今期の新作ではないが、久しぶりの上演となるこの演目。アメリカ人に人気のルネ・フレミングが出演するからか、公演回数が今期はわずか5回と少ないせいもあってか、チケットは完売。友人のお陰で辛うじてチケットを手にすることが出来た。(画像はHPより)

by Antonin Dvorak
Libretto by Jaroslav Kvapil, based on the fairy tale Undine by Friedrich de la Motte Fouque

指揮 : Jiri Belohlavek
ルサルカ 水の精 Rusalka, a water nymph(ソプラノ):Renee Fleming
王子 The Prince(テノール):Aleksandrs Antonenko
外国の王女 The Foreign Princess(ソプラノ):Christine Goerke
水の精でルサルカの父親 Water Gnome, Rusalka's father(バス):Kristinn Sigmundsson
イェジババ 魔法使いのおばあさん Jezibaba, a witch(メゾソプラノ):Stephanie Blythe
森番 Hunter(バリトン): David Won
料理人の少年 Kitchen Boy(メゾソプラノ):Kate Lindsey
第一の水の精 First Wood Sprite : Kathleen Kim
第二の水の精 Second Wood Sprite : Brenda Patterson
第三の水の精 Third Wood Sprite : Edyta Kulczak

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最初にフレミングは木の上から登場し歌うのだが、果たして木の上に居なければならない必要性が疑問。観客からは上半身しか見えないので、両手でそれぞれの木の枝をつかみっぱなしで歌うのも動きがないため、手を動かしたみたり、別の枝を掴んでみたりするのだが、枝を掴む際に視線を手にやることとなり、何だか不自然。
二幕目には、水の精から人間に変えてもらった代償に言葉を発することが出来なくなったルサルカをフレミングが演じるのだが、オペラで歌えないタイトルロール役というのは初めて観た。歌手だけでなく、女優ぶりが問われることになる。

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王子役のアントネンコは、125周年ガラ の時にプッチーニの「トスカ」で「E lucevan le stelle」を歌ったのを初めて聴いて、なかなか良かったように思ったので、今回の演目での期待の一人。声量も十分で良い。ただ、さらっとまっすぐ歌うタイプではなく、なんとなくの印象だがまとわりつくような粘りのある声のタイプに思われるので、ずっと聴いているといささか疲れるような気がしないでもなかった。

3
ステファニー・ブライスはなかなかの貫禄。今期は、彼女の オルフェオとエウリディーチェ を観に行ったはずが、その日は彼女の体調不良により降板で観損ね、125周年ガラで「アイーダ」のアムネリス役を一曲聴いただけだったので、これまた楽しみにしていた。
あまり多くの歌手を観たわけではないが、今まで私が観た中では一番の巨漢。その彼女が普通に歩くだけでもコミカルだったりするのだが、くるくると回ると会場からは笑いが。その笑いをものともせずの存在感ある歌声は、なかなか凄い。
また、ネズミやカエルの着ぐるみを着た子供がぴょんぴょんと登場するだけでも微笑ましく、会場はなごんだ雰囲気。

ルサルカの父親役のクリスティン・シグムンソンは強い調子で歌う際に、ややぷつんぷつんと切れる印象を受けてしまった。

昨シーズン フィガロの結婚 でのケルビーノ役や、ロミオとジュリエット でのステファーノ役などズボン役(女性が男性の役を演じる)が多いケート・リンゼーは、この演目ではまたまたズボン役として料理人の少年役だった。

幕が開く前の前奏曲で、ホルンが思いっきりふかして音をはずしていたのには、観客からもぷっと吹き出す声も聞こえた。この日はラジオ放送の日だったのだが。。。

最後のカーテンコールでは、フレミング登場時に最上階のサイドの席から、プログラムを切って作った紙吹雪が捲かれ、フレミングも嬉しそうだった。