今日、建築労働者による抗議活動に偶然出くわした。
良くあるのは、告発したい建築会社や建築現場の前に大きなネズミの像を置くなどし、道行く人に抗議のビラを配ったりするのが常である。抗議ネズミの様子は こちら
ところが、今日見かけたのは、5番街とブロードウェイが交差する25丁目辺りの小さな広場のような場所から勢い余って、5番街とブロードウェイの道路上にも出て交通を止めての大声のシュプレヒコールや笛を使っての抗議だった。通行しようとする車のクラクションと彼らの抗議の笛の音とで騒々しく、警察も道にはみ出た抗議者をもとの場所に戻るよう整理していた。
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彼らが抗議していたのは、アフリカでのダイアモンド売買で財をなしたイスラエル生まれのユダヤ人の Yitzchak Tessler というビジネスマンに対してで、現在NYの不動産を手広く扱っている人のよう。
彼は、ちょうど抗議していた場所に面したビルを昨年購入し、コンドミニアムなどの施設に改装しようとしているもの。抗議プラカードには「Stop Workers Explotation 労働者からの搾取を止めろ」とあるので、賃金などの面で組合と揉めているのかも知れない。

まるでマンハッタン全体が建築現場のようにビルの建設ラッシュが続いていたが、ここ2週間は、リーマンショックなどが端を発してバブルがとうとうはじけた?はじけかけている?NY。リーマンの後、AIG、ワシントンミューチュアル銀行、ワコビア銀行などの件や公的資金導入の是非が現在上院・下院で意見の相違を見るなど、日ごとに目まぐるしくブレーキングニュース(臨時ニュース)がテレビで報道されているので、果たして今後、建設中のビルは完成することが出来るのか、いささか疑問。

アメリカ人の知人に聞いた話では、こういう建設労働者には2種類あるとのこと。組合に所属し一定賃金を得るアメリカ人労働者や合法的な移民による建設労働者と、不法移民による建設労働者。不法移民の建設労働者は組合などは持てない為に非常に賃金が安い。
大きなビルなどの建設では、勿論合法的な労働者を使うので、得てして組合闘争になることもあるとのこと。
その知人は、家の裏庭の整備をするにあたり、コストを抑えるよう斡旋業者に注文したところ、後者の労働者たちを雇うことになったとか。するとやって来たのは、ジャマイカ訛りの英語を話すジャマイカ人と、辛うじて英語を少し話すパキスタン人と、英語が全くわからないメキシコ人だったとか。
彼らは、お互いのコミュニケーションもままならない状態だったらしく、天上の神様の所までたどり着くために「バベルの塔」をどんどん高く建てていたが、そのめざましい塔の建設ぶりを心配した神様が作業をしている人間の言葉を変えることでコミュニケーションを取れなくして塔の建設を失敗させた、という逸話にならないようにね、と言って笑っていたものだが、英語が通じあったら通じあったで、抗議活動をされてしまうということもあるようだ。