プラシド・ドミンゴは、1941年1月21日生まれの現在68歳。
今期は彼がメトロポリタンオペラに登場してから40周年となるが、最初のデビュー作はまさしくこの演目のこの役で、その時は、いきなり主役のカバー(代役)として出演することになり、予定されていた日程よりも数日早くメトに来ることになったのだとか。
今期は、彼を題材にした絵も劇場内にかけてあり、昨年9月にはその40周年を祝うイベントも行われた。
昨シーズンは トーリードのエフィジニー と ファースト・エンペラー に出演し、ロミオとジュリエット では指揮をしたドミンゴだったが、今期はもともと、この演目の指揮と、ワグナーのリングシリーズの「ワルキューレ」に2回出演するだけの予定だった。
しかし、この演目のマウリッツイオ役に配されていたマルチェロ・アルヴァレスが、「イル・トロバトーレ」から降板したサルバトーレ・リチトラの代役に回った為、マウリッツイオ役をドミンゴ自らが歌うこととなり、彼の指揮の代役をマルコ・アルミリアート氏がカバーするに至ったというなかなか起こり得ない代役の布陣となった。
by Francesco Cilea
Libretto by Arturo Colautti, based on the play by Eugene Scribe and Ernest Legouve
指揮:Marco Armiliato
アドリアーナ・ルクヴルール(ソプラノ)コメディ・フランセーズのスター女優 Adriana Lecouvreur : Maria Guleghina
マウリツィオ(テノール)アドリアーナの恋人でザクセン伯爵 Maurizio : Placido Domingo
ブイヨン公爵(バス)女優デュクロのパトロン The Prince de Bouillon : John Del Carlo
ブイヨン公爵夫人(メゾソプラノ)アドリアーナの恋のライヴァル The Princess de Bouillon : Olga Borodina
ミショネ(バリトン)コメディ・フランセーズの老舞台監督 Michonnet : Roberto Frontali
今期は彼がメトロポリタンオペラに登場してから40周年となるが、最初のデビュー作はまさしくこの演目のこの役で、その時は、いきなり主役のカバー(代役)として出演することになり、予定されていた日程よりも数日早くメトに来ることになったのだとか。
今期は、彼を題材にした絵も劇場内にかけてあり、昨年9月にはその40周年を祝うイベントも行われた。
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昨シーズンは トーリードのエフィジニー と ファースト・エンペラー に出演し、ロミオとジュリエット では指揮をしたドミンゴだったが、今期はもともと、この演目の指揮と、ワグナーのリングシリーズの「ワルキューレ」に2回出演するだけの予定だった。
しかし、この演目のマウリッツイオ役に配されていたマルチェロ・アルヴァレスが、「イル・トロバトーレ」から降板したサルバトーレ・リチトラの代役に回った為、マウリッツイオ役をドミンゴ自らが歌うこととなり、彼の指揮の代役をマルコ・アルミリアート氏がカバーするに至ったというなかなか起こり得ない代役の布陣となった。
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by Francesco Cilea
Libretto by Arturo Colautti, based on the play by Eugene Scribe and Ernest Legouve
指揮:Marco Armiliato
アドリアーナ・ルクヴルール(ソプラノ)コメディ・フランセーズのスター女優 Adriana Lecouvreur : Maria Guleghina
マウリツィオ(テノール)アドリアーナの恋人でザクセン伯爵 Maurizio : Placido Domingo
ブイヨン公爵(バス)女優デュクロのパトロン The Prince de Bouillon : John Del Carlo
ブイヨン公爵夫人(メゾソプラノ)アドリアーナの恋のライヴァル The Princess de Bouillon : Olga Borodina
ミショネ(バリトン)コメディ・フランセーズの老舞台監督 Michonnet : Roberto Frontali
