2008年トニー賞の主演女優賞、助演男優賞、助演女優賞を獲得し、今もその3人が出演しているジプシー。残念なことに、来年の3月で閉幕となることが先日発表されたので行ってみた。(画像右HPより)
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原作 Arthur Laurents
音楽 Jule Styne
歌詞 Stephen Sondheim
Rose : Patti LuPone パティ・ルポン
Louise : Laura Benanti ローラ・ベナンティ
Herbie : Boyd Gaines ボイド・ゲインズ
Dainty June : Leigh Ann Larkin レイ・アン・ラーキン

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左から助演女優賞のローラ・ベナンティ、主演女優賞のパティ・ルポン、助演男優賞のボイド・ゲインズ。

パティ・ルポン出演のジプシーと言うだけあって、さすがに貫禄。特に最後の独り舞台は涙を見せながらの熱唱となっており、お芝居も良く、ベテランの安定感があって見ごたえ十分。
ある程度の年齢だろうと思われるが、歌声も迫力があってなかなか。

そして、ルイス(ジプシー)役のローラ・ベナンティが良い。
夏にブライアントパークで行われた時には、ジューン役のレイ・アン・ラーキンとルイス役のローラ・ベナンティが歌ってくれたが(その様子は こちら)その時には正直言って、ローラ・ベナンティ(画像右側の女性)がいささか地味に見えたのだが、さすがに歌も良いがお芝居が良かった。画像はその夏の時のもの。
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感情移入が多い役どころということもあるが、4回も舞台上で涙を見せる場面があり(幼少時の誕生日、初めての失恋、母との対立、母との和解)女優を感じさせてくれた。

ピークを過ぎた老齢ストリッパー役の3人のオバサマがビキニ姿で登場するのだが、舞台に近い席で観たこともあるが、正直言って、たるんだお腹や皺だらけの腕など観るのが痛い感じがした。そのお姿がないとこのミュージカルは進行しない重要な存在でもあり、そのお姿を見せつつ堂々と歌い笑いを取るオバサマ女優さん達のプロ意識が凄いのかも知れないが。
隣の席の男性2人と女性1人の若者グループなどはもとより、アメリカ人にはやたらと受けていたので、いささか日本人と西洋人で高齢者のハッスルされているお姿への受け止め方が違うようにも感じてしまったのは気のせいか。

子役も大勢出演するが皆それぞれ非常に良く、子役から大人に成長し役者が変わる演出が凄いと事前に聞いてはいたが、すっかり演出に騙されたままで観入ってしまった。

開演前に、一列目に座るべくやって来た男性が、同じ列にすでに座っていた男性の組んだ足をまたいで自分の席に行こうとしてバランスを少しくずし、舞台に腕をついた拍子に舞台のエッジに取り付けられている電球を二つ割ってしまった(上段画像右側の足元にある電球)。すぐに裏方さん3人が電球の交換にやって来たが、その彼や周りの人達に裏方さんがずっとジョークを飛ばすなど全くフランク。裏方さん達が舞台を去る時にはその彼や周囲の人達からは彼らに拍手を送るなど、明るい雰囲気。
果たして、同じことが日本の舞台で起こったら、平謝りの観客とモクモクと電球を交換する裏方さんという図式になるのではないかなと思ってみたり。

歌詞が スウィニー・トッド のスティーブン・ソンドハイムなので難しいかといささか覚悟していたが、そうではなく、母と娘の葛藤がヒシヒシと伝わって来て、なかなか見応えがあり良かったかと。