以前に見学に行った友人に勧められたので、メープルシロップの農家のあるコネチカットまで行ってみた。

3月後半の時期がメープルシロップの農家などもオープンハウスをすることから、コネチカット産のメープルシロップの10%を生産しているラモス家の農場へ。
オーナーのロブさんが色々と説明してくれた。

もともと、インディアンの人達が鍋に火をかけていたところ、偶然カエデ(メープル)の枝が落ちて鍋に入り、気付かずに煮詰めて味を見たら甘く、初めてカエデから糖分が採れることを知った。
後に、新大陸から移民して来た人達によって、より効率良く造られることになったが、メープルシロップがメジャーになったのは1920年代になってからとのこと。

カエデには色々と種類があるが、サトウカエデが一番糖分が多いことからそれを利用。凍てつくような寒さの夜と暖かい日中の温度差のある日に、樹液が良く採取できるのだそう。
サトウカエデの木にドリルで穴を開け、そこに金具を差し込んでそこから樹液が落ちてバケツに溜まるようにし、上には雪や雨をしのぐカバーをかける。
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現在では、より効率の良い方法として、長いチューブをつけて一か所に集めるようにしているそうだが、そのチューブをリスや鹿が噛んでダメにしてしまうことも多々とのこと。
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サトウカエデは一番糖分が多いが、それでも、採った樹液の2%しか糖分が含まれていない。樹齢40年ぐらいの大きさの物か、木の直径が10インチ(約25.4センチ)以上の木からしか採取はせず、17~21インチの直径の木からは樹液を採る穴を2つ、22インチ以上の物からは穴を3つとし、穴を開け過ぎてカエデが死なないように、農家の人が代々同じ木から収穫できるようにし、冬場の約2ヶ月間チューブをつけておく。

集めた樹液は、未だ寒い時期のものは非常に糖度が高いので、グレードAでも一番高価なものとなり、メープルシロップキャンディのもととなる。
徐々に樹液の糖度が落ちて行く為、多くを採取してそれを煮詰めて67%の糖度にして製品化する。68%だと糖分が高過ぎて凝固し、66%だと水分が多過ぎるのだとか。グレードAに3種類、Bの1種類に分類されるが、色の濃いものほどクオリティーは下がっていく。
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バクテリアなどの発生を防ぐ為にも、煮詰めて蒸発させる時間が早ければ早いほどクオリティーが良くなる。以前は薪で燃やして煮詰めていたが、現在はカナダ産のこの機械を使用して水分を蒸発させている。
39ガロンの樹液からわずか1ガロンのメープルシロップしか採ることは出来ない。
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切り株の例を見せてくれたのだが、この木で親子3代に渡って樹液を採取したのだとか。一旦金具を射しこんだ部分の上下の筋はもう2度と樹液を作ることが出来ないので、別の角度に穴を開けて行く。
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1800年代末に使われていたのは金属製ではなく木製のもので、採取した樹液が流れる溝を作り、その溝を流れる間に太陽光が当たるように設置して、バクテリアを殺菌していたのだとか。
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カエデは、秋にでんぷんを作り、それが後に糖分となる。根にあるものが、春になって水を吸い上げる際にその糖分も吸い上げることになり、芽吹く時期にはもう採れない。他の種類の木でもでんぷん質のものを作る木もあるのだが、水分が十分でなかったりするなどで、糖分を含んだ樹液が採れないとのこと。

今までカナダなどに行っても漠然とメープルシロップを買って食べていただけだったので、その過程がわかって面白かった。