今期の新作のひとつであるこの演目のオープンドレスリハーサルに行ってみた。
メトの総支配人が一昨年からピーター・ゲルブ氏に変わり、一昨年は 蝶々夫人 でのオープンハウス、昨年は「ランメルモールのルチア」でのオープンハウスと、いずれも開幕演目をオープンリハーサルとして一般に公開していたが、今年はパバロッティ追悼記念コンサートが無料でシーズン前に行われたこともあってか、今回のドレスリハーサルは大統領選挙の当日に行った。
最初に登場したゲルブ氏も言っていたが、経済破綻のアメリカに於いて多額の寄付をし続けてくれている人達のお陰による。ただし、2年連続観客全員に無料で配られたサンドイッチや飲み物はさすがに今年はなかった。
メトの総支配人が一昨年からピーター・ゲルブ氏に変わり、一昨年は 蝶々夫人 でのオープンハウス、昨年は「ランメルモールのルチア」でのオープンハウスと、いずれも開幕演目をオープンリハーサルとして一般に公開していたが、今年はパバロッティ追悼記念コンサートが無料でシーズン前に行われたこともあってか、今回のドレスリハーサルは大統領選挙の当日に行った。
最初に登場したゲルブ氏も言っていたが、経済破綻のアメリカに於いて多額の寄付をし続けてくれている人達のお陰による。ただし、2年連続観客全員に無料で配られたサンドイッチや飲み物はさすがに今年はなかった。
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by Hector Berlioz
指揮:James Levine
Faust : Marcello Giordani
Mephistopheles : John Relyea
Brander : Patrick Carfizzi
Marguerite : Susan Graham
とにかく斬新。
一昨年、新演出の「蝶々夫人」を観て、前年に作られたプロダクションの 魔笛 もそうだが、横にスライドする動きや、ライオン・キングを彷彿とさせる棒の先の動物などの動きがあり、何か似ているなぁと思ったものだが、今年は、ドクター・アトミック しかり、3階建てで平面的なものが最近のお好みなのかなと感じてしまった(勿論、それぞれデザイナーが異なるが)。
一昨年、新演出の「蝶々夫人」を観て、前年に作られたプロダクションの 魔笛 もそうだが、横にスライドする動きや、ライオン・キングを彷彿とさせる棒の先の動物などの動きがあり、何か似ているなぁと思ったものだが、今年は、ドクター・アトミック しかり、3階建てで平面的なものが最近のお好みなのかなと感じてしまった(勿論、それぞれデザイナーが異なるが)。
2幕で、ファウストが教会の讃美歌が聞こえてきて再び生きる力を得るシーンでは、中央の柱部分が十字架を表すようにライトアップされ、いきなり十字架にかけられたイエス・キリストに扮した男性がその柱にはり付く。最後には5名もの男性がキリストに扮して柱に登場する時には、会場からは驚きのような失笑のような反応。果たして5名ものキリストを登場させる必要があったのかどうか。
教会のステンドグラスを表現して万華鏡のように変わる窓が非常に綺麗だった。
教会のステンドグラスを表現して万華鏡のように変わる窓が非常に綺麗だった。
小舟でメフィストフェレスとこぎ出したファウスト扮するジョルダーニが水中に落ちるシーンをポスターなどにしているが、上演時は映像となる。
3幕のマルグリート扮するスーザン・グラハムがアリアを歌う際、実際の彼女の後ろに、現在歌っている彼女の大きな姿があたかも炎に包まれているように投影される。なかなか映像を駆使しているが、つい彼女の歌ではなくその投影された映像に気が散ってしまうかも。
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3幕のマルグリート扮するスーザン・グラハムがアリアを歌う際、実際の彼女の後ろに、現在歌っている彼女の大きな姿があたかも炎に包まれているように投影される。なかなか映像を駆使しているが、つい彼女の歌ではなくその投影された映像に気が散ってしまうかも。
4幕のメフィストフェレスとファウストの「地獄への騎行」では、ジョルダーニが馬にまたがる姿が今期のメトの通年のパンフレットの表紙を飾っているが、実際の舞台ではファウストもメフィストフェレスも何人かが等身大の何頭もの馬にまたがる影絵となっていた。
混沌とした地獄絵図を表現するにあたっては、真正面に空から見たアングルの青青とした草村を映し出し、天上からワイヤーで吊られた状態でフランス兵に扮したアクロバットの男性達が垂直にその映し出された草村を歩いて行き、死んでは真っ逆さまに落ちて来て女性達に抱えられ、彼女達はその死を悼む。と思いきや、またその男性達が起き上がっては同じように垂直に天上付近まで登って行っては死んで落ちて来る。なかなか凄い演出で、目を奪われるが、歌が終わるまで続くので、いささかしつこく感じてしまった。
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混沌とした地獄絵図を表現するにあたっては、真正面に空から見たアングルの青青とした草村を映し出し、天上からワイヤーで吊られた状態でフランス兵に扮したアクロバットの男性達が垂直にその映し出された草村を歩いて行き、死んでは真っ逆さまに落ちて来て女性達に抱えられ、彼女達はその死を悼む。と思いきや、またその男性達が起き上がっては同じように垂直に天上付近まで登って行っては死んで落ちて来る。なかなか凄い演出で、目を奪われるが、歌が終わるまで続くので、いささかしつこく感じてしまった。
