けているが、その拍手に応える為に礼をする時のように片足のつま先をつくポーズを。これまた観客が拍手をして、彼女は再度、背中を向けながらも観客に礼のポーズをし、観客は大喜び。
今日の注目は、一幕目終盤のフアン・ディエゴ・フローレスの有名なハイC9連発の "Ha! mes amis, queljour de fetel" メザミで、アンコールをしてくれるかどうか。
何でも、この曲は超絶のハイCを9回出す歌で、観客次第だがアンコールというアプローチがあるとのこと。
ミラノスカラ座では何故だかそのアンコールをしないと言う風潮があり、フローレスがイタリアでアンコールをしてその禁を破ったとのこと。
そして、今回メトでのプレミアではアンコールに応え、再度そのハイCを含む部分を歌って拍手喝采をさらい、それは話題になった。
二回目の公演時は、世界中に映像を配信する収録取りの日でもあり、完璧をほこった歌だったそうだがアンコールはなし。
そして今夜、3回目の公演でラジオ放送はあるが、アンコールがあるかどうかが注目されていた。
フローレスのその歌の前ともなると、観客は誰一人として咳もクシャミもなく、今か今かとそのハイCを待っている。フローレスの9連発を無事こなした後の拍手たるや物凄く、しばし彼はそのままの体勢を保っていたが、観客に礼をするも再度拍手がうねった大きな拍手となりまた礼をする。それでも拍手は鳴りやまず、指揮者とアイコンタクトをしてアンコールの運びとなった時の観客の盛り上がりようは尋常ではないぐらい。
逆に観客の方が興奮して、彼のアンコールの歌唱を静かに聴く精神状態にないような印象だった。アンコールが終わると、いきなりのスタンディングオベーションでまたまた拍手喝采。
ペルー人であるフローレスの母国語はスペイン語なので、「ブラボー」という声以外にも、「Gracias !!!」という声もかかっていた。
ここまで観客を熱狂させた歌手は凄い。
何でも、この曲は超絶のハイCを9回出す歌で、観客次第だがアンコールというアプローチがあるとのこと。
ミラノスカラ座では何故だかそのアンコールをしないと言う風潮があり、フローレスがイタリアでアンコールをしてその禁を破ったとのこと。
そして、今回メトでのプレミアではアンコールに応え、再度そのハイCを含む部分を歌って拍手喝采をさらい、それは話題になった。
二回目の公演時は、世界中に映像を配信する収録取りの日でもあり、完璧をほこった歌だったそうだがアンコールはなし。
そして今夜、3回目の公演でラジオ放送はあるが、アンコールがあるかどうかが注目されていた。
逆に観客の方が興奮して、彼のアンコールの歌唱を静かに聴く精神状態にないような印象だった。アンコールが終わると、いきなりのスタンディングオベーションでまたまた拍手喝采。
ペルー人であるフローレスの母国語はスペイン語なので、「ブラボー」という声以外にも、「Gracias !!!」という声もかかっていた。
ここまで観客を熱狂させた歌手は凄い。
このアンコールがデッセイにもより一層の火をつけたのか、それ以降は声の伸びも一段と良くなったよう。
二幕目ともなると、観客もすっかり乗ってきていて、とにかくデッセイやフローレスの歌が終わる度に拍手をしたくてたまらない。
デッセイが "Pour ce contrat fatal-Salut a la France" を歌って、最後に兵隊達に身体を横にした状態で抱えあげられ、素晴らしい高音を披露した後などは、兵隊達の輪の中で観客席からは彼女が見えない状態でもしばし拍手が鳴りやまず、思わず彼女は右手を挙げて人差し指を左右に振って、観客を静止しようとするしぐさが。それを見た観客は大喜び。その兵隊達を割って手前に元気よく飛び出してセリフを言うシーンがその後に続くのだが、セリフを言おうとしても未だ拍手。一度観客に礼をしてから、「ちょっと待ってね」というようなしぐさの後、再び兵隊達の輪に戻りやり直し。しかし未だ観客の拍手は止まらない。デッセイが再度出てきたが拍手は続き、また彼女は礼をして兵隊達の輪にひっこむ。3回目はさすがに観客も彼女のお芝居を中断させているので拍手をやめたが、観客は彼女のアンコールが見たかったのではないか?と思わせる勢いだった。
二幕目ともなると、観客もすっかり乗ってきていて、とにかくデッセイやフローレスの歌が終わる度に拍手をしたくてたまらない。
デッセイ、フローレス、そしてアレッサンドロ・コルベリ扮するシュルピスとの3重唱 "Tous les trois reunis" では、ただ歌が切れただけで曲の途中なのだが拍手が起こりかけ、デッセイが「未だよ!」と示す為に右手の人指し指を振って示して観客を制御。しかしまた一瞬歌が切れたところで拍手が起こりかけ再び「未だよ!」のしぐさがあり、これまた観客は制御されつつ、終わると大喜びの拍手。
