国指定の重要無形民俗文化財にも指定されている三重県四日市の富田の鯨船祭なるものを観に行った。

8月14日には鳥出神社で鎮火祭があり、それからそれぞれの町内で鯨船を曳き回す町練りが行われ、15日に鳥出神社の境内で本練りが行われる。
今年は中島組の神徳丸と、古川町の権現丸が担当。

船が鯨を発見し、波に翻弄されながらも鯨を追跡し、銛を打とうとするが鯨の反撃に合って船は後退、再度船は鯨を追い込み海面から躍り出た鯨を銛で打つというストーリーが繰り広げられる。
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神社の前では権現丸がくるくると回されている。地面には白くその跡が残っていた。

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船はゆらゆら左右にも動かされる。

中に乗っているお稚児さん?のような少年は、介添えのおじさんに腰を支えてもらいながら揺れる船の中でも頑張って舞っている姿は凄い。

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鯨もグルグルと回る。



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船と鯨の攻防


船もくるくる回る。

鳥居をへだてて、中島組の神徳丸と、古川町の権現丸、そしてそれぞれの鯨が対峙する。
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鯨が躍りあがったところに船の舳先のお稚児さん?の少年が銛でひとつきにした後、大勢が銛を打つ。

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富田には民話が残っている。
昔、熊野灘に信心深い鯨の親子がいて、お伊勢参りをしようと伊勢湾に入って来た。しかし、富田の漁師に見つかってしまった。親鯨は漁師に、お伊勢参りに来たので見逃して欲しいと頼むが、漁師は親子を仕留めてしまった。それからは、富田の漁師は一匹も魚が獲れず、あの親子鯨のたたりに違いないと、富田の漁師たちは、鯨の供養をして鯨を捕ることをやめた。そこで鯨取りを偲んで陸で鯨を追う祭をすることにした、とのこと。

鯨捕りの起源だが、本場は和歌山の熊野灘であり、実際に富田で捕鯨が行われたか否かはわからず、祭だけがあったとも言われていて、江戸時代から始まったお祭り。
本来、鳥出神社の祭礼は旧暦8月15日に行われるものだったが、漁が忙しい時期だったので、お盆にお祭りがおこなわれるようになり、神仏が混ざった珍しい盆祭となったのだそう。

このような鯨に因んだお祭りを観たのは初めてだったので、非常に面白かった。