一幕冒頭にファウスト扮するジョルダーニが天井から梯子を伝って降りて来るのと対照的に、マルグリート扮するスーザン・グラハムが梯子を登って天井へと召されて行く。いずれも命綱をつけての演出で、歌手の人も高所恐怖症などでは勤まらないかも。
場面がコロコロ変わるなどの設定で、かつ歌がない音楽の部分が多い為、今まではオペラにはし辛くコンサート形式などが多かったようだが、今回は場面の変化をその平面的なスクリーンに映し出す効果で演出し、音楽だけの部分にはバレエを多様するという方法を駆使している。
ソロはわずか4名で、後はコーラスによる展開となるがコーラスがなかなか良く頑張っていた。コーラスマスターの Donald Palumbo による功績が大かと。
ソロはわずか4名で、後はコーラスによる展開となるがコーラスがなかなか良く頑張っていた。コーラスマスターの Donald Palumbo による功績が大かと。
3幕目と4幕目の間に映し出される木の影絵もそのアングルが変わり、4幕目でメフィストフェレスが木のそばを通ると葉を一杯つけていた画像の木がいきなり枯れる映像に変わり、舞台上からハラハラと枯葉が落ちてきたりと手がこんでいる。
メフィストフェレス扮する John Relyea も非常に好演し、なかなかファウストもマルグリートも良いのだが、いかんせん歌手以外の画像、しかけ、バレエダンサーによるダンス、アクロバティックな動きなどの演出が凝りに凝っているので、楽しめるのだが、音楽だけでなく色々な演出に気をとられてしまう感がある。
メフィストフェレス扮する John Relyea も非常に好演し、なかなかファウストもマルグリートも良いのだが、いかんせん歌手以外の画像、しかけ、バレエダンサーによるダンス、アクロバティックな動きなどの演出が凝りに凝っているので、楽しめるのだが、音楽だけでなく色々な演出に気をとられてしまう感がある。
観客の中には、トミー・チューンも来ていた。トミー・チューン氏はトニー賞9つを受賞し、1990年と1991年の2年連続最優秀振付と最優秀演出に輝いているのは彼だけで、4つの異なるカテゴリーの受賞も彼が最初。丁度先月末にシティ・センターで行われた On Broadway! という企画で色々なブロードウェイダンサーが登場した際に賞を受賞し、ブルック・シールズがプレゼンターになっていた。その様子は こちら
リハーサルを観に行くのはこれで4回目となるが、昨シーズンの エルナーニ では、主人公のエルナーニが自害して幕、という最後の最後でダメだしが出て、自害前から再度演じられるということがあったが、今回は終演後、舞台上にファウスト役のジョルダーニ以外の合唱も含めた全員が残り、レヴァインの指示や、合唱監督の指示を10分程度聞いていて、再演などはなかった。
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リハーサルを観に行くのはこれで4回目となるが、昨シーズンの エルナーニ では、主人公のエルナーニが自害して幕、という最後の最後でダメだしが出て、自害前から再度演じられるということがあったが、今回は終演後、舞台上にファウスト役のジョルダーニ以外の合唱も含めた全員が残り、レヴァインの指示や、合唱監督の指示を10分程度聞いていて、再演などはなかった。
そして後には、演出の Robert Lepage と指揮のジェームズ・レヴァインに、司会者の Margaret Juntwait が聞くという形式でのQ&Aが30分弱行われた。
演出の Lepage氏曰く、一番最初に映し出される鳥の群の動きも、オーケストラの音楽のリズムやその音量に合わせて鳥が動くようにしていると。
本番ではさすがにジョルダーニは水には入らなかったが、何人もが水に入る映像は近くにあるオリンピック用のプールで撮影した。
メトロポリタンオペラでは、この演目をカーネギーホールでコンサート形式では演奏されていても、オペラとしては1906~1907年シーズンに公演されて以来の100年が経ち、今回のプロダクションは多くのテクノロジーを駆使しての表現となったが、それは新しいボキャブラリーが増えたと考えてほしいとのこと。
アクロバットな動きの人達はシルク・ド・ソレイユの人達による。
演出の Lepage氏曰く、一番最初に映し出される鳥の群の動きも、オーケストラの音楽のリズムやその音量に合わせて鳥が動くようにしていると。
本番ではさすがにジョルダーニは水には入らなかったが、何人もが水に入る映像は近くにあるオリンピック用のプールで撮影した。
メトロポリタンオペラでは、この演目をカーネギーホールでコンサート形式では演奏されていても、オペラとしては1906~1907年シーズンに公演されて以来の100年が経ち、今回のプロダクションは多くのテクノロジーを駆使しての表現となったが、それは新しいボキャブラリーが増えたと考えてほしいとのこと。
アクロバットな動きの人達はシルク・ド・ソレイユの人達による。
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