ワグナーの指輪シリーズの ラインの黄金ワルキューレ に続く第3作目。

by Richard Wagner
Libretto by the composer
指揮 : James Levine

ジークフリート(テノール)ジークムントとジークリンデの子 Siegfried : Christian Franz
ミーメ(テノール)ニーベルング族でアルベリヒの弟 ジークフリートを養育する Mime : Robert Brubaker
さすらい人(バス)神々の長ヴォータンの地上における変装姿 The Wanderer : James Morris
アルベリヒ(バス)ニーベルング族でミーメの兄 Alberich : Richard Paul Fink
ファーフナー(バリトン)巨人族 大蛇に姿を変え、財宝とともに指環を護っている Fafner : John Tomlinson
ブリュンヒルデ(ソプラノ)かつてヴァルキューレの筆頭だったヴォータンとエルダの娘 Brunhilde : Irene Theorin
エルダ(アルト)知恵の女神 ブリュンヒルデの母 Erda : Wnedy White
森の小鳥(ソプラノ)声役 鳥の言葉でジ-クフリートに助言 The FOrest Bird : Lisette Oropesa

ジークフリートを演じるテノールは、ほとんど3幕とも出ずっぱりで、加えて3幕目から初めて登場する疲れを知らないブリュンヒルデ役との長いデュエットなどが控えているので、非常にタフでスタミナのいる役とのこと。
ジークフリート役のクリスティアン・フランツ Christian Franz は、今回がメトロポリタンオペラに初登場。1幕目はやや声量にも欠けて軽く感じてしまったが、ペース配分をしていたのかも。
1幕2場で、ジークフリートが芦笛や角笛を下手ながら吹くそぶりをし、あえてオーケストラのホルンなどの演奏者が下手な音を出して表現する場面では、実際の音は出していないジークフリート役のフランツが一生懸命にフーッフーッと息を吹いていて、その音まで聞こえてきたのは驚いた。
観客もいかにその下手な音を楽しむかと言ったところで、それまでは咳ばらいなどがあっても、この場面だけはシーンとして下手な音に聴き耳をたて、下手な音の後にジークフリートが「はあー、疲れた」とでも言わんばかりの動きに観客からは笑いが起こり、観客も息抜き。
ジークフリート役のフランツは、徐々にパワーアップして来たが、2幕目が終わってのカーテンコール時には、肩で息をして出てくるぐらいにお疲れモード。
実際はおじさんなのだが、動きの中には若者らしさを表現していて、笑いを取る場面もあって楽しめたが。

1 画像HPより
2幕目でジョン・トムリンソン John Tomlinson が姿は現さずに竜?蛇?のファフナーとなって歌う場面では、歌は本当に素晴らしいのだが、どうもこのお化けがいただけない。オットー・シェンク氏の演出は非常に忠実で定評があり、長らく演じられてきた彼の演出も今期で封印されるとのことで、観ておかねばと思っている人も多かったと聞く。しかし、どうもこの化け物だけはもっと早くに封印してほしいと思ってしまった。(今回、オットー・シェンク氏は最後のカーテンコールに登場していたが)
また、トムリンソンの声をあえてエコーがかかったように人工的に変化させていて、より雰囲気が出ていたが、肉声勝負のオペラで果たしてその必要があるのか私には良くわからなかった。


地下のギャラリーでは、ワグナー特集のコーナーがあり、各4夜のかつての上演時のパンフレットや写真などが展示されている。
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昨シーズンの ワルキューレ を観た時にも、タキシード姿にバイキング帽を被って鑑賞していた男性が居たが、この日はやや腰の曲ったこのおばあさま。旦那さんとおぼしき人は普通の格好のままだったが、帰路につくべくオペラハウスを出た時ですら、彼女はこのバイキング帽を被っており、相当なワグネリアンのもよう。
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