最後に結婚を祝う客人達がベルケンフィールド邸にやってくるシーンでは、客人皆が高齢者に扮していてヨレヨレヨボヨボ。観客からはクスクスという笑いではなく、爆笑。隣のおじさまに至っては、笑いのツボに入ってしまったのか、引きつり笑いのような声をあげてる始末だが、どうもこの年寄りギャク?のツボは私には良くわからなかった。
ロイヤルオペラの時と配役はほとんど同じでクラケンソープ后妃役だけはオペラ歌手ではなく、女優が演じる役なので、NY版はマリアン・セルデスとなった。もともとシーズン初めにはゾイ・コールドウェル Zoe Caldwell の予定であったが、結局全てをマリアン・セルデス Marian Seldes が演じることなった。
ロンドン版では、登場する際に傘をさしていたが、それは絶えずお天気の悪いロンドンを揶揄しているのだろうか。
マリアン・セルデスはトニー賞も受賞し、人気ドラマ「SEX AND CITY」にも登場していたそうだが、声はおじさんのように低くてあまり通らず、ロンドン版のドーン・フレンチ Dawn French の方がよりコミカルで断然良いかも。
ロンドン版では、登場する際に傘をさしていたが、それは絶えずお天気の悪いロンドンを揶揄しているのだろうか。
マリアン・セルデスはトニー賞も受賞し、人気ドラマ「SEX AND CITY」にも登場していたそうだが、声はおじさんのように低くてあまり通らず、ロンドン版のドーン・フレンチ Dawn French の方がよりコミカルで断然良いかも。
動きなどはロンドン版とほとんど同じだが、デッセイ扮するナタリーがブツブツと言いながらじゃがいも剥きをしようとしていてフローレスがやってくるシーンでは、ロンドン版はすでにじゃがいもを剥いているところへ彼が登場。一方メトでは、デッセイはじゃがいもを頬にあてたままぼんやりしていて、よりフローレス扮するトニオへの思いにふけっているような印象を受けた。
また、ロイヤルオペラでも何箇所か本来はフランス語のセリフの部分を英語でやって受けていたが、より多く英語が使われていてこれまた観客は大喜び。
また、ロイヤルオペラでも何箇所か本来はフランス語のセリフの部分を英語でやって受けていたが、より多く英語が使われていてこれまた観客は大喜び。
本来ドニゼッティの時代の脚本にはない筋書きとして、2幕目のフローレス扮するトニオがベルケンフィールド侯爵夫人の秘密を暴かれたくなかったらマリーとの仲を認めろと脅す場面があるのだが、何人かの観客がその会話を聞いて「おお!」と声を発してザワザワとどよめきがあり、本来の筋と違うことに驚いていた。それだけこのオペラを良く知っている人が多いということの証のようで観客の面白い反応だった。
先週、二人を間近に見る機会を得たが、このようなエネルギーを内に秘めているとは思えないような本当に小さく痩身な二人だった。
観客に二人の歌が終わる度に拍手をしたい気持ちにさせ、その度に指揮者も指揮棒で反対の手を打ちつつ拍手をしているのはあまり目にしないような気がする。
カーテンコールでは、指揮棒を持ったデッセイが、床にひれ伏して指揮者を迎えていた。
観客に二人の歌が終わる度に拍手をしたい気持ちにさせ、その度に指揮者も指揮棒で反対の手を打ちつつ拍手をしているのはあまり目にしないような気がする。
カーテンコールでは、指揮棒を持ったデッセイが、床にひれ伏して指揮者を迎えていた。
拍手が歌手達のタイミングを狂わすこともあるのかも知れないが、今日の公演に関しては、拍手はどんどん歌手達をのせ、その歌手達の素晴らしい歌唱や演技に観客がどんどん乗せられていくという状況を見たようで、観客席と舞台が一体になったように、舞台は生き物で観客も歌手にとっては必要不可欠の存在であることを実感した。
今日の公演は早々に完売。当日に発売される立見席も朝一番に完売。開演2時間前に売り出される先着150枚のラッシュチケット(今日は5時半売り出し)に対して、3時間半前に列に並びにきた人でもすでにチケットにありつけないという状況で、今までで一番すごい人気かと。
今日の公演は早々に完売。当日に発売される立見席も朝一番に完売。開演2時間前に売り出される先着150枚のラッシュチケット(今日は5時半売り出し)に対して、3時間半前に列に並びにきた人でもすでにチケットにありつけないという状況で、今までで一番すごい人気かと。
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