ルドルフ・ヌレエフへのトリビュートとしての演目。
今期のNYシティバレエの演目には、もともと3つの新作が発表される予定で、サブスクライブ(セットとして先行売り)や現在も配られているパンフレットには今日の演目のシリーズでそのうちの2つが発表されるとのことだったが、理由は不明だがそのうちの1つは2010年に延期された為、もともと組まれていた "After the Rain" と "La Stravaganza" に加え、"Flower Festival in Genzano Pas de Deux" と "Theme and Variations" が付け加えられた。
(画像はHPより。実際の出演者と画像は一致しておりません。)

最初に大きなスクリーンにヌレエフが "Flower Festival in Genzano" のパ・ドゥ・ドゥーなどを踊っているビデオが上映されてから、舞台が始まった。

Flower Festival in Genzano Pas de Deux
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音楽:Edvard Helsted
振付:August Bournonville
Abi Stafford, Gonzalo Garcia
ヌレエフの高いジャンプや正確で速いピルエットをビデオで流した直後に、全く同じものを踊らなければならないのは、男性ダンサーにとっては非常にプレッシャーかと思われるが、ガルシアはさすがにジャンプの高さなどはヌレエフに及ばないとしても、ピルエットなども軸がぶれることなく非常に丁寧に踊っていた。
男女一緒に大きなジャンプを3回する際、ガルシアが大きくジャンプし過ぎてスタッフォードのそばに近寄り過ぎてしまっていた時があったぐらい。

La Stravaganza
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音楽:Antonio Vivaldi, Evelyn Ficarra, Serge Morand, Robert Normandeau, Ake Parmerud
振付:Angelin Preljocaj
Brittany Pollack, Rachel Rutherford, Gretchen Smith, Tyler Angle, Adrian Danchig-Waring, Amar Ramasar, Kaitlyn Gilliland, Amanda Hankes, Sara-Rose Williams, Robert Fairchild, Craig Hall, Sean Suozzi
現代風の衣装の男女6人がヴィヴァルディの音楽で、そして古い時代の衣装の男女6人が現代風の音楽でそれぞれ踊り、次第に交わって、最後には現代風衣装の Rachel Rutherford(ソリスト)が古い時代の衣装の男性と2人で踊るという構成。
女性が両手先でなでるように何度も握り締めたり、両手先をクルクル胸の前で回してみたり、頭で相手をつっつくようなしぐさや、男性の挙げた足のふくらはぎに女性が頬ずりをするようなしぐさだったり、細かい動きが変わっていて面白かった。

After the Rain (pas de deux)
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音楽:Arvo Part
振付:Christopher Wheeldon
Wendy Whelan, Sebastien Marcovici
1986年入団し1991年にはプリンシパルという、NYシティバレエで一番の古株であるウェンディ・ウェラン。さすがに41歳だけあって、ぴったりと体にフィットしたレオタードだけのシンプルな衣装では他の若い女性ダンサーのようなお尻の丸みはないのが見てとれたが、余分な部分はそぎ落とされ女性ダンサーとして必要不可欠な肉体に鍛え上げられたと言った印象。
ゆっくりとした動きだが、魅せる、ということに終始した素晴らしい演技かと。
ウェランがマルコヴィッチの肩に手を回してはいたが、マルコヴィッチの肘を曲げた右腕一本の肘から先に彼女の太腿とお尻を乗せるリフトや、肩の上にリフトしている体制からマルコヴィッチの右太腿一本の上にウェランが片足で立った動きには、会場からは感嘆の声が挙がっていた。
今日の演目の中で一番拍手が大きく、ブラボーの声も多く飛んでいた。

Lifecasting
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音楽:Ryoji Ikeda & Steve Reich
振付:Douglas Lee
Ashley Bouder, Maria Kowroski, Sterling Hyltin, Kaitlyn Gilliland, Georgina Pazcoguin, Robert Fairchild, Amar Ramasar, Craig Hall, Antonio Carmena, Adrian Danchig-Waring, Christian Tworzyanski
新作。最初と最後のシーンは、アンリ・マティスの「ダンス」を彷彿とさせる。
コンテンポラリーな音楽にのせての振付で、なかなか難解だったが、最後の男性ソロのロバート・フェアチャイルドがなかなか良かった。

Theme and Variations
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音楽:Peter Ilyitch Tschaikovsky
振付:George Balanchine
Tiler Peck, Joaquin de Luz ほか
群舞の女性が大柄でなかなか迫力だったが手足の円弧が大きいだけに揃っていないと余計に目立つかも。群舞の男性一人が2度ほどややテンポが違って出遅れの感があった。
人数も多く華やかで、ソリストのペックとプリンシパルのデ・ルズは頑張っていたが、やはりウェランとマルコヴィッチのパ・ドゥ・ドゥーほどの拍手はなかったかも。