今年6回目のNY市内のオープンハウスは、NY市の5つの区にある、約350種類ものさまざまな建物や場所が10月4日、5日の2日間に無料で公開される。4日の朝にまずMOMAに行ったが、午後からはグッゲンハイム美術館に行った。(MOMAの様子は こちら
DSC_3709

DSC_3704

DSC_3655
現在、グッゲンハイム美術館は一部で展示はしているものの、非常に大がかりな改装工事中。なんと、今回はその工事中の部分など普段は一般観光客が入れない場所を、その改装工事の過程などの説明と共に観ることが出来た。
参加は無料ではあるがあらかじめ登録が必要で、登録した20数名に対して、美術館側の改装工事責任者の人、実際の現場責任者の人、キュレーターの3人がツアーを引率してくれ、改装工事前の壁や内部の劣化部分などを撮影した資料写真まで配ってくれ説明してくれた。それらの画像を見てビックリ。1959年に有名建築家であるフランク・ロイド・ライト氏が建てた時から比べると、劣化が進み、近年は半年で1インチ(約2.54センチ)もひずんだり裂けて来たりしている様子がわかった。

まずは関係者が使う大きなエレベーターで最上階へ。大きなオブジェなどを搬入する際は、大型エレベーターでも入りきらないので、窓から入れるとのこと。
有名な全長400メートルの螺旋式回廊部分は、現在最上段の側壁の修理を残すのみとなっていた。スカイドーム以外は、窓もガラスもメタル部分も水漏れを起こすなどしていたので、やり変えたとのこと。円を描く壁のジョイントは、日本製の橋などをつなぐものだそう。
DSC_3673

DSC_3666-001

最上階の外からの光を取り入れる部分は未だ作業の途中。
DSC_3675

テラス部分へ。ほとんど修復されているが、テラスへの出入り口付近の側壁だけは未修理状態で、以前の外壁の色や様子と修復後が良くわかる。責任者の方曰く、実は外壁の色は今回、フランク・ロイド・ライト氏が選んだ色ではない色にしたと。ライト氏がこの美術館を建てた時代と今とでは周りに建つビルが増えて色も変わるなどした為、より周りの環境に合いランドマーク的な役割を果たす色ということで、多くのキュレーターなどスタッフ達の投票で、ブルーイッシュグレイ、ブルーホワイト、薄いピンクなど多数の中から、ライト氏が選択した色よりもやや明るめの色に決定したとのこと。
DSC_3682

関係者以外立ち入り禁止の廊下や階段を上がってドームの上へ。美術品の内容によって、このドームから取り入れる光の量を調節している。
DSC_3677

DSC_3691

そこからの眺めは本当に良い。スカイドームと小さなスカイライト部分以外は昔のまま。
セントラルパークごしにミッドタウンやメトロポリタン美術館(左の画像)
DSC_3688

セントラルパークの貯水池ごしにはアッパーウエストが臨める。
DSC_3689

2重窓にしてはいても、冬場の外の気温が非常に低くなる時期には、どうしても窓枠やガラスの劣化と共に結露が発生して美術品には不適切な湿度になってしまうので、北側のテラスのガラスなども全てやりかえた。
DSC_3706

DSC_3696

長かった工事も10月24日には終了し、本来の展示形態に戻る。キュレーターの女性曰く、これだけ大がかりな工事をしつつ閉館せずに公開し続けたのは大変だった、自分達のオフィスはタワーにあるが、ドリルの音などがあまりに酷く、皆、耳栓をして仕事をしてたのよ、と。
改装工事にかかった費用は約2900万ドル(約30億5千万円)で入場料や寄付などから賄ったとのこと。
グッゲンハイムもMOMA同様、無料の入場券を配布してくれたので、ツアーが終わってからは、ほかの展示物をゆっくり観て回ることが出来た。
現在は Cahterine Opie というアメリカ人の女性の写真展が大々的に行われていたが、セルフポートレートもそうだが、タトゥーをした人達ばかりのポートレイト等で迫力があった。

また、綺麗にお色直しをしたグッゲンハイムを観に来るのも楽しみだ。