5月11日から岐阜長良川での鵜飼のシーズンが始まったので、行ってみた。

長良川の上流に向かって右側に金華山が位置し、その山頂には岐阜城。鵜飼を行う鵜匠さんの船が停泊している。
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1300年以上の歴史のある鵜飼。鵜匠さんは宮内庁式部職鵜匠という官職となり、その肩書の鵜匠さんは日本では長良川に6名、他の地域に2名おられるだけ。昔は21名もの鵜匠さんがおられたそうだが、明治になって長良川では6家となり、鵜匠さんは世襲制で、今なお古式漁法を行っている。
鵜飼の里というエリアには鵜匠さんのご自宅があり、名前が軒先に挙げてある。屋根の鬼瓦が鵜になっている家も。
杉山姓の方が4名、山下姓の方が2名、そのうちのお1人である山下純司さんのお宅では、「鵜匠の庵 鵜」というお店を併設されていて、鵜飼に使う鵜などを間近に見ることが出来るので行ってみた。
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鵜は全部で24羽おり、茨城県の海岸沿いに飛来してきた鵜を業者が獲って来る。若い鵜は胸の部分が茶色でだんだん黒くなっていく。最初は他の鵜とは別にして野生の鵜を徐々に慣らしていく。
最大で12羽、普通は8~10羽程度を一回の鵜飼で操る。
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歴史や衣装なども展示されている。餌は北海道産の冷凍のホッケを解凍して一日に3匹ほど与えるとのこと。
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鵜が獲った鮎のフライとビールを。その場で揚げていただいたこともあったが、非常に美味しかった。
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折よく、鵜匠さんがおられたのでお話をお聞きすることが出来た。
長良川にはダムがないので水が非常に元気で、木曽川や揖斐川よりも鮎は美味しい。
昔は長良川には鮎がもっともっと多くおり、鵜匠さん曰く、鮎を全部獲れば水かさが低くなるのではないかと思える程だったとか。観光客の中には鵜がもぐれば必ず鮎が獲れると思っている人がいるが、今はそれほど鮎が多くない。
川で泳いでいる鮎を鵜が瞬時に捕まえるので、非常に新鮮で常温で1日おいていても痛まないぐらい。ただし、同じ川の水で洗わないと鮎は痛む。
長良川と異なり、水質の悪い琵琶湖などの鮎の場合、甘露煮などにしないといけない。内臓のうるかの味を比較すればその新鮮さがわかる。
殺生を観に来るのはいかがなものかという人もいるが、昔は屋形船などはなく、岸にいて食事をしてお酒を酌み交わしながら観る方法で、一生に一度で良いから鵜飼を観るような贅沢をしたい、というものだったとか。
飼われている鵜は卵は産まない。
伊勢湾台風時には水が家の3階部分まで上がって来たそうで、今でも年に2回は堰までも水が上がってくるとのこと。
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川面からはこの青い堰までは相当の高低があるように思うのだが、ダムがないだけに水は驚異ともなり、自然の尊さを、そして人間が破壊していることを熱く語っておられた。

ホテルで温泉に入った後、鵜飼を観る前に、鮎尽くし懐石を頂くことにした。
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画像右は、上の虫籠をはずした状態のもの。
鮎捲きは、とても柔らかくて美味しい。小鉢のものは川魚のゴリの佃煮。

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画像左:鮎そうめんには、焼いた鮎の頭と背骨は再度揚げてあり、一緒に食べることが出来る。
画像左右:鮎のお刺身は、全く川や泥臭さもなく、美味。上にある燕の形に切った物は水前寺海苔。

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画像右:塩焼きと魚田(うおでん=魚の味噌田楽)を。炭をおこした火鉢で出してもらえる。塩焼きでも、背骨も苦にならず、ここまで美味しいのは初めて。塩焼きにはたで酢を所望する人がいるので一応出すが、川や泥臭さを消すためにたで酢を使うので、長良川の鮎には不要だろうと言っていた仲居さんの言葉に納得。たで酢は全くいらない美味しさ。
画像右:鮎寿司も、鮎の頭だけは揚げてあり、そのままいただける。昆布とマッチしてこれも美味しい。

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画像左:から揚げはソースでいただく洋風。
画像右:鮎の甘煮。鵜が鮎を捕まえる時につく、くちばしの噛み跡が鮎の背中に残っている。鮎は煮込まれているのではなく、さっと煮てあるだけで、非常に生っぽく柔らかくて美味しい。

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鮎のせごし。ミョウガ風味がさっぱり。

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鮎の土鍋ご飯は、お焦げも美味しい。後はこれにメロン、スイカ、キウイがデザートとして。
鮎のなれ鮨も食べたのだが、うっかり写真に収めるのを失念してしまった、、、

鵜飼の様子は その2