名古屋の長者町というエリアは、江戸時代には名古屋城下の中心地として、戦後は東京の日本橋横山町、大阪の船場丼池筋(せんばどぶいけすじ)と並んで、日本三大繊維問屋街として発展して来た。現在は繊維業界の不況の為に、空き店舗が点在する状態だが、その空き店舗や空きビルなどをトリエンナーレの会場として設置。開催場所は20か所以上に点在するが、ぎしぎし言う木製の階段を上がったビルの4階だったり、壁面だけだったりと多岐に渡り、各会場の場所探しも面白い。(3会場のみチケットが必要で、残る会場は観覧無料)

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ルシア・コッホ 
彼女の作品は3か所に展示されているが、これは長者町繊維卸会館横のグラデーションの日よけの作品。(その上の2階の窓には、淺井裕介氏の作品)

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淺井裕介

テープ、ペン、土、埃、葉などを使って絵を描く作家。床、天井、壁面、蛍光灯、ガラス窓など部屋のスペース全てに描かれていて圧巻。床は高くなっていて、一部は描かれておらず、そこに観客は上がって寝ころんで天井画を見ることも出来る。

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淺井氏は、オープニングのレセプションパーティの時に、チョコレートフォンデュ用の余ったチョコレートでテーブルクロスに即興で素敵な絵を描いておられた。その様子はこちら

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北川貴好
企画コンペ出品作品。(コンペ作品の展示は3期に分かれ、そのうちの第一期にだった為、現在は別の作家の作品が展示されている。)多数の電球を球体にした作品で、作家自身がオープニングぎりぎりまで、一所懸命切れた電球を集めておられた。いくつかの電球がふわーっふわーっと点滅し、他の電球のガラス部分を通して明るくなる様はなかなか綺麗で幻想的だった。
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ナウィン・ラワンチャイクン

作家自身が、長者町繊維街の変遷に詳しい方々に取材し、その方達を描いた。
原画は長者町繊維卸会館に、それをもとにした巨大な壁画は駐車場の壁面にあり、一般オープニングの8月21日には、その駐車場で壁画披露パーティも行われた。その様子はこちら
尚、この作品の中央右側に座っている女性は、喫茶クラウンの店主の方。

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駐車場横の壁画

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喫茶クラウン内の淺井裕介氏作品
昨年行われたプレイベントで、淺井裕介氏がこのお店の壁に描いた。
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絵画2点や、彼がお店のコーヒーカップとソーサーに描いていて、コーヒー(300円)をお願いすると、その作品でコーヒーを頂けるというのは面白い。(10客ぐらいはあるのだそう)
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伏見地下街なる地下街は、今回の展示を見に行く為に初めて行ったのだが、びっくりするぐらいレトロな地下街。そこに、上記 ルシア・コッホの作品。

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長者町デキタテ工房(鄭萬英、李旻河、文谷有佳里)
会場に絶えずアーティストの誰かが居て、その場で観客と会話しながら制作したり説明してくれる。
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我々が行った時は、李旻河(イ・ミンハ)さんがおられ、伝熱ごてで牛皮に文字を書く様子を見せてくれた。日本に来て4年とのことだったが、とても上手な日本語で色々と教えて下さったが、レストランで食べ物を注文する会話とは異なり、芸術のことを日本語で伝えるのは難しいとおっしゃっていた。
世界中の祈りの言葉を集めて伝熱ごてで、皮に文字を書いて行く。さまざまな宗教が求める共通のものを知りたいということだそうで、それぞれの言語で書いておられ、皮の色は色々な人種の肌の色を示しているのだそう。毎日毎日延々と書いているので、修行僧の写経のようだと笑っておられた。

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ケリス・ウイン・エヴァンス
光の速度を表す9つの数字をネオンサインのように伏見通りに面したアーバンネット伏見ビルの屋上にかかげている。作品と言われても、そのビルの広告か何かかと思ってしまうような気が・・・

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岡田昭憲・倉田愛実・有吉達宏
いずれもアニメーション作家で、同じ会場のスクリーンに順次それぞれの作品が上映されていく。入口前に貼られた写真の中には、作家3名の写真もある。3者3様の個性あふれるアニメーションになっていて面白い。

長者町 その2 に続く