2006-2007年シーズンでは、シラノ・ド・ベルジュラック でのドミンゴは、剣を片手に動き回って戦うシーンもあり、その若さに驚かされたものだが、そろそろよる年波か、指揮をする際のカツラをつけていない時を見るともうすっかりおじいちゃんの様相が否めない。
彼の絶頂期を生で聴いたことがないので比較しようがないが、それでも歌い出すとまるで若いテノールのような美声で音量もあり、素晴らしかった。
ただ一幕目で、朗々と歌った後にゲルギーナ扮するアドリアーナの楽屋から退出する際、3段の階段があったのだが、その一段目でつまづき階段に座り込むような体制となってしまった。とっさに座ったまま、アドリブでゲルギーナに投げキスをしてから立ち上がって去って行くという方法で、その場をとりつくろっていた。座り込んだ時のドミンゴは、眉毛が八の時で照れ笑いのような顔で一瞬「素」になっていたが、その顔がオペラ界の巨匠に向かって言うのは甚だ失礼だが、可愛い笑顔だった。
ゲルギーナも相当驚いていただろうが、慌ててその投げキスに応えるしぐさをしていた。
(画像は最後のシーン HPより)
声楽的なことは全く良くわからないが、音量たっぷりのゲルギーナの低音は弱いようにも感じたが、ブイヨン公爵夫人に扮したオルガ・ボロディーナとの共演もお互いひけをとらないと言ったふうで良かったかと。
ミショネ役のフロンターリもひときは大きな拍手をもらっていた。
彼の絶頂期を生で聴いたことがないので比較しようがないが、それでも歌い出すとまるで若いテノールのような美声で音量もあり、素晴らしかった。
ただ一幕目で、朗々と歌った後にゲルギーナ扮するアドリアーナの楽屋から退出する際、3段の階段があったのだが、その一段目でつまづき階段に座り込むような体制となってしまった。とっさに座ったまま、アドリブでゲルギーナに投げキスをしてから立ち上がって去って行くという方法で、その場をとりつくろっていた。座り込んだ時のドミンゴは、眉毛が八の時で照れ笑いのような顔で一瞬「素」になっていたが、その顔がオペラ界の巨匠に向かって言うのは甚だ失礼だが、可愛い笑顔だった。
ゲルギーナも相当驚いていただろうが、慌ててその投げキスに応えるしぐさをしていた。
(画像は最後のシーン HPより)
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声楽的なことは全く良くわからないが、音量たっぷりのゲルギーナの低音は弱いようにも感じたが、ブイヨン公爵夫人に扮したオルガ・ボロディーナとの共演もお互いひけをとらないと言ったふうで良かったかと。
ミショネ役のフロンターリもひときは大きな拍手をもらっていた。
ドミンゴというネームバリューで、彼が舞台に登場しただけで拍手が起こっていたが、あいにく空席が少しあり、客層も(偶然私の周りだけがそうだったのかも知れないが)ドミンゴ観たさで初めてオペラに来たというような人達が多く、アリアの最中でも小声でない私語が何度もあったり、拍手の時に指笛など、いささか驚いた。
受け売りの備忘録
wikipediaより
実際の史実をもとにしたオペラ。
オペラではブイヨン公妃はまるで、マウリツィオを横恋慕で奪おうとして、果たせなかったために恋敵を毒殺したように描いている。一方原作では、モーリス(マウリツィオ)とブイヨン公妃とは長年の男女関係にあったのが、アドリエンヌという若い女性が登場したため彼が公妃を捨てたとなっている。それでも政治問題になると公妃のコネを利用しよう、というのだから、公妃が怒り復讐を企てる動機としては(正当とはいえないものの)オペラより原作に、より説得力がある。
実際の史実をもとにしたオペラ。
オペラではブイヨン公妃はまるで、マウリツィオを横恋慕で奪おうとして、果たせなかったために恋敵を毒殺したように描いている。一方原作では、モーリス(マウリツィオ)とブイヨン公妃とは長年の男女関係にあったのが、アドリエンヌという若い女性が登場したため彼が公妃を捨てたとなっている。それでも政治問題になると公妃のコネを利用しよう、というのだから、公妃が怒り復讐を企てる動機としては(正当とはいえないものの)オペラより原作に、より説得力がある。
アドリアーナ役はオペラほぼ全曲にわたって登場しなければならないが、テッシトゥーラが低く歌唱的にはそれほど歌い難い役ではない一方で、第1、3、4幕のそれぞれで、歌ではなく台詞でドラマティックに語らなければならない聴かせ場があるという特殊な役柄である